山口揚平さんの『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』を久々に読み返していたところ、以下の文章に目が留まりました。
多くの人は、財務分析というと、P/Lを見て、次にB/Sを見て、時間が余ったらC/Fを見る、という感じではないか。ところが、企業分析のプロはまったく逆の順序で分析する。
プロの分析は「C/F→B/S→P/L」の順ということですね。
そこでは、「C/Fこそは、事実であり、『生もの』の数字だからだ。P/Lというのは、成果を会計というルールで評価したもの、つまり、加工済みの『お惣菜』みたいなものである。」という説明がなされていました。
大昔に読んだ時には、ここで納得して読み飛ばしてしまっていたのですが、今ではまた違った意味合いを持ってこの一文が自分に迫ってきます。
それは、この本では詳しくは書かれていない、B/Sの発するメッセージが分かるようになったからです。
C/Fが一番重要なのは、上記のように「事実」であることに加え、企業価値がつまるところ、「将来キャッシュフローを現在価値に割り引いた額の総和」とされているからです。
そしてある程度長い期間のC/Fを見ていくことで、「成長」と「膨張」とを見分けられるという点も大きいかと思います。
いくらP/L上で売上高・利益が伸びていったとしても、B/Sがそれ以上のペースで膨らんでいってしまっては、それは「成長」とは言えないわけです。
投資額に対し、現金ベースのリターンが経常的に大きく上回る。
企業価値を高く見積もるためには、このような前提が必要です。
「現金の積み上がり方が、時間とともに加速していくイメージ」があってはじめて、私は「成長」を意識することができます。
(続く)
B/Sについては説明が長くなりそうなので、次回に回します。
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