質疑応答の続きです。
(写真は会場で配られた水で、スポンサーを務めているマルケス兄弟をフィーチャーしています。)
質疑応答(2)
【質問6】
バイク免許の取得で教習所は大賑わいだ。
初めてヘルメットを購入される方にSHOEIを選んでいただけるよう、何らかのきっかけづくりをする考えはあるか?
⇒
若い方に選んでいただければ、残りの人生ずっと買ってもらえるかと思うが(笑)、具体的には進んではいない。
仮に値引きするとしても、代理店さんとの販売の仕切りをどうするかという問題がある。
今は特にいただいた注文分を作るので精一杯。
待っていらっしゃる方がたくさんいるのに、「そっちは安売りか!」と言われると辛い。
ただ重要な着眼点なので、貴重なご意見として検討の材料とさせていただく。
【質問7】
中国向けの販売が今期減少する計画となっている。
決算説明会資料を拝見すると、「当地代理店からSHOEIに対する発注が他の地域の代理店に出遅れた」「代理店からの望ましい発注⽅法については現在協議中」とある。
生産能力がボトルネックになっていると思うが、この辺りの事情と「望ましい発注方法」とは何かについて教えていただきたい。
(私からの質問です)
⇒
後の説明会で触れようと思っていた事項だが、先に説明させていただく。
65期(前期)の経緯についてお話しさせていただくと、受注は要するに早い者勝ちの状況にあった。
北米の代理店は仕掛けが早く、在庫に関して向こう見ずに感じるほどやたら積極的で伸びた。
一方、中国の代理店は家族経営に毛が生えた程度のもので、需要を読み切るだけの実力が無かった。
そこで出遅れてしまい、中国は今期の生産枠を他に取られてしまったというのが実情。
今後はまず上海事務所で情報を集め、中国の実力を見極める。
その上で各国のアロケーションを適正化していく。
半年から1年ほどかけて正常化していきたい。
→ 事情がよく理解できました。後の説明会でも改めて説明をいただいております。
【質問8】
多くの日本製の完成品は、人件費の差もあって中国や韓国にやられてきた歴史がある。
部材を外部調達している中で、差別化できるような取り組みはあるのか?
HUDヘルメットについても、他所の会社が広島のメーカーやNAVITIMEと協業して真似できるのではないか?
⇒
(石田社長)
人件費は一つのファクターでしかない。
商品開発・品質管理・生産の三位一体で商品を作り上げる方が、圧倒的に重要なファクター。
色々検討した結果、製造だけ中国でやっても伸びないという結論に至った。
部材も日本製で、各素材メーカーに提案いただく世界最先端のものを使いこなすことが大事。
(部品や素材を自身で開発していく考えは?との問いに対し)
出来合いのものを紹介してもらっているのではなく、「こういうものを作ってくれ」とお願いしている形だ。
(それでも外部を使っている以上、他所に真似されるのでは?との問いに対し)
鶴見さん、どうだろうか?
(鶴見専務)
2つの質問とも同じ趣旨であると理解した。
外部から買う場合は、世界に無いものであれば買う。
どういう付け方をするかについて、実用新案をどんどん取って来る。
ヘルメットにどう装着できるかという部分に関しては、独占できる。
そこは押さえている。
うちのアイデアをだいぶ出している。
他のヘルメットメーカーには売り込ませないように手は打ってある。
(秘密保持契約や特許等で押さえているということ?との問いに対し)
そうだ。
(志田取締役商品開発本部長)
HUDヘルメットは、アプリはNAVITIME、光学部品は広島の会社にご協力いただいているが、出来合いのものをそのまま使うのではなく、独自に開発されたものを使っている。
数年間は契約書を結び、外部には流出しないようにしている。
契約を結ぶことで自由度が減り、足かせになる可能性もある。
後から良いものが出てくることもあり得る。
協業先については間口を広げておきたいので、あくまでも「第一弾」と考えている。
→ 競争優位性を保つための守りの部分での取り組みについて引き出すことのできた、素晴らしい質問であったと思います。
株主総会での質疑応答は以上で終了。
議案決議の後、選任された取締役・監査役からの簡単な挨拶がありました。
(ここまでで1時間23分)
退任挨拶
この後、今回の総会を以て退任となる鶴見専務・平野常勤監査役より、退任にあたってのお言葉をいただきました。
(鶴見専務)
役員6期12年、入社から38年お世話になった。
5人の社長に仕えてきたが、入社当初は順風満帆だった。
それこそ作れば売れるような会社だったが、入社から8年で会社更生法適用の申請に至った。
どういう風になったら、そんな順調だった会社が破綻に追い込まれていくのか、そしてどうしたら良くなるのかを身をもって体験することができた。
潰れた理由は、作り過ぎたこと。
BO(バックオーダー)の管理がずさんなままで作り続けることは、本来あり得ない。
色々勝手に考え過ぎて大きな投資をしてしまった。
あまりに先を考え過ぎると、とんでもないことになるという実例だ。
SHOEIは一本足打法だ、次の柱をと言われるが、そんな経緯もあって一本足打法の何が悪いのかという思いも個人的にはある。
一番大事なのは本業で、世界のブランドとして引き継いでいくことだ。
あれから30年でここまで良くなり、上場して専務としてこうしてご挨拶までさせていただくのは、あり得ない幸せだ。
企業を創るのは人と言われるが、犠牲になるのもいつも従業員。
その従業員の力をどれだけ引き出せるかで、会社の価値が決まる。
家庭の事情もあり退任させていただくことになるが、商品もバージョンアップ、人もバージョンアップしていかなければ未来は無い。
幸い、(次期生産本部長となる)堀本は安心してタスキを渡せる優秀な人物。
これからは皆さんと同じくいち株主の立場となるので(笑)、株主として応援していきたいと思う。
(平野常勤監査役)
皆様の支えがあり、大役を終えることができた。
23年前、上場するという職務のために入社し、上場準備室からスタートした。
17年前にJASDAQに上場し、現在は東証一部、プライム市場指定になるだろうという所まで見届けることができた。
役員として取締役8年、監査役5年、お世話になった。
本当に感謝している。
→ こういう感動的な場面に立ち会えるのが株主総会の醍醐味の一つですね。こうした機会では特に企業文化を肌で感じることができ、足を運ぶことにもやはり意味はあるのだと実感致します。
(ここまで1時間35分)
(続く)
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コメント
鶴見専務さんのお言葉印象的ですね。
潰れた原因は「作り過ぎたこと」
そんな経験があるので、工場の拡張とかには慎重になっているかもしれませんね。
一本足打法でもいいやん!とおっしゃられていた人が退任されると
前のトラウマがいささか薄まり、少しは拡張のスピードが上がることに期待したいと思います。
そうですね。
若返りによって、何か新しい動きが出てくるという面もあるかもしれませんね。