急ピッチで変化を遂げ、複雑に分化した世界と日本の情勢を俯瞰的に捉え、個々人が認識すべき「3つの世界」を提示しつつ、2040年(本の帯では2030年ですが)までの生き方の処方箋を記した本となります。
「3つの世界」とは、お金によって突き動かされる「キャピタリズム」(資本主義社会)、世界中を覆うネットワーク上をデータが駆け巡って構築された「ヴァーチャリズム」(仮想現実社会)、土地に根差して自然のリズムで人々が協力して生活する「シェアリズム」(共和主義社会)です。
そしてそれぞれの経済は、資本主義(搾取漂白一元化経済)、認知主義(アテンションエコノミー)、信用主義(文化文脈保全型経済)によって成り立っているとのことです。
私自身について語弊を恐れずに言えば、「投資」という狭い枠組みの中で物事を考えることに少々飽きてきたということと、リタイア後の生き方におけるコンセプトやスタイルをもう一度考えてみたいということがあって、新たな視点を提供してくれるこの本からはとても得るものが多かったです。
この本に即して言えば、私はキャピタリズムの世界で基盤を作ってきた人間であり、ある意味、「ろくすけ」というキャラクターでヴァーチャリズムの世界を生きる人間でもあります。
ヴァーチャリズムの世界においては、「個性」、すなわち「個人の世界観をクリアに表明すること」が重要とのことですので、ここは自分なりにこれまで蒔いてきた断片的な要素を再構築する必要性を感じました。
また、意識としてこれまで手薄だった、シェアリズムの世界、その中でも特にコミュニティづくりについて関心を深めていきたいとも思いました。
世の中を体系的に理解したい、そしてそれを今後の生き方に反映させたい方にとって、大いに助けになるであろう本としてオススメです。
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