今回が初参加になります。
直近2期の業績改善ぶりには目覚ましいものがあるのですが、2020年8月に就任した大村浩一社長の貢献も大きいと思われ、どんな方なのか実際に拝見したいと思い、姫路まで足を運んだ次第です。
株主総会
2列のうち1列を使い両隣は空ける形で、大ホールながらかなり余裕を持たせた設営。
33席用意されていましたが、最終的には34、35名の参加になったと思われます。
議長は大村社長。
まず、できるだけ短時間で終わらせたいこと、質疑については一人一問、全体で10分程度に収めたい意向であることについて説明がありました。
監査報告は監査等委員である菅尾取締役から。
終えたところで、どこからともなく拍手が。
(監査報告での拍手には違和感を覚えました…)
事業報告については、招集通知の中の主要項目のみ抜粋して説明する形で極めて簡潔。
スライドはありませんでした。
ここまでで9分と、極めてスピーディです。
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
冒頭の案内事項を再度徹底の上、回答は基本的に大村社長が対応されていました。
【質問1】
私はお父様の頃からファン。
品揃えに関しての要望だが、コーヒーはカフェインレスのものしかなく、店舗に普通の水なども置いて欲しい。
優待目的で持っている人もいるが、店舗で使いづらい。
商品の幅を広げて欲しいし、服以外も安くならないか?
⇒
少々お待ちください。
(事務局からのペーパーを待って)
あくまでベビー・子供用品の西松屋としての品揃えをしている。
マタニティ用にカフェインレスのものを置き、新生児用に純水を置いている。
貴重なご意見として承りたい。
→ちょっと衝撃的だったのですが、社長はこの後の質疑でも基本的に即答はせずに、事務局からのペーパーを待った上で回答をされていました。
【質問2】
西松屋は小学校低学年までのイメージが根強い。
目下、成長戦略として小学校高学年向けの商品の拡大に力を入れているが、認知度を高めるためのプロモーション・施策をどのように考えているか?
(私からの質問です)
⇒
小学校高学年向けには、アウター・肌着・靴下等を全店で展開している。
販促としては、チラシに載せる、高学年を登場させたCM、この世代向けの雑誌、YouTube等の活用をしている。
→ 会社のイメージを大きく変えるようなことまでは、今のところ考えていないという印象を受けました。
【質問3】
IR・株主についてどう考えているのか伺いたい。
1人1問、10分で終わらせなくてはいけない、スライドを見せてくれない。
こちらとしては理解を深めたいのに、そのような気概が感じられない。
機関投資家・アナリスト向け説明会の資料を、なぜホームページに載せないのか。
フェア・ディスクロージャーの観点からおかしいのでは?
それは差別ではないのか。
独立役員の方に伺いたい。
⇒
(大村社長)
新型コロナウイルス感染症対応として、議事を速やかに進行させるのが適切であり、その中でできるだけ多くの株主様にご質問いただきたいと考えている。
決算説明資料は掲載していない。
フェア・ディスクロージャーについてだが、一部の個人投資家だけが説明会に参加いただくような形ではかえって不公平ではないかと考え、ラジオ番組、ネット、証券会社での説明会を通じて情報格差が出ないように努めている。
(法律の専門家である独立役員に伺いたい、との質問者の声に対し)
(菅尾取締役)
業務執行が監査の対象であり、IRは対象としていない。
(中間決算・本決算時に決算説明会資料を堂々と掲載する気はないのかお伺いしたい、との質問者の声に対し)
(大村会長)
できるだけ多くの株主に情報を開示したいという思いはある。
しかし色々なステークホルダーがおり、競合も見ている。
詳しく情報を載せてしまうと、我が社の競争力を弱めてしまう。
我々も他社の情報入手に努めているが、なかなか開示しない競合の会社も多々ある。
開示したいのは山々だが、会社は競争しており、株主だけでなく競合他社も情報を取ろうとしており、バランスを考えながらやっている。
貴重な意見を頂いたので、幹部と相談しながら今後検討させていただきたい。
色々なステークホルダーを抱えている点は、何卒ご理解いただきたい。
(菅尾取締役)
会長の言われる通り、どういう形がベストなのか検討させていただきたい。
(差別かそうでないのかはっきりして欲しい、との質問者の声に対し)
(菅尾取締役)
平等性に反するものではなく、差別ではないと考えている。
できるだけ公平になるようにご意見として承る。
(大村社長)
貴重なご意見として承る。
→ 競合他社に情報を与えたくないというお話は他社でも伺ったことがありますが、機関投資家と個人投資家との情報格差を解消して欲しいとの要望に対する回答としては相応しくないと感じます。
(詳細な情報を開示したくないのであれば、機関投資家に対しても同様にすべきかと思います)
