経済産業省「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」のNVIC(農林中金バリューインベストメンツ)さんのプレゼン資料で、「NVICの企業価値評価の枠組み」というページ(P.13)がありました。
経済産業省ページ
NVICプレゼン資料
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/sustainable_kigyo/pdf/004_05_00.pdf
企業価値評価をしようと思うと、すぐ「その計算式をどうするか」などということに頭が行ってしまいがちですが、この図ではそれを強く戒めています。
「企業分析」の財務情報から「企業価値評価」の財務情報へと伸びている矢印に「×」が付けてありますよね。
これは、いきなり数字をパチパチはじいて分析した気になってはいけないということを伝えているのだと思います。
企業価値評価のステップ
この図を見る限り、NVICさんは企業価値評価において以下の手順を踏んでいることが見てとれます。
- 過去/現在の情報を分析する
- 企業(含むライバル企業)との対話を通じて企業価値の源泉をとらえ、産業構造・競争力・収益構造に関する仮説を立てる
- 企業の将来の姿を想像して、企業価値評価をする
いきなり1→3にいくのではなく、2の「仮説を立てる」というプロセスが非常に重要な訳ですね。
もちろん個人投資家レベルでは「企業との対話」に関しては限界があります。
それでも、IRに照会したり、株主総会や会社説明会で質問したりはできますし、仕事や日常生活における気付きやネットでの情報収集も含めて、「企業価値の源泉」をとらえる努力をすることはできます。
将来を予測する上では、やはり仮説が不可欠です。
企業価値評価は、「成長率をどう設定するか」「キャッシュフローをどう予測するか」「資本コストをどの水準に置くか」といった変数の設定次第でいくらでも変わってきます。
だから、いきなり数字をはじいてはいけないのです。
奥野さんから教わったこと
以前ブロガー座談会に呼んでいただいた際、CIOの奥野さんと個別に少しお話する機会がありました。
その際、企業価値評価においてDCFを使っているかどうか質問させていただいたのですが、
「最後に、高すぎる価格で買わないためのチェックとして使っている」
というご回答でした。
これには強い感銘を受けました。
「お金を投資先の企業に預け、その企業に着実に儲けてもらう」手法を追求していくのであれば、まず預けるに値する企業かどうかの分析、仮説検証の方に全力を注ぐべきということですね。
この資料を見て、その時のお話とつながった気がしました。
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