ようやく株主総会の模様をまとめることができましたので、旅行記で神戸に到着する前にアップしておこうと思います。
今回が初参加となります。
人々の暮らしの安心安全を守る企業として、できれば主力の一角として長期目線で応援していきたいと考えている先です。
ただ自分なりに色々と調査・分析を進めてきたのですが、宮崎社長の画像がネット上では見当たらないなど(採用強化のためにも、ぜひ前に出て色々とアピールして欲しいんですけどね)、経営陣についてまだまだつかみ切れていない部分もありましたので、どうしても現地に赴いて人となりを確認しておきたかったんです。
株主総会
会場は本社のあるビル内の会議室でした。
受付には採用公式チャンネルに登場した方、クラウドサービスの営業サポートをされている方がいらっしゃって、社員全員の顔が見えるような規模感ならではの親しみやすさを感じました。
32席用意され、出席者は18名(目視)。
議長は宮崎社長。
お話しぶりから、頭の回転の速い方だとお見受けしました。
クラウドサービスを大きく伸ばしたのは、宮崎社長の時代になってからですよね。
報告事項は、主に招集通知の内容に基づき、内容の簡略化されたスライドに沿って宮崎社長が説明されていました。
対処すべき課題と重点施策が中心だったかと思います。
その後、6月で上場20周年を迎えたことにつき(意外と上場歴は長いですね)、感謝のお言葉がありました。
決議事項は以下の4つです。
- 剰余金の処分の件
- 定款一部変更の件(事業目的の追加他)
- 取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件
- 監査等委員である取締役2名選任の件
(この時点で10:14)
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
基本的に宮崎社長が対応していました。
【質問1】
1.中期経営計画の3年で従業員を60名から80名まで伸ばすとある。多い期で純増+4名という状況の中で非連続的に思えるが、ここまで増やすための施策・知名度アップをどのように考えているか。
2.さらに将来的には従業員は200名まで増やし、売上高としては50億円まで増やしたいとある。そこまで成長させられるだけの実現したいアイデアがたくさんあるにもかかわらず、人手が足らずに実証実験ができていないのが現状という理解で良いか。
(私からの質問です)
⇒
(宮崎社長)
1つ目の質問に関しては私が概略を述べた後、採用教育担当の岩田からも詳細を説明させていただく。
まず1つ目についてだが、新卒については学生は計画通りに採れるようになってきている。
ただ、社会貢献・安心安全・社会課題解決、そういったことに想いのある方を集めるのは難しいものがある。
営利目的として動くことは、もちろんビジネスとして必要。
しかしながら私たちは、消防・警察向けに、人命をお助けするツールを作っている。
利益だけ追及していくと、判断がなおざりになる部分が生じてしまう。
社会に対してプラスとなる選択をできる人材が必要。
中期経営計画もそうだが、こういった側面を前面に出している。
中途採用においても、考え方は同じだ。
2つ目についてだが、Govtech(ガブテック)ということで、官公庁もDXとして何かやっていこうという機運が高まっている。
お金も付いてきている。
ただ、コロナアプリを見ても分かるように、空回りしているのが現状。
現行の大手さんは、残念ながら古い技術を捨ててまで新しいことに取り組もうとはしない。
その一方で環境は10年前とはかなり違ってきていて、できることの幅が広がっている。
危ないこと、事故を防ぐことを一つ一つやっていかなければいけないが、実証実験でクリアしていかないと、なかなか官公庁には入っていかない。
実証実験を経て、セキュリティはここまでやる、これをやれば効果的といったことを細かくお示しできる。
いままでの技術を集め、提案できる体制は整っている。
組織としてサービスに対してどう対応すべきかも、各自治体にお示しできる。
(開発から運用サポートまでの一貫体制を敷いているということですね)
現状売上高は十数億円程度だが、それ以上の機能は整備している。
目標値(50億円)を目指していけるところまで技術は進んでいるし、スタッフも揃ってきている。
(岩田取締役)
人材がボトルネックとなっているのは事実。
IT業界は人材を集めるのが苦しい。
新卒については採用し教育を進めているのが4名おり、年内で即戦力化を図る。
中途については開発中心。
今の会社の伸びに沿っていくと、開発、営業、サポート、管理部門、いずれ全て不足するだろうという問題意識がある。
紋切り型の採用ではなく、外国人も対象にしたり、女性も働きやすいよう職場環境を整える、あるいは大学の研究室にレクチャーするといったことにも取り組んでいる。
人材紹介会社にお金を払って任せるだけでなく、自分たちの力で想いに共感していただける方を一人でも多く採用したい。
人材が第一優先課題であることは間違いない。
→ 実証実験を多数行えるだけの人材が揃えば、業績の伸びは加速していくのではないかという仮説を持って質問させていただきました。やはりボトルネックはここにあるということですね。人材獲得に向けた認知度向上、想いの共有、頑張って欲しいです。
【質問2】
設備投資についてお伺いしたい。
中期経営計画にあたって、大きな投資を検討されているのか。
3~4年周期でまとまった金額の投資があるが、定期的に出ていくものがあるのか。
⇒
中期経営計画において、メインの事業はクラウドサービス。
ほとんどが直販で、自分達でメンテナンスもしている。
IDC(インターネットデータセンター)を借りているが、過去一番大きかったのはデータセンターをまとめて変えた時。
最近はデータセンターを増設し、(サーバー等の)メーカーも変えて増やしている。
止まらない仕組みとして回線を増やし、どっちがコケてももう一方が稼働するよう、セキュリティを強化している。
今後かかるものとしては、人の採用。
想いも大事だが、お金も重要。
