SHOEI株主総会2020(2)(★★★★★)質疑応答

株主総会・説明会

質疑応答

(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)

質問は基本的には石田社長が答えておりましたが、一部生産本部長を務める鶴見専務が答えていらっしゃいました。
とにかくお二人の回答が論理的で説得力があり、素晴らしかったです。

(写真は手前からJ-CruiseⅡ、Glamster、IT-HL(仮称)、Z-8、X-Fourteenマルケス兄弟モデル2つ)


Q
毎年お小遣い(配当)アップに感謝。
今は調子が良すぎて信じられないくらいだが、社長や取締役の方々が考えるリスクは何か。

A
3つあると考えている。

①マーケットの成熟
先進国のライダーが高齢化し、平均50~59歳。
こういった方々が10年後、20年後にオートバイに乗らなくなったらどうなる?というのはある。
新興国への販売や、バイクメーカーさんが若い人を引っ張ってくることに期待してはいるが、ここは大きな課題。

②天災
メイドインジャパン、茨城と岩手だけでやっている。
地震、台風、火災等の不安はつきまとう。

③超円高
3/4は輸出。
民主党政権時代のように、1ドル80円、1ユーロ100円となってしまうときつい。

ではどうしていくか。
それを話し出したら、時間がいくらあっても足りない。

一つだけ。
オートバイヘルメットだけでこの先何十年持たせるという考えは、どこかで切った方がいいのではないか。
他の事業を考える時期にそろそろ来ている。


Q
優秀な石田社長の健康面や、ヘッドハンティングされないかが心配だ。

A
私は目の前のことを普通にやっているだけで、大した人間ではない。
諸先輩の支えがあってのもの。
健康面も大丈夫。
諸々ご心配なさらずに。


Q
3点教えて欲しい。
1.北米市場の今後の見通し
2.コロナ禍で自転車通勤・二輪車通勤が増えている感覚はあるか
3.中国を除く東アジアで販売単価は上がっているのか

A
1⇒
当面は数量横ばいで考えており、我々の期待もそういうこと。
理由は二つある。

一つ目は、他の地域の方が単価も利益率も高いため。
アメリカを増やす論理的根拠が無い。

生産が増やせるなら他に回した方が良い。

二つ目は、PLリスクが大きいため。
裁判で何億円も持っていかれるケースがあるし、多額の保険も掛けている。
対応に大変手間がかかる。

かつては流行をリードするというそれなりの意義はあったが、これらを考えると割に合わない。

2⇒
申し訳ないが、それに対する答えは持ち合わせていない。
コロナ禍でも販売台数は1割増えている。
乗っている人が通勤なのかレジャーなのか、把握していない。
新型コロナは追い風にはなっているようだが。

3⇒
日本国内と同じ、もしくはそれ以上。
最も高い部類が売れている。
国内・アジアの売上高営業利益率は上がっている。
特に中国については、CCC規格へ対応するための製造コストを着実に転嫁できており、利益率も高い。


Q
ヘルメットユーザーを考えると、日本は相当成熟している。
1.世界的な市場シェアを60%から例えば70%に上げるとか、競合他社からスイッチさせる必要があるのではないか。
2.生産増強も必要ではないか。BCPの観点から、日本国内で別の場所、例えば西日本に新工場を作る考えはあるか。

(→ いずれもナイス質問だと思います。)

A
1⇒
シェアありきの経営は目指さない。
いいものを、よりたくさん買っていただくことのみ。
競合他社の価格の下をくぐるとか、対抗商品をぶつけるとかしてしまうと、経営スタイルから逸脱してしまう。

2⇒
生産増強は考えているが、東日本での増強が基本。
人的配置・外注・協力といったことを考えれば、できるだけ近くにまとめた方が効率がいい。

(鶴見専務)
茨城・岩手は、隣接した土地を買って両工場を拡張する方向で考えている。
営業の数字はどうか、中国の需要は本当に固いのかを精査する。
+2~3万個/年で伸びていて、かつ平均単価も上げられているとなれば本物だ。

新しく工場を作るとなると、手作業仕事であり人を募集しなくてはならず、増産に時間がかかる。
相当なお金も要る。
両工場で増員・増設し、じわじわと上げていく。

新卒に関しては地元からの信頼は完全に勝ち取っている。
工員の確保に関しては、作業内容を選別しつつ、70歳まで働いてもらう形で考える。
働いてもらえるための仕事は十分ある。
協力工場も人が採れなくなってきているのもある。

年配者をできるだけ使いながら、コツコツ生産増を図っていく。
例えば売上高が▲10%のペースで落ち込んでいったとしても、年配者がある程度いてくれた方が撤退の方向性でも考えやすいから。


Q
素晴らしい経営をされているのはもちろん、今回の招集通知の以下の書きぶりに感動した。

なお、新型コロナウイルス感染症はまだ現時点で収束しておりませんが、入場制限や総会時間の短縮は特に考えておりません。当社は、株主総会を単なる議決の場に留まらず、株主様と当社間の貴重な交流の場と考えておりますので多くの株主様にご出席いただけるようお待ちしております。

たいていの会社は出席は自粛しろ、来るなと言うばかりで、これだけ株主を尊重してくれる会社はない。
これからもこの姿勢を続けていただきたい。

(→ おっしゃる通りですね。私も感動しました。)

A
これは質問というよりご感想ですね(苦笑)
ありがたく頂戴します。


Q
業績は盤石、安心して見ていられる会社だ。
前の方が言われたように、招集通知も素晴らしいと思う。

また事業報告の発表の仕方も良いし、定性課題に対してできたこと、できなかったことを説明してくれて分かりやすい。
常にトップが具体的に課題を把握されている。
米国の訴訟社会のお話、お年寄り活用による社会貢献のお話も非常に感心させられた。

(ここで石田社長より「ありがとうございます」と謝辞)

これだけのシェアがあると、全体のマーケットがどうなるかが一番大きいと思う。
新興国の所得が上がっていけば増えていくであろうとは想像できるが…。

質問は2点。
1.800億円というマーケットは、10年前から比べてどうなのか。
2.8割が手作りと聞いたが、ロボットが進化する中でそれはどうなんだろうと疑問に思う部分がある。人と機械とのバランスをどのように考えているか。

A
1⇒
市場成長率は正確には把握していない。
昨年まで先進国で年+3%、アジアで+10~15%くらいという感覚。
ただし、中国は当社は倍々ゲームで、市場としては+3割くらいあるかもしれない。
急に伸びたので把握しきれていないというのが実情だ。

2⇒
(鶴見専務)
海外のバイヤーが必ず工場を見て言うのは、「これだけ人が手間ひまをかけて品質にこだわっているのだから、当然この価格になるのだと、お客様に納得いただけるような説明ができる」ということ。
機械だとなかなかそうはいかない。

デザインを貼る、部品を付けるといった工程では、熟練工の手作りならではの味をできるだけ出したい。
一方、穴を開けるだけといった付加価値のないものであったり、塗装を重ねるとか出荷とか、力が必要な部分については、徹底的に機械化をしていきたい。


Q
受注残が63期(2019/9期)比177%と大きい一方、棚卸資産はかつて月商の1.6ヶ月分程度だったのが直近では2.6ヶ月分に増えており、ちぐはぐな印象を受ける。
代理店の統制、生産面、どこに原因があるのか、またその改善策はあるのか教えていただきたい。

(あえてちょっと毛色の違う質問を投げてみました。)

A
64期(2020/9期)の在庫増はテンポラリーなものだと考えている。

生産が押せ押せの状況。
代理店はコンテナ単位で引き取るが、極端なことを言えば、コンテナに入れる最後の1個が間に合わないような状況が頻発した。
また9月末は、新型コロナで船積みが遅れがちだったことと、代理店によっては在庫調整のために船を1~2週間遅らせて欲しいとの要請もあった。
製品在庫として3~4万個増えた形になっているが、65期(2021/9期)にはこれが解消しているはずだ。


以上で質問は終わり、決議に入りました。
その後、執行役員2名からの簡単な挨拶がありました。

次回は65期(2021/9期)見通しに関する説明会の内容と、全体のまとめです。

ベテラン投資家さん達の質問が的を射ていて、当社の経営スタイルがうかがえる良い回答を上手に引き出していたように思います。
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