今月の投資先メモ（24年4月）～【7683】ダブルエー

今月は、2024/1期決算、及びこれに伴う質疑応答集が2つ（なお、私の質問が複数採用されております）リリースされているダブルエーです。

最近の為替レートの状況からすれば、2026/1期までの中期経営計画が達成できるのか心配になるのは仕方のないところですが、質疑応答集には ①顧客に受け容れられる範囲での、為替レートに応じた定価の設定 ②4つの成長戦略以外の（未公表の）様々な施策も検討中 といった旨の対応策についての記載があり、SPAならではの柔軟性を武器に、最終的にはそれなりの数字にまとめ上げてくれるのではないかと期待しております。

MISCH MASCHが黒字化！

さて、今回の本題は「MISCH MASCH」（以下MM）です。

アパレルの黒字化は、1年目ではさすがに難しいかな…と思っていたのですが、見事成し遂げてくれました。

その成功要因は、目に見えるものでは、イメージ戦略の強化（リブランディング、公式ONLINE STOREとアプリのリニューアルによるオンライン販売テコ入れ、SNSの活用による認知度向上等）、ORiental TRafficとのコラボ商品展開・同ブランドからの送客といったところですね。

「トレンドを捉えた商品提案」ともあり、商品企画（素材の選定も含めて）にお金を使えるようになったことも大きいかと思います。

そして同時に、「商品生産の見直し」効果も大きいのではないかと私は考えています。

具体的なものの一つは、中国生産工場の変更ですね。

ダブルエーのグループが持つネットワークを使って、管理が行き届く良質な工場をMM用に新たに用意できたことが分かりました。


それが端的に表れているのが、バッグです。

MMが傘下入りして以降、ORiental TRafficの店頭でのバッグの取り扱いが明らかに増えました。
特にこの春からは、アイテム数の増加が著しいです。

また期間限定ではありますが、この3月に横浜ジョイナス（アイキャッチ画像）とルミネエスト新宿（こちらはまた違ったキャッチーな雰囲気）にバッグ専門店「ORiental TRaffic the BAG」を出店しております。

ここから推察されることは、「ORiental TRafficも使いながら、バッグのボリュームを増やすことでMM取扱い商品のコストダウンの実現（＝スケールメリットの享受）ができているのではないか」（そしてその効果は、今期はより大きくなっているのではないか）ということです。

ダブルエーの子会社が管理する工場の地域は両ブランドで重なると聞きますし、他にも細かなノウハウの提供や既存インフラの活用による輸送・管理コストの節減等があって、原価率低減に寄与しているのではないかと考えております。

であれば、今後のM&Aにおいても、「商品生産の見直し」は再現性のある再建手法となり得ますね。

MISCH MASCHの今後の展望

今期

次に今後の展望についてです。
まずは今期（2025/1期）に関して考察します。

商品企画をダブルエーと一緒になって行うようになったのは昨年の秋冬からだそうですが、今期は春夏からフルサポートできる体制となっております。
（3月のMMの月次に、既にその効果が現れているのではないでしょうか？）

また、昨年は秋冬の異常な暖かさにより、秋のニット・冬のコートがかなり出遅れ、プロパー価格で販売ができる期間が限られてしまいました（通期予想未達の理由でもありますね）。
天候不順が無ければ、もっと利益が出せた可能性は高いです。

以上を踏まえると、今期のMMは、卑弥呼の2期目がそうであったように、大幅増収増益を期待してもいいのではないかと考えております。

海外展開

質疑応答集の中で明らかにされたのは、MMの今後の海外展開についての可能性です。

おそらく譲受元では海外の可能性は模索してこなかったのでしょうが、グループ傘下入り後に実際に台湾に出した2店舗は好評で、さらなる出店の引き合いも多数のようですし、検索してみたところ、中国の天猫国際（Tmall Global）にも出店したようですね。

中国本土での靴のEC販売は、サイズの細かさ・返品対応の難しさもあって目立った展開には至っていないですが、洋服やバッグであればそういったハードルはクリアできそうです。

台湾での滑り出しが順調であることを踏まえると、中国本土でのオンラインやライブコマースでのMMの効率的な展開についても、大いに期待感を持って見守ることができそうです。

またこの成功パターンが確立されれば、新たなアパレルブランドの獲得に力を入れていくことも予想されます。

アパレル再生＆海外展開が新たな成長ドライバーとして認識され、評価の高まりにつながっていくことを楽しみにしております。

バッグは在庫管理が比較的容易、かつ靴と相性の良い（セット販売しやすい）新たなアイテムとして ORiental TRaffic の既存店売上向上にも貢献し得るため、こちらも注目して見ていきたいです。

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