今月の投資先メモ(24年5月)~【3835】eBASE

今月の投資先メモ

今月は、3月に続きeBASEです。

本当は別の投資先を考えていたのですが、5/15の決算発表と同時にリリースされた一連の開示が、個人的にはあまりに強烈だったので差し替えました。


特に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(以下、「資本コスト~」)に書かれている内容がインパクトがありました。

このリリースを出すこと自体は、直前の5/13付「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」における配当性向の40%への引き上げ、及び事前のIR照会の内容から頭にはあったのですが、今回の踏み込んだ内容は想定以上のものでした。

「株価を意識した経営」

まず目を引いたのは、以下の文言です。

足元の株価が停滞傾向にあります。これは、当社の成長性に関して株主や投資家か
らの理解を十分に得られていない
点などが影響しているものと評価しております。

(太字は当方による)


これは最近の株価推移に対する、遺憾の意の表明に他ならないですよね。

従前の当社は、どちらかと言えば「株価は市場が決めるもの」「業績を伸ばすことが評価につながる」というスタンスを採る典型的な企業のイメージがあり、「資本コスト~」の開示がなされるとしても、あまり踏み込んだ内容にはならないと予想しておりました。

今回、期間を1年と異例に長くとった自己株式の取得(従前は数ヶ月間に留まっておりました)と併せて、評価の向上に対する強い意志を感じました。

確かに、2021/3期・2022/3期とコロナ禍による業績の停滞はありました。

ただそこから成長路線に既に復帰しており、さらにはB2B2Cの新しいビジネスモデルも形になってきました。

にも関わらず、(コロナ禍が広く認識される前の)2020年初頭と株価が大して変わらないことに関して、「自社の発信の仕方にも問題があったのでは?」という反省が、今回リリースの背景として少なからずあったものと想像します。

対応方針

それでは、「資本コスト~」の対応方針について見ていきましょう。

①資本収益性の維持向上

2020/3期を最後に、ROEは4期連続で20%を下回っています。

今回目標として「3年以内にROE20%を超えること」と期限を区切って明示したことは、単なる株主還元の強化だけでなく、ビジネスモデルの変革が数字に表れてくることを示唆したものと考えております。

実際、「2024年3月期決算と事業報告」を丁寧に読み取っていけば、どの領域が伸び、あるいは芽が出ているのかということと、それらが中長期的に期待できる状況にあることが確認できます(詳細はここでは述べません)。

この通りROE20%が再び安定的に計上できるようになり、岩盤層としての長期投資家(特に機関投資家)が増えていくことを期待したいです
(株主優待の廃止も、その文脈に沿ったものですね)

②継続的な株主還元の実施

増え続けるキャッシュの使い道が、多くの株主・投資家の課題認識としてあったかと思います。

今回、「利益成長、成長投資、財務健全性のバランスを保ちながら」、「配当性向50%(以下略)」の方針を掲げました。

これは、投資機会がそう頻繁にある状況でもない中、内部留保への過度なこだわりをなくし(必要になれば、有利子負債を活用してもよいと思います)、余剰資金は株主にお返しするという、理想的な姿であると私は考えます。

元々のビジネスモデルの堅牢性の高さと今後の上積みからして、配当成長株としても期待できる状況になったと言えるのではないでしょうか。

③IR活動の更なる充実

ここも驚きでした。

黒子的なビジネスを営んでいる背景もあり、「分かる人だけ分かればいい」という開き直りすら感じられたのですが、「個人投資家向け説明会の開催検討」「難解な当社ビジネスモデルをより理解が深まるように情報発信を強化いたします」といったくだりには、明らかな意識の変化が見られます。

「決算と事業報告」のボリュームも最近は増えてきておりますが、これからますます読むのが楽しみになりそうです。


《ご参考》

優待廃止に伴う、株主層の入れ替わりに期待したいです。
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コメント

  1. 保守的投資家 より:

    密かに海外に進出をねらっているのかなと思ってましたがやっぱり難しいでしょうね。チャンスはいつくるかわからないので資金不足で買収の機会を逃ししたということにはならないで欲しいですね。

    • 6_suke より:

      商習慣の違いもあり、やはり日本での商売が前提になるとは思います。
      まだまだやれることがたくさんありますし。

      なお、インバウンドでの活用は既に開始されていますね。

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