永守重信『永守流 経営とお金の原則』を読む。

読書

これから会社を興そうと考えている人、あるいは起業したばかりで奮闘中の若い経営者にぜひ本書を読んでいただきたい。


ということで、お金の仕組みについてなかなか学ぶ機会のない後進のベンチャー起業家に向けて、日本電産の永守会長が「絶対に会社をつぶさないための財務戦略」「会社を成長に導くための財務戦略」を柱に、経営哲学を述べた本となります。


まず意外に感じ、また大変興味深かったのが、金融機関との取引についてかなり紙幅が割かれている点です。

元々は技術畑の中小企業の社長が、実践の中で財務の感覚を身に付けていったこと、そしてその過程において金融機関の果たした役割が非常に大きかったことが分かります。

「金融パーソンの5つのタイプ」の分析などは、金融機関と真摯に向き合い、人間関係を尊重してきた経営者でないと書けるはずもなく、大変新鮮に感じました。

左側に資産、右側に負債と純資産(自己資本)を並べたバランスシートは、これまでの事業活動の結果であり、企業の顔といえるものだ。企業経営者たるもの自分の会社の顔に責任を持たなければならないのである


このように言い切れる経営者は、実はあまり多くはないのではないでしょうか。

永守会長の場合は、金融機関との取引を通して身に付けた、数字を駆使しながら論理的に説明する力、成長ストーリーを発信する力が、上場後にさらに花開くことになるわけですね。

(その集大成とも言える「人が集まる株主総会」には、いつか参加してみたいです。)

そして、CCCやROICといった、財務に関わる知識のアップデートや活用も怠りません。

日本電産は常に株価的には高い評価を受けておりますが、その中心には「自分の会社の顔に責任を持つ経営者」の存在があることに、今更ながら気付かされました。


投資家として「つぶれない会社」「成長する会社」を見極めるためのヒントも満載でした。

・製造業の損益計算書の見方(詳細はここでは伏せておきます)。

・M&A成功の3条件(同上)。

・オーナー経営者は経営の時間軸が長く(任期中に焦って結果を出す必要がない)、M&Aで有利。

・「足元悲観、将来楽観」
(「このままだったら危ない。えらいことになるぞ」と今を悲観している限り将来は明るい、という考え方)

考えてみれば、M&A巧者として知られる永守会長も、経営者であると同時に、厳しい目でキャピタルアロケーションを行う投資家と言っていいわけで、参考にならないはずがありません。


永守会長の普段のイメージとはまた違った一面を垣間見れる本で、楽しく勉強させていただきました。

「お金の原則」はいいのですが、「お金の減速」は辛いです。
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