脱税だ、申告漏れだとか、正直どっちでもいいと思ってしまいますが、これを読むと税金の話にはもっと敏感であるべきだと思い知らされます。
元国税調査官により書かれたこの本では、日本では確実にお金持ちだけを優遇する制度が社会の隅々まで張り巡らされていることが明らかにされます。
偽装農家
地主ばかりが潤う不動産経営
株主を優遇しサラリーマンを虐げる税制改革
富裕層の社会保険料率の低さ
大企業に踏み込めないマルサ
少子高齢化を招く一因となった、既得権益の象徴「保育業界」
金持ち優遇のため導入された消費税
そして、確定拠出年金における「ピンハネ」
…
詳しくは読んでみてのお楽しみ(というか、暗澹たる気分にさせられますが…)ということにしておきますが、思ったのは制度や料率の改定を時系列で見ていくことの大切さですね。
「その背景には何があるのだろう?」と考えて、無自覚な貧乏人から金を奪い取るための巧妙な仕組みから自衛する意識を持たなければなりません。
NVICの奥野さんがよく言われる「私たちは労働者であると同時に、株式投資を通じて現代の資本家になれる」という言葉は、その意味でも重要な示唆を与えてくれると思います。
著者は「素人が投資で儲かることはほとんどない」と投資には否定的ですし、「金持ちに対抗して徒党を組むべし」などと、ちょっと考えが偏っているかな…?と感じられる部分が散見されるのが残念なところですが、さらっと読める割に新たな視点を得ることができて、色々と考えさせられる本でした。
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