先日、ハワード・マークス氏の逆張り投資について書かれたこの記事に、私はとても感銘を受けました。
特に、イェール大学寄付基金を運用するデビッド・スウェンセン氏の言葉を紹介した部分が印象に残ります。
「不愉快で独特」とは。
『アクティブ投資運用には、不愉快で独特のポートフォリオを採用することが要求される』
『不愉快で独特』とは美しい2語だ。
他の人と同じことを考え、同じ行動をとれば、他の人と同じパフォーマンスしか期待できません。
「安く買って、高く売る」ためには、心の命ずるままに行動するのではなく、群衆と距離を置く必要があります。
これが「独特」の部分。
では「不愉快」とは何か。
素晴らしい投資とはいつもこの『不愉快』から生まれるものと考えている。
つまり、みんなが嫌うものを買うということ。
みんなが嫌っているのをどうやって知るかと言えば、安いことからだ。
群衆と異なる投資を始め、その成否が実るまで数か月から数年かかるとなれば、それは「不愉快」です。
周りが儲けている中で、悶々とした日々を過ごすことになりますから。
でもそれに積極的に向き合うべきというのが、マークス氏の主張です。
私もこの「不愉快」を意識的に取り入れるようにしていたことから、一連の言葉には大いに勇気づけられました。
ポートフォリオの中に複数の時間軸を持つ。
私はポートフォリオに組入れる企業について、好業績が発現するタイミングという観点から、3つの時間軸を持つようにしております。
- 既に好業績が現実化しているもの。
- まもなく好業績が確実に訪れるもの。
- 時間はかかるものの(時期も不確実)、いずれ大幅な業績向上が期待できるもの。
1は言うまでもありませんね。
2は投資や広告などの先行費用がかさんで、たまたま現在が一過性の減益見通しとなっていたり、のれんの償却が終期を迎えつつある企業などがこれにあたります。
1ほどではありませんが、業績好転の確実性が高いだけに、株価として結果が出てくるのも早いです。
3は2よりさらに業績の低迷が続くケースで、いずれ良くなることは頭では分かっていても、美人投票の側面もある株式投資ではどうしても後回しにされがちで、周りが好調な中でも株価は低迷を続けます(つまり、安い)。
保有している側からすれば、まさに「不愉快」。
でも、あえて「独特」であろうとするために、そこを狙うのです。
パフォーマンス極大化のために、その都度、今をときめく企業に集中投資し、入れ替えていくという考え方もあります。
でもそれは同時に、ポートフォリオ全体の急落のリスクを常に背負いながらという形になりますし、いつも入れ替えがうまくいくとは限りません。
私は心の平静のためにも、さまざまな性格を持つ企業を組み合わせながら、チームとして戦う形の運用が好みです。
業種、内需・外需の別、時価総額のサイズ、そしてこの時間軸といった切り口から、多様性を持たせることを意識しています。
日経平均が暴落する日であっても、逆行高を演じる企業が複数あったり。
全体的に過熱感が漂ってきたとしても、まだまだ出遅れている「不愉快」組が散見されたり。
結果がバラバラに出るのが楽しいですし、また安心できるのです。
そうしたまだら模様のポートフォリオを維持することが、長く安定的に運用を続けるコツなのかもしれません。
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