【質問4】
大量の自己株式を保有している。
J-ESOP分以外でも十数%ある。
このまま保有するのかどうか教えて欲しい。
⇒
ストックオプションを保有する役員・従業員の新株予約権の行使時に自己株式を交付する。
自己株式の消却の予定は無い。
質疑は以上で終了。
この後議案の提示と決議を同時に行う方式でした。
決議事項は以下の通りです。
- 定款一部変更の件
- 取締役(監査等委員である取締役を除く。)5号選任の件
- 従業員に対しストックオプションとして新株予約権を発行する件
以上で総会は終了となりました(36分)。
所見
大村社長の質疑応答での当意即妙なご回答やご発言の「切れ味」などを勝手に期待していたのですが、残念ながらこの総会からは伝わるものがありませんでした。
またBtoCの企業である割には、木で鼻をくくった対応とまでは言いませんが、個人投資家への対応に関してかなり物足りなさを感じたのは事実です。
優待目当てに留まらず、事業そのものについて関心があり、もっと情報も欲しい「ママ株主」もたくさんいらっしゃるはず。
ちょっともったいないなあと思います。
このところの本業における収益性改善の取り組みは素晴らしいものがあるのですが、ディスクロージャーや総会運営そのものの評価としては★1つ寄りの★★☆☆☆という印象でした。
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コメント
かなり外からの勝手なイメージとは違う会社な感じですね。
どの質問も事務局のメモを読み上げるだけなら、ここの会社の議長さんはお飾り?
なんとなくオーナー会社風だから、もっと自由度があるかと思ったら、そうでもなさそうですね。
自由に議長にしゃべらすと問題が起きかねないから、後ろでしっかり手綱を引いている?
IR関係の話、回答が揃ってボロボロな気がしました。
社長は「一部の個人投資家だけが説明会に参加いただくような形ではかえって不公平」とか言っておいて「じゃ次回は?」と聞かれ、子供じゃ答えれそうにないからと親が出てきて「詳しく情報を載せてしまうと、我が社の競争力を弱めてしまう」とか全然別の回答が出てくる始末。当初の話の「フェアネス」のなさを追認(一部機関投資家にだけ表に出せない話をしている)ような回答が飛び出してきて「親子で大丈夫か?」なんて思ってしまいました。「一部の個人投資家だけが説明会に参加するのが不公平」の一方、「一部の機関投資家だけが説明会に参加するのは公平?」と考えていることが今回の回答ではっきりして、役員のそのような思想・行動が差別にならないかという事で、会社と投資家の間に中立の立場になって考える法律家でもある独立役員さんの回答が「業務執行が監査の対象であり、IRは対象としていない」と「IRの無法ぶりは対象外で俺は知らん」と言えるんだと勉強になりました。株主さんからの「これがなぜ差別じゃないのか?」に関しては法律家の独立役員さんのしっかりした理由付けのある回答が感じられないのもちょっと残念な気がしました。
こういうところでびしっと株主さんからの質問を的確に答える事こそが、株主さんからの信頼を集めるものと思いますが、なかなか厳しそうですね。
大村社長は社長就任前から在庫管理を始めとする社内改革に取り組み、実際に成果も出しておられますので、能力のある方だとは思っています。
おそらくIR周りに関しては従来のやり方を踏襲したままなのでしょう。
地方企業ということもあってか、これまで特に疑問を呈されることなかったので、
まともに考える機会も無かったのでしょうね。
(あの場の回し方からして、想定問答にも入っていなかったのでしょう)
今回を機に見直されていくのかどうか、注目していきたいと思います。
西松屋さんは出産した娘がよく利用しており、クロスでですが優待ももらっていますが、これは個人投資家にとってはかなり残念感がある対応のように思います。
私自身は地元が本社のジェイ・エス・ビーとシステムディぐらいしか継続的に株主総会に参加できていませんが、
ジェイ・エス・ビーはちょっと西松屋に近いところがあるかもしれません。慎重すぎて積極さ、率直さに欠けるようなIRの対応が多いです。
システムディは社長自ら素早くメールでレスポンスがあったりしますし、株主総会後も説明会があり、やりとりも多くあり、印象はジェイエスビーとは全く違います。
「詳しく情報を載せてしまうと、我が社の競争力を弱めてしまう。」ような情報というのはかなり限定され、そうではない、知っている人は知っているような周知のこととか掲載、告知して支障がない情報も多くあると思うのだけど、なにか慎重に言い訳しようとして、却って基本姿勢の不十分さが露呈してしまっている感があります。
競争力を弱めてしまうような情報って何なのだろう?と考えてしまいますよね。
この姿勢では株価も上がりにくいよなあと思ってしまいます。