今月は、第1四半期決算を発表した、ロート製薬です。
注目は、株式取得を発表し第3四半期以降に連結することとなる、東南アジア最大の漢方薬製造販売企業であるユーヤンサン(以下EYS)の影響についてです。
EYSの業績寄与及び「のれん」償却について
EYSの2024/6期業績は、売上高311.7Mシンガポールドル(343億円、110円換算)、営業利益29.2Mシンガポールドル(32億円)とのことでした。
今期のロート製薬の連結業績に対する貢献(EYSの7~12月を加算)は、上方修正の内容からすると売上高については172億円のようですね。
(営業利益はEYS買収にかかる一時的な費用と、ミャンマーの利益減額でプラマイゼロ)
一番心配していたのが、のれんの償却でした。
なにせ、約880億円の巨額買収(ロート製薬の持分60%)で、純資産の規模からして相当なのれんが発生することが予想されていました。
結局、20年償却、年間約30億円の「のれん等償却費」で決まりそうで(上記資料P.17)、これならばP/L上、連結業績の足を引っ張ることにはならなそうです。
売上高としては、7~8%の成長、EYS・ロート製薬・三井物産の協業PJによる営業利益率改善(現状9%強)も図っていく予定であり(成長期待も織り込んだ買収価格でしょう)、来期以降は利益面でも貢献するとのことで楽しみです。
ご参考:EYS社×ロート製薬×三井物産 未病分野における事業共創のヒント
「第三の柱」に
当社は「ロートグループ総合経営ビジョン2030」と同時に制定した「事業領域ビジョン2030」において、「機能性食品・食品」を「OTC医薬品」「スキンケア」に次ぐ「第三の柱」に育てることを明確にしています。
(ROHTO Well-being Report 2024より)
今回のEYSの買収は、その狙いにまさにピッタリなわけですね。
現時点で単純合算すると、内服・食品売上比率は11%から約20%へとジャンプアップするとのことです。
(海外売上比率も43%から約50%へ)
ご参考:シンガポール漢方薬製造販売企業 Eu Yan Sang International Ltd.(EYS) の株式取得について
この資料を見る限り、それぞれの持つリソースがうまく補完し合うことによるシナジー効果はとても大きそうです。
食品事業を始めた際の、「薬に頼らない製薬会社」というユニークなコンセプトを私は大変気に入っておりますし、EYSがどんな新たな価値をグループにもたらしてくれるのか、楽しみに見守りたいと思います。
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