今月は、超高速回転技術をコアに、歯科医療用製品・外科医療用製品・一般産業用製品の3つの事業領域に展開する、ナカニシです。
当社に対する投資ストーリーのメインの一つは、「サイクルへの着目」です。
次期中期経営計画の発表を控える中、これについて説明していきたいと思います。
「耐用年数」に着目。
当社の主力製品は「ハンドピース」(歯科治療用切削器具、歯を削るドリルの部分)です。
文字通り片手に収まる器具で、ダイヤモンドのバーを高速回転させて虫歯や歯垢を除去する、歯科治療には欠かせないものです。
このハンドピースはハイエンドのものは1本あたり十万円台と高価なもので、刃の部分がもろくなって削れなくなったり、機構部分の劣化に伴い交換が必要となる、「消耗品」的な性格があります。
リピート需要が期待できる、長期投資向けのビジネスと言えますが、そのサイクルは長いです。
法定耐用年数で7年、実際の買い換えは医院によって異なるものの、当社に聞いたところ概ね5年と見ているとのことです。
底堅い需要の見込める「消耗品」であるが、その循環のサイクルは長い。
私はここから一つの投資アイデアを見出しました。
「コロナ特需」について。
当社は実は、コロナ禍の恩恵を受けた一社です。
歯科事業では歯科医院のロックダウンによる休業、外科事業では不要不急の手術件数の減少等があったことを考えると、意外感があるかもしれません。
実際の数字を見てみると、2020/12期の後半からいち早く四半期単位での増益に転じ、2021/12期・2022/12期と最高益を更新しています。
この背景に何があったかというと、「感染症対策ニーズの高まり」、さらに具体的に言えば「滅菌処理への意識の高まり」です。
ハンドピースには患者の唾液や血液などが付着しているため、場合によってはそれらに触れることで何らかの病気に感染する可能性があります。
院内感染の温床にもなりかねないため、本来は患者さんへの治療ごとにハンドピースは交換がなされなければなりません。
しかしながらコロナ禍以前は、いわゆる「使い回し」が、少なからぬ歯科医院で常態化していました。
考えてみれば恐ろしいことだったのですが、コロナ禍を契機に助成金等による支援もあって「治療毎の器具の滅菌処理」が普及していきました。
そこで何が起こるかというと、歯科医院毎のハンドピースの本数の増加です。
滅菌処理をしている間、個々のハンドピース単位で見ればダウンタイムが生じてしまうため、その時間分をカバーするための追加の本数が必要となってくるわけです。
例えば、医院全体で20本で回していたのが30本(+10本)必要となるようなイメージです(数字は適当です)。
当社はこの追い風に迅速に反応することで、業績を大幅に伸長させることができました。
「コロナ特需の反動」の反動に期待。
しかしながら、その後一転して2023/12期、そして今期と、減益での推移となります。
いわゆる「コロナ特需の反動」です。
さらに、欧米での金利上昇に伴う、歯科医院による設備投資需要の減退(買収したデンタルチェア事業の不振も含む)も重なりました。
ただ私はここを長い循環サイクルの中でのボトムと捉え、2024年は2,200円台を中心に買い増しをかなり積極的に進めてきました。
その背景にあったのは、「コロナ特需」は「特需」のようであって、実はそうではないという仮説です。
なぜなら、ハンドピースは「消耗品」だからです。
約5年という長いサイクルで、コロナ禍で増えた本数分の買い換え需要が発生するであろうと見ております。
つまり、「コロナ特需の反動」の反動です。
ということで、2025/12期の後半から2027/12期にかけて、業績的にまたもうひと山が来るのではないかというのが、当社に対する私の投資アイデアの一つとなります。



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コメント
とっても面白いアイデアですね
「コロナ特需の反動」の反動待ち♪
ハンドピースって5年も使用できるものなんですね
パソコンの耐用年数よりも長いとはー
ここは盲点ではないかと思っております。