今までやってきたよりもお金をかけていく。
データーセンターの補強、クラウド関係の設備・技術にもお金をかける。
売上は間違いなく増えていくということが背景にある。
(せっかくの機会ということで、最後に皆さんが一番関心があるであろう質問をしてみました。)
【質問3】
110番映像通報システムの(全国)警察庁入札案件に関する質問をさせていただく。
2021.1.7に宮崎社長が記者会見で「警察庁が実施する入札には参加する」と述べられ、受注獲得に意欲を見せていた旨の記事をネットで見た。その後の顛末については皆さん大いに関心があるところだと思うが、本件に関してはこれまで(IR照会を含めて)一切オープンになっていない。この場でというのは難しいと理解しているが、今後何らかの機会に本件についてご説明いただくことを検討されているかどうか伺いたい。
(私からの質問です)
⇒
正しい日本語で申し上げると、「契約上の理由から回答できません」ということになる。
契約違反になるので、説明できないということ。
→ はい、これで十分ですね。落札者(本年1/4に判明)は当社ではありませんでしたが、本件入札に関して(某社と)協働していることが、この「契約」という言葉からうかがえます。つまり「失注したどころか、そもそも自社では入札には参加していない」(=初めから某社の下に入る形で入札に参加している)と推定できるということです(注:あくまで私個人の考察に過ぎません。念のため)。であれば、年初の株価暴落は何だったのかということになりますね。これからずっと何も発表されないままの可能性もありますが、少なくともシステムが稼働し始めれば業績には貢献してくることでしょう。実はこの件については複数の状況からほぼ確信めいたものがあったのですが、その辺りの考察についてはまたタイミングを見て別途お話したいと思います。
この後議決を経て、10:37に終了となりました。
所見
運営にムダがなく、質疑も【質問1】【質問3】ともに想定していた以上の素晴らしいご回答をいただくことができました。
総会終了後、建物を後にしようとしていたところ、2階から岩田取締役がわざわざ1階まで降りてきてくださってお声がけいただき、名刺交換をさせていただきました。
どうやら総会での私の質問が絶妙なポイントを突いていたようです。
普段から度々IR照会をしていたことも覚えていただいていたかもしれませんが、とにかく一人の個人投資家として心に留めていただいたことは大変嬉しかったですね。
(少しだけお話もさせていただきました)
従業員60名のまだまだ小さい企業ではありますが、果敢に「エッセンシャルカンパニー」を目指していく道程を応援していきたいと強く思える要素を、いくつも見つけることができました。
評価は今後の期待も込めて、★★★★★とします。
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コメント
思うところをご披露いただけませんか?
「消防・警察向けに、人命をお助けするツールを作っている。
利益だけ追及していくと、判断がなおざりになる部分が生じてしまう。
社会に対してプラスとなる選択をできる人材が必要。」
→いまいち具体的にどんなケースがあるかピンときませんでしたが、想像つきましたか?
宮崎社長さんの回答では「目標値(50億円)を目指していけるところまで技術は進んでいるし、スタッフも揃ってきている。」と人材獲得に関しては及第点がある感じですが、岩田取締役の回答では「人材がボトルネックとなっているのは事実。」と何か温度差を感じてしまいましたが、この辺はどんなニュアンスに感じられましたか?
そもそも入札に参加していなかった説は興味深いです。
それを複数の状況から察していたとはなかなかですね。
その推理の話期待してます。
コロナ前はもっと参加者がいて、質問もそれなりにあったと聞いていてそれを知っているので、まぁご時世上仕方ない感じがしますが、期待した入札後のちょっとタイムリーなタイミングでの総会で、それほど質問が出なかったのは残念な感じがしましたがまぁこんなものでしょうかね?
レポートありがとうございました。
ご質問の件、以下の通り回答させていただきます。
・「利益だけ追及していくと~」
→ 例えば、「誰一人取り残さない」ために、アプリで高齢者や障がい者の存在も視野に入れて、あえてコストをかけてユニバーサルなユーザビリティ向上を図るといったことがあるのかなと思いました。コスパだけを追い求めたら切り捨てるべき部分も出てくるのでしょうが、一人一人の人命が関わってくるとなるとまた違う判断もあるでしょう。
・人材獲得の件
→ 宮崎社長の方は50億円を目指すにあたり「現時点でスタート地点には立てた」というニュアンスのお話で、岩田取締役の方はそれを実現するための「将来に向けての課題」のお話をされているものと私は理解しました。
・入札の件
→ なかなか面白い記事が書けるかと思いますが、110番映像通報サービスが正式にリリースされたタイミングが良いのかなと考えています。
コロナ前は参加者がもっと多かったんですね。
参加者が減ったのは、昔に比べると事業の安定性が増してきたからなのかもしれません。
それにしても、入札の件の質問が他の方から出なかったのは意外でした。
分かりよい総会のレポート、ありがとうございました。
6_sukeさまの仰るとおり、
「契約上の理由から回答できません」ということになる。
これに優る社長コメントはありませんね。
営業利益率、自己資本比率などの数字、社会インパクトのある業務内容(トップラインの伸びも期待できる)、自分の出身地である神戸の会社などなど、長期ホールドを解除する理由はないので、引き続き保有しますが、仕事の都合で株主総会に出られない歯痒さがありました。
6_sukeさまの記事で納得も得心もしました。
初めてコメントさせていただきましたが、ebaseをはじめ、いつも会社分析の記事や旅行記を楽しみに拝読しております。
引き続き、よろしくお願いします。
藤井さま、初めまして。
いつもありがとうございます。
長期ホールド予定の株主様のお役に立てたとすれば何よりです。