私がその企業に投資するか否かの判断において重視しているキーワードの一つが、「全体最適」です。
つまり、これを想起できる企業に投資したいということです。
その対義語が「部分最適」となります。
それぞれの定義は以下の通りとなります。
- 部分最適:組織の一部(部署・工程・個人など)にとって最も効率的な状態を目指すこと
- 全体最適:組織全体として最も成果が出るように、全体のバランスを考えて最適化すること
部分最適を積み上げても全体最適になるとは限らず、むしろボトルネックが生まれて逆効果になることもしばしば。
例えば…
営業部門の効率化:営業部門が独自のツールで業務効率を上げたが、他部門との連携が悪化し、顧客対応に支障が出た
製造ラインの改善:ある工程だけに新しい検査装置を導入して不良品検査のスピードを向上させたが、次工程が追いつかず、全体の流れが滞った
といったことです。
したがって、いかに「全体」に目配りができ、「部分」を上手に統合できているかが、組織全体のパフォーマンスにとって重要となります。
社会・業界の全体最適
以上は組織の話でしたが、私は投資先を選定する上で、これを「社会」「業界」に広げてチェックしています。
すなわち、「社会あるいは業界の全体最適化に資する事業を行っているか」という視点です。
私が靴のSPA(製造小売業:企画から製造、販売までを垂直統合させることでサプライチェーン上のムダを省き、消費者ニーズに迅速に対応できるビジネスモデル)や、業界単位での商品情報交換の全体最適化を支援するソフトウェア業に投資したりしているのも、この視点があるからこそです。
企業内・グループ内の全体最適
また、ある企業が自社の中で全体最適化(全社最適化)を明確に意識していることが資料から読み取れ、リソースの配分を工夫していることが分かった場合にも、俄然興味が湧いてきます。
日立やソニーのように、「全体」を意識しながらグループの存在意義を再定義し、新たな成長路線を歩み始めた企業グループもいいですね。
なお、それぞれの現場では「部分最適」に一所懸命であっても、それが必ずしも企業やグループとしてのパフォーマンス極大化に繋がるとは限りません。
むしろリソースがボトルネックとなっている「部分」に必要以上に食われてしまう分、経営層から歯止めをかけなければいけないケースも往々にしてあります。
経営のセンス
こうした偏在を見極めて適切な手が打てるかどうかは、経営のセンスにかかってきます。
現場で優秀な実績を上げてこられた方が必ずしも経営者として優秀だとは限らないのは、こうした「部分」と「全体」の違いを意識できる、センスの有無も大きな要素なのではないかと思っています。
投資家の立場としては、難しいでしょうがそこをなんとか見極めたいところですね。
私が株主総会に足を運ぶようにしているのは、そうしたセンスが経営陣に備わっているかどうか、ご発言の節々から手掛かりをつかみたいということもあるのです。
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