ヤマハ発動機株主総会2024(2)(★★★★☆)

株主総会・説明会

ここからは、会場からの質疑応答です。

質疑応答(2)

【質問1】
2024年度の目標(売上高2.6兆円、営業利益2,600億円)達成の確からしさについて教えて欲しい。
また、2025年度以降の次期中計について、株主としてはもう一回り大きな成長を期待しているが、どのような考えをお持ちなのか、教えていただきたい。



今期の業績予想の確度を言うのは、大変難しい。
ただ私共はある前提、例えば需要予測・為替レートといったものを明確にした上で、「やれる」という数字を外部公表している
その前提がどのように振れるかは分からないので、確度については申し上げにくいが、ただこのパンデミック以降の4年間で当社は色んなこと(ここを強調されていました)に振り回されたのは事実。
サプライチェーンの分断、さまざまな資源の高騰、ロシアのウクライナ侵攻…と色々あったが、その都度、変化に対するレジリエンスを徐々に強化し、本日時点でそれはかなり高まっていると自負する。
さまざまな状況は考えられるが、社員一丸となって業績予想の達成に向けて最大限努力して参りたい。

次期中計についてだが、2018年に社長に就任した当時に最初に申し上げたのは、「一回り目で売上高2兆円への成長は何としてもやり遂げたい」「できれば、その先の3兆円に向けた基盤もきちんと強化しておきたい」という内容。
翻って現状は、2.6兆円の業績予想を立てられるところまで来て、3兆円が視野に入るところまで会社は成長してきた
次期中計はこの年度中に策定するが、当然その目線を意識した上で策定しようと考えている。
来年年初には公表するので、ぜひそれまでお待ちいただきたい。

→ 日髙社長はこのなかなか答えづらい質問に対して、紳士的で物腰は柔らかくも、非常に力強い言葉で対応されていたのは大変良かったと思います。

【質問2】
カーボンニュートラルへの取り組みについて。
自動車業界では、ホンダと日産の協働を見据えた検討を開始する旨の報道があった。
御社の場合は、他社との協業・共同開発について聞いたことがないが、EVに関してその考えはあるのか。



EV化に向けての他社との協業だが、大前提として我々が目指しているのはカーボンニュートラル。
それは地球温暖化対策ということで、地球環境をサステナブルにしていくために、CO2の排出量を削減することに取り組んでいる。
カーボンニュートラルの達成に向けては目標が非常に高いために、当然国を挙げて、全産業を挙げて取り組む必要があると考えている。

その一つの手段として電動化があるが、私共は50cc~何千ccのエンジンまで、用途も陸の上・海の上、趣味のもの・事業のものと非常に多岐にわたっており、全てが電動化で対応できるとは考えていない。
さまざまな手段を講じながら、マルチパスウェイで達成していきたいと考えている。

協業に関しては、協調領域と競争領域とをきちんと線引きした上で、協調領域についてはお客様のメリット・社会にとってのニーズに合わせて一緒になって取り組んでいこうという考えであり、水素エンジンについては日本の二輪4社で共同開発しているし、スクーターの電動化においては同じように二輪4社の中で着脱式バッテリーの規格を共有化しようということで規格を決めた。
その規格に基づいて二輪4社及びENEOSと合弁会社を作り、バッテリー交換式事業も展開している。

今後もマルチパスウェイの考え方に基づき、色んな会社との協業関係を作りながら、カーボンニュートラルに向けた取り組みを行っていきたいと考えている。

【質問3】
カワサキが出した電動のNINJAのような、大きいモデルの電動化とか、ストロングハイブリッドのモデルを出すような予定はあるのか。



(開発担当:丸山取締役)
大型二輪のハイブリッドや小型二輪のBEVについて、社内ではかなり技術開発を進めている。
BEVに対する我々の考えとして、市場で必要となるであろう小型から普及を図っていくが、電動はカーボンニュートラルのための一つの手段というだけではなく、今までになかった新しい動力源として、我々がいかにお客様に価値を与えられる、新しいモビリティを作れるかという視点でも捉えている。
色々なタイプへのトライアルをしつつ、事業性の有無も見ないといけないので、それを含めて計画を進めている段階。
もう少しお待ちいただければ皆様のお目にかけられるので、ご期待を。

