前回、テンバガーまでホールドできない要因として、以下の3つを挙げました。
これらをクリアするために、どのような対処の仕方があるかを考えてみます。
1銘柄あたりのウェイトを下げる。
まず以下をご覧下さい。
優待族である嫁さんの、とある保有銘柄です。
ご存知、優待成長株です。
優待のある成長株であり、優待が成長する株でもあるこの銘柄で、テンバガーを実現しています。
ポイントは、嫁さんの投資手法が優待株バイ&フォゲットの超分散投資であることです。
基本、買ったら放置で、個々の株価はほぼ見ていません。
時々ポートフォリオ全体が増えているのか減っているのかをチェックするくらい。
このことから分かるのは、ポートフォリオを超分散投資のスタイルにして、いちいち「株価」は追わず、業績の回復見込みのない銘柄を間引いていく「勝ち抜き戦」の形にすれば、テンバガーを取ること自体は十分可能であろうということです。
ここまで極端でなくとも、複数単元を持つ中で、株価があまり気にならない程度の株数になるまで少しずつ売り上がっていけば、同じようにテンバガーまでホールドする上での心理的負担は減らせそうです。
例えば、2倍になったら半分を売り、元手を回収して残りを「タダ株(恩株)」とした上で、一部をできるだけ引っ張るという方法ならば取り組みやすいでしょう。
地味で堅実な銘柄を選ぶ。
とは言え、できれば主力で、ある程度の株数を温存したままテンバガーを取りたいですよね。
そこで私が意識しているのは、地味で堅実な銘柄を選ぶことです。
ピカピカな成長株は誰の目にも留まり、(たとえ実現可能性が怪しくても)将来の成長を見越した評価がなされます。
でもそれらと比較すれば地味な事業を行っていて、業績は安定しているものの成長スピードが多少見劣りする企業は、市場の評価は低いものに留まりがちです。
本当は安定しているが故に、あたかも元本が増えていく債券のように、遠い将来まで評価可能であるにも関わらず。
そこを狙うということです。
フェアバリューまでの距離があればあるほど、単元数を温存したまま引っ張ることもできます。
(参考記事)
まだ見えていない変化に期待する。
ただ、地味で堅実な銘柄を選んでも、なかなかバリュエーションは切り上がっていきません。
誰も気付いていないような、将来へとつながる小さな変化にいち早く気付ければいいのですが(これには物凄い労力も必要)、だいたいポジティブな要素に気付いた時には、既に株価は上がり始めています。
そこで私が先取りする意味で意識しているのは、潤沢なキャッシュフローへの着目です。
営業CFのプラス幅に対し、投資CFのマイナス幅が経常的に小さい企業、
すなわちフリー・キャッシュフローが経常的に大きな企業に投資しておいて、いずれ溜まったお金を使う機会が訪れることに期待するというものです。
例えば、営業CFが+100、投資CFが△20だとすると、差引+80が残ります。
無借金会社の場合、ここから配当がなされ、概ね残りが現預金として貯まっていくイメージです。
そしてこの現預金がいよいよ大きくなってくると、
- 大規模な設備投資(エリア拡大、新製品リリース、生産性向上等に向けて)
- 他社の買収(既存事業に親和性があるものが多い)
- 新規事業の開始(人材を積極的に採用)
といった活動につながりやすく、実行されればいずれ業績にはそれなりのインパクトがもたらされます。
同時に成長の限界に対する懸念も吹き飛びます。
元々こういった企業は慎重姿勢のところが多く、こういった取り組みは投資効率が十分吟味されていて、それなりに成功しているイメージがありますね。
もしもこうしたことが起こらなくても、事業に陰りが見えない限りにおいて、あり余る現預金からの増配に期待して投資を続けることもできます。
まとめ。
以上をまとめると、こんな感じでしょうか。
・地味で堅実、かつフリー・キャッシュフローが大きい銘柄を選び、リスクを限定。
その上で、あり余る現預金の活用による変化を巻き込んだ、大幅なアップサイドに期待する。
・ポートフォリオにおけるウェイトが高まり、かつフェアバリューを超えてきたら、徐々に売り上がる。
まあ、時間はかなりかかりますが、もしテンバガーを実現できれば、育てた実感がある分、喜びも大きいです。
このような条件を満たすような株をお持ちでしょうか?
もしお持ちでしたら、大事に育ててみると、思わぬ大輪の花が咲くかもしれませんね。
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