質疑応答の続きになります。
質疑応答(2)
【質問8】
海外事業について情報が少ない。
通期で赤字が続く見込みとあるが、どのくらいのスパンで黒字にできると見ているのか。
課題と対策について教えて欲しい。
⇒
海外事業には二種類ある。
一つは、グローバルフランチャイズ本部。
こちらは大きな拡大は考えていない。
もう一つは、2019年7月に買収した欧州のフライチャイズ事業。
日本同様、大変魅力あるマーケットと考えている。
買収前後から、日本のノウハウを欧州に活かす取り組みを始めていた。
20店舗ほどパイロット店舗を作ったが、好調な推移を示していた。
しかしながら、その直後にコロナがあり、欧州は2年間政令によりロックダウンとなり、店舗は全て閉鎖を余儀なくされた。
昨年末から今年の春にかけ、ロックダウン解除、営業再開が進んできた。
従前は日本のような会員のサポートの仕組みが弱い、オペレーションレベルが低いという課題があったが、ここ半年くらい整ってきて、会員を増やせる状況となった。
会員数が純増に転じたのが足元の状況。
今後、欧州の各マーケットで地域に合ったブラッシュアップを進めていく。
来年、モデル店を出店し、成功したら拡大に舵を切っていきたい。
欧州ではフィットネス業界の勝ち負けがコロナ禍を経てはっきりしてきている。
勝てるノウハウをしっかりと作っていきたい。
現状計画は立てていないが、状況が進んでいく中でお示ししていきたい。
→ 欧州事業については私も質問しようと思っていたのですが、ここで十分な回答をいただけました。コロナ禍前にかなり手応えを得ていたようで、今後には大いに期待できそうですね。
【質問9】
フランチャイズ加盟店との関わりについて教えていただきたい。
インストラクターに聞いた話では、研修センターはなく、キャンプをやっていると。
ロイヤリティについても、お客さまのご利用料金との兼ね合いにおいてどういうお考えなのか、お聞かせ願いたい。
できれば増本陽子取締役にお話を伺いたい。
⇒
(増本陽子取締役)
研修センターは本部の中にある。
コロナ前は200~300人、入って一ヶ月以内の方向けに、毎月研修を行っていた。
全国から来ていただく形で、15年続けてきた。
コロナ禍になってからはオンライン形式で、100人/月程度で続けている。
研修制度はしっかりある。
そして3ヶ月に1度、各地で(フランチャイジーの)オーナーと店舗の方々を集めて研修会を行っている。
振り返りや戦略の共有をし、決起するための場としている。
また、年に1度、コーチ全員を集めたコンベンションがある。
コロナ前は横浜パシフィコで行っていた。
ワンチーム、ファミリーのような形でチェーンを運営している。
一番大切にしているのは、加盟店の皆様。
→ 言葉に想いが込められていて、強い力を感じました。トップがこういう方だと、加盟店のオーナー、インストラクターの方々のモチベーションは上がるでしょうね。チェーン・マネジメントを担っているのは、まさに適材適所という印象です。
(増本社長)
加盟店は(店舗数ではなく)企業数としては約370。
1社あたり複数の店舗を運営している。
我々の役割は、各フランチャイズの社長と理念を共有し、複数店舗のマネジメントのサポートするのが一つ。
インストラクターの指導、技術向上のサポートをするのも我々の役目。
直接指導する仕組みとして研修会やオンラインプログラムがあり、教育に注力している。
こうしたことを通じて、つながりの強いチェーンが作れている。
理念をしっかり伝え、それに基づき現場で活動していただくことを通して、経営基盤の強化に力を尽くしていきたい。
ロイヤリティを下げて店舗数を増やすような考えは持っていない。
加盟店にはしっかりサポートをして価値を感じていただきながら、ともに繁栄していく考え。
会費の値上げについては既に開示させていただいているが、来年6月からとなる。
この4,5月から告知をし、周知は進んでいる。
経営基盤強化のため、特にインストクターの待遇をより良いものにしていくためのものだ。
【質問10】
海外事業の中で、なぜ米国でなく欧州に力を入れることにしたのか?
(私からの質問です)
⇒
世界のカーブスの権利は、元々米国の本部が持ち、ライセンスを各国に与える形だった。
我々は日本のマスターライセンスを得てスタートした。
2018年に米国の総本部を買収したが、権利を持った会社のみ、知的所有権のみ取得し、経営状態の思わしくなかったオペレーションの会社は切り離した。
そのような経緯があり、米国は現地のカーブスノースアメリカが運営しており、直接関与できる状況ではない。
そこで我々自身がコミットしていく部分を作っていこうという時に、欧州に白羽の矢を立てることとなった。
選んだ理由は、経済状況、社会情勢が成熟しており、日本と同じように展開しやすいと考えたから。
健康事業は、経済が成熟していて、自分の健康のためにお金を使う意識がある地域でないと成功しない。
特に、イギリス、スペイン、イタリアに着目している。
先進国であり、50歳以上の人口が多く、成熟していて健康に対しての関心も高い。
買収した欧州のフランチャイザーは、現地の優秀な人材が数多く残っている。
それも判断理由の一つ。
【質問11】
アフターコロナを見据えた力強い成長のメッセージを打ち出すべく、中期経営計画の開示をお願いしたい。
いつ頃出せるか、どのように考えているか?
また株主に対するメッセージという意味では、株主総会のライブ中継もしくは録画配信もぜひお願いしたい。
⇒
コロナ前は、5年後、6年後のビジョンを開示していた時期もあったが、一旦白紙にした。
立て直しに追われているのが現状。
今後、業況が安定的になったら、中期経営計画についても検討していきたい。
株主総会のインターネットでの配信のご意見も参考にさせていただく。
以上で質疑応答は終了。
議案決議を経て、11:24閉会。
その後選任された役員の紹介があり終了。
所感
欧州事業への「日本モデル」の移植の本気度について確認するのが今回の最大の目的でしたが、期待以上のご回答をいただくことができました。
コロナ禍での落ち込みからの立て直し以降、欧州事業はその後の成長ドライバーとして大いに期待できそうです。
株価的にもまだそこまでは織り込まれていない(そもそも織り込みようがない)と思われます。
今回、増本陽子取締役のお話を伺うことができたのも、個人的には収穫です。
増本岳社長との二人三脚でカーブス事業を牽引してきたのだろうと確信できるようなお話しぶりでした。
評価は★★★★★とさせていただきます。
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コメント
総会レポートありがとうございます。
この会社で前から気になっていたのが「メンズカーブス」と海外の様子でした。
日本の女性向けに関しては調子いいからか詳しく書いてありますが、メンズや海外のこととなると途端に公表してなく「どうなっているんだ?」と思っていたら、総会で質問が出ても現状がどのようなものかも公表しないのが全体的にはいい感じなのに残念なポイントに感じました。
今回のを読ませてもらって、たまたま目にした文言。
「IRで見るべきポイントは、企