【質問4】
「DX戦略」について得られた実績や、具体的なバリューがあれば教えていただきたい。



ランドモビリティのプレミアム領域での取り組みについて、具体的に申し上げたい。

DXに関しては、三階建てでやっている。
一階部分は、基盤。
ERPシステム等の刷新への取り組みをしている。
二階部分は、我々の製品が「つながる」・「コネクティッド」という面。
お客様とダイレクトにつながる取り組みをしている。
三階部分は、そういった「コネクティッド」でいただいた車両データ・お客様のデータを分析させていただきながら、新たな価値創造をしていくということ。

現在、DX人材1,339名、お客様とつながるIDが470万人ということで、これだけのお客様とつながっている状況で、日々のお客様の移動距離、今サービスが必要かどうか、どれだけ乗ったか、オイル交換の時期が来たか等々、色々なことが分かるようになってきたので、それをお客様にフィードバックするということを始めている。
その上で、今までは費用だけがヤマハ発動機持ちでかかっていたが、いずれ価値ある情報提供をする、もしくはいただいた情報をデータとして価値に換える、といったところで費用と収入のバランスが求められるようになってくるので、現在アイデア出しに鋭意取り組んでいるところ。

【質問5】
復活を待ち望まれている車種がリリースされておらず、YAMAHAは国内を軽視しているのではないかという声もある。
国内二輪車の新製品のリリース予定について、具体的な日程を教えて欲しい。



(ランドモビリティ事業担当:大谷上席執行役員)
具体的な商品の発売時期や内容については、本日は差し控えさせていただく。
国内二輪の話をさせていただくと、昨年は125ccクラスのYZF-R、MT、XSRシリーズと、この3つのモデルを中心にエントリーのお客様に向けたものを発売した。

明日(3/22)から開催される東京モーターサイクルショーでは、「125ccから広がるバイクライフ」をテーマに、入門モデルからそれぞれのシリーズの上位モデルまでをつなげて展示する。
将来にわたってバイクライフを楽しんでいただきたいという思いを込めるとともに、上位モデルでは新しくモデルチェンジをした、MT-09、XSR-900GPを展示。
私を含めて、1980年代の熱狂的なバイクブームを経験した世代には、特に楽しんでいただけるのではないかと感じている。
お近くの方はぜひ体験していただければと。

仰るように、セロー、SRといったロングセラーモデルが無くなったのは残念ではあるが、今後はグローバルモデルで供用するようなプラットフォームを使いながら、セローやSRが持っていた役割を担うような開発は引き続き検討していくので、お待ちいただければと思う。

→ 一連の質問内容からしても、営業利益の内訳(二輪事業は半分以下)以上に、一般的な当社に対するイメージとしてのバイクの存在感は非常に大きいですね。

【質問6】
御社は個人投資家に対して株主優待を実施しているが、コストもかかるし、機関投資家の評判は悪いと認識している。
個人的には利益ベースで会社が成長するのが望ましい。
他社においては株主優待も1年以上保有を条件としているところもある。
今後会社としてコストを抑え利益を伸ばしていくために、そういった施策もご検討いただければと思う。



(財務担当:設楽取締役)
昨今、新NISAのように、より個人の方に株を持っていただきやすくするという日本国家の政策もあり、当社は株式分割を実施した。
その影響を受けて、個人の株主様は3万名ほど増え、よりお求め安くなった効果が期末のところで出ている。

一方、分割によるコスト上昇もあるので、ここはしっかりコントロールしながら、中期経営計画をしっかり遂行することにより、我々の事業の成長を通して投資家の皆様の期待にお応えできる形で実績を上げ、株価上昇を含めた対策を実施して参りたい。
それによって、皆様に対して十分な配当も実施させていただきたい。

→ 外国人投資家の保有割合を減らし、個人投資家の割合を増やすことで、株価変動を抑制させたい、開示の充実と併せて資本コストを低下させたいという会社の意向を感じます。株主優待制度に関しては、個人投資家にとってマイナスとなる方向には動かしたくないというお考えが透けて見えます。

(続く)

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