テンバガーが主力でなかなか取れない理由(その2)。

投資スタンス

前回の続きです。

この【7564】ワークマン のチャートにおける「A」を「雌伏期」、「B」を「雄飛期」と名付けることとします。

ここで市場参加者を「トレーダー」と「投資家」に大別し、各時期におけるそれぞれの行動を見ることで、テンバガーの難しさを考えてみたいと思います。

自分がどちら寄りであるかを意識しながら読んで頂くと幸いです。

トレーダーの場合。

トレーダーはこの雌伏期の早い段階で参加することは難しいです。

なぜなら、トレーダーは一寸先は闇であるという慎重な姿勢を取った上で、一寸先がyummy(おいしい)な時に絞って積極的にリターンを取りに行くという習性があるからです。

このケースでは、出来高が増えてきた雌伏期の終盤なら入れるかも、といった所です。

ただそれでは10倍には届きませんね。
ほぼ雄飛期だけで10倍近く持っていくような強いトレンドは、なかなかその機会を見出し難いでしょう。
そこまで行く間にたいていはモメンタムが弱まり、他の投資機会に魅力を感じるのが普通だと思います。
トレーダーがテンバガーを取れるケースは、投資家と比較するとだいぶ少ないのではないでしょうか。

そもそも、資金管理を徹底しつつトレンドが見えている場所に乗り、回転を利かせて効率的に増やすことを是とするトレーダーにとっては、10倍化を意識すること自体がナンセンスだと考えます。

投資家の場合。

一方の投資家は、雄飛期において投資家であり続けるところに葛藤があるかと思います。

まだ注目されておらず、値動きも乏しい雌伏期にエントリーすることについては、投資家は比較的得意なはずです。
ただ雄飛期に入って激しい値動きにさらされると、なかなか雌伏期のようには冷静さを保てなくなります。
(私も特に調査が甘いものについては、しょっちゅうやらかします)

この心理的負担に対処するために、

  • 分割売却(売り上がっていく)
  • 倍になったら半分売却して、残りは恩株化

といった工夫をされる方も多いですよね。

ただし、投資家は明るい未来に賭けるのが本来の姿であって、保有株数を維持しつつどっしり構えるのが理想ではないでしょうか。

そうあるためには、やはり「価値」と「価格」を別々に考えることが鍵になると私は思います。

テンバガーが主力で「取れてしまう」ための要件。

(トレーダーではなく)投資家がテンバガーを主力で取れるようになるには何が必要か。

私は、以前「結果としての長期投資。」というエントリーで書いたように(下図はその時に使ったものです)、

  • 「価値」が時とともに増大していく企業に、安全域が十分確保可能な「価格」で投資する
  • 「価値」に追随する形で、「価格」が上がっていくことに期待する
  • 「価格」が安全域に留まっている限りにおいて、投資を継続する
  • 結果として長期投資になる

というプロセスを一貫させることだと考えます。

そして、テンバガーは「取るもの」ではなく、長期投資の結果「取れてしまうもの」としてとらえてみてはいかがでしょうか。

例えば、成長率が10%から25%へと大きく変化するような事象が判明した場合、それも都度「価値」に織り込んで更新していく(そのための個々のフォローは欠かせません)。

そうすることで、成長が加速し、雄飛期に入ったとしてもそれに見合うような高い「価値」を見積もることができ、「価値」と「価格」のギャップを維持したまま、保有株数を減らさずに投資を続けることができます。

もちろん、10倍になるまでの間に「価値」を大きく毀損するレベルの成長の鈍化があったり、あるいは投機的な思惑が浮上し、「価値」を大きく超過する「価格」上昇があったりして、投資継続を断念するケースが大半であるとは思います。

それでも、中には「結果として株価が10倍になるものもあるでしょう。
前回言及した「5社に1社」という数字は、希望を持つには十分な割合です。

以上を踏まえ、私が保有銘柄のテンバガーの可能性についてどう考え、どう取り組んでいるかについて、次回書きたいと思います。

(続く)

「価値をどう見積もるか」については、今後の日経マネーさんの連載で触れていく予定です。
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