一部のホルダーの間で、密かに「なにわのGAFA」と高い評価を受けまくっている eBASE。
各業界における「商品情報交換の全体最適化」の仕組みをいつの間にか作り上げてしまった、凄い会社であります。
そのビジネスモデルの盤石さを印象付けた株主総会と決算説明会を、3回に分けてお伝えします。
株主総会
100名弱の席のほとんどが埋まっており、株主の関心の高さがうかがえます。
事業報告は招集通知の内容を少し端折りながらの説明。
スライドも適宜活用していましたが、それでも冗長にはなってしまいますね。
後で説明会が開催されるのですから、ここはもっと簡略化できるのではないかと思いました。
その中で「対処すべき課題」に時間を割いていただいたのは良かったです。
ここの一番目の「人材の育成」に書かれていたことが、後の質問に役立ちました。
決議事項については、剰余金処分の件、取締役選任の件ということで、特筆すべきものはありませんでした。
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
Q
競合について教えて欲しい。
A
食品業界とそれ以外に分けて説明したい。
食品業界においては、食の安全管理システムという意味での競合は何社かある。
ただ当社は小売業に絞って集中的に営業をしてきた結果、既に売上上位50社中31社に採用いただいている。
業界標準としての圧倒的な優位性があり、残りも全ていずれ当社を使うこととなるだろう。
(商品情報の標準化が各業界のエコシステムの中で価値を創造し、利用者の増加が更なる利用者の増加を促す、正のフィードバックが働いていることがうかがえます。このネットワーク外部性が「なにわのGAFA」たる所以。)
食品業界以外では、国内には目立った競合は無いが、海外で圧倒的な存在感のある SAP Hybris(ハイブリス)とは一部バッティングする。
ただし、当社の仕組みを使うのに1億円、半年を要するケースがあったとすると、SAPでは3~5億円、3年くらい要してしまうため、小回りが利くという点で当社に優位性がある。
Q
顧客からの入札による見積依頼にはどう臨んでいるのか。
A
正直言って、「安くても取れない」という現実がある。
核となる商品情報管理システムは出来上がっており、0から作り上げることと比較したら圧倒的な低コスト。
だが富士通のような大手SIに対しては、例えば当社が50百万円、先方が2億円を提示したとしても、過去からの蓄積で負けてしまう。
「評判になること」が解決策で、デファクト化を愚直に進めていくしかないと考える。
Q
セキュリティ対策はどのように行っているか。
A
(商品情報という)オープンな情報しか管理していない。
仮に漏洩することがあったとしても、大きな支障はないと考える。
今後取り扱う情報の質が変われば、セキュリティのレベルを上げる必要はあると思う。
Q
食品業界以外に向けて開発・販売を進めていくにあたって、人的リソースが足りているか否か教えて欲しい。
(これは私が質問しました。他業界への展開はとても有望に感じるのですが、当社の業容からして人材面がボトルネックになるのではないかと感じたので。)
A
困っている(笑)。
eBASEの営業は足りていない。内部からサポート要員を回すなどして対応している。
(これはちょっと心配。まだまだ小さい企業で経営資源に限りがあるので、複数業界に対して同時並行で一気呵成にプラットフォームを作り上げるのは難しそう。急成長を期待してはいけませんね。)
開発に関しては、ミドルウェアeBASEという核があり、それを改良・レベルアップさせる形で進められる。
人材の絶対数としては足りてはいないが、我々は eBASE-PLUS(IT開発アウトソーシングを営む子会社)というITの人材プールを持っている分だけ、他社程には困っていないだろう。
300人強の中から、eBASE向けの受託開発に常時振り向けている(20名位?)。
(東証1部指定となったことで、人材獲得面のメリットはあるかもしれませんが、当社の事業内容の素晴らしさを理解した上で入社してくれる人がどれだけいるかは疑問ですね。お金はあるので、人材プールを獲得するという目的でのM&Aをまた行うことはあるかもしれません。)
所感
常包(つねかね)社長が質疑応答も全てお一人で対応されていて、さすが創業者(凸版印刷からスピンアウト)だけあって事業に対するこだわりの強さを感じました。
ソフトな語り口でとても丁寧に説明して下さったので、自分でも疑問点を整理しながら聴くことができて良かったです。
(続く)
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