帰京後、すぐ参加したHOYAのレポートです。
時価総額4兆円に迫るグローバル企業の総会とはどんなものか、一度体験してみたかったのですが、コロナ禍でコンパクトな運営を強いられる中、かえってその優秀さを際立たせる内容で、大変印象的な総会でした。
株主総会
60席用意され、参加者は15名強でした。
個人投資家が保有するイメージのない企業なので、こんなものなのかもしれませんね。
議事進行は鈴木洋CEO。
社外取締役1名とシンガポール駐在の執行役3名については、出国制限により不参加との説明がありました。
この辺り、HOYAならではです。
11時までには終わらせる旨の発言の後、監査報告は「お手元の招集通知をご参照下さい」と一瞬で終了。
事業報告については映像が流され、そのナレーションは自社開発の音声合成ソフトVoiceTextでなされておりました。
ここまでの畳み掛けるような流れに、既に圧倒されています。。
その後、CEOより「自らの言葉で足元の状況を説明させていただきたい」との発言がありました。
内容は以下の通りです。
- 新型コロナウイルス感染症は2月にかけて中国で、3月から欧米で本格化したが、事業への影響は2月半ばから出てきている。
- ライフケア事業は、4月は1年前の半減、6月には前年に近い数字に戻ってきたものの、4月・5月に本来あるべき売上がずれ込むことで、一過性の需要の強さがあったと考えている。7~9月を見てみないと実態の市場動向は測りかねる。
- 情報・通信事業については、コロナ禍の影響はほとんど無く、数字的には前年を超えて推移しており、それは今後も続いていく見通しを持っている。
- 引き続きこの2つの事業ポートフォリオを構築してリスク分散を図り、企業価値向上に努める。
議案は 取締役6名選任の件 のみでした。
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
質問は1件のみで、これもCEOが答えておりました。
Q
初めて株主になったが、半年見続けてきて素晴らしい会社だと実感している。
東芝機械の買収にかかる一連の判断には唸らされた。
(→ 同感です)
質問は情報・通信事業とライフケア事業のバランスについて。
個人的には伸びている情報・通信の方に軸足を移していった方が良いのではと思っているが、全体の方向性をどのようにお考えか、聞かせていただきたい。
(→ ナイスな質問です)
A
マーケットには波があり、いい時もあれば悪い時もある。
企業価値を安定的に向上させていくためには、違ったタイプのものが入っていた方がいい。
一本足打法にならないことが重要だ。
投資にも波がある。
技術面、市場環境面で積極的に仕掛けた方がいい時期というものがある。
その際に大事なのは、いかに資金を捻出するかだ。
情報・通信で資金が必要な時に、ライフケアから資金を捻出する。
ライフケアで資金が必要な時に、情報・通信から資金を捻出する。
こうすることで投資にメリハリがつけられるし、またそれにより効率的な投資をしていくことができる。
足元の状況だけ説明させていただくと、一昨年から昨年にかけては情報・通信にかなり投資(約800億円)し、その資金をライフケアから捻出した。
今はそれが一服し、情報・通信への投資を資金化していく時期にある。
ここから3年スパンでは、ライフケアの方に投資を振っていく時期ととらえている。
所感
効率的に済ませる部分がありつつ、要所では鈴木洋CEOがロジカルで説得力のあるお話をされて、とてもメリハリが利いていました。
また、株主総会に参加していながら、個人の資産形成におけるポートフォリオ運用の要諦にもつながるようなお話もあり、大きな学びを得ることができました。
時間は30分足らずと短かったですが、事業活動の資本効率ばりに時間効率も意識したような運営で中身は非常に濃く、一つの理想形を体験できたことで評価は★★★★★とします。
HOYAに関しては、もはや「お金を預けますので、あとは全てお任せします」という感じですね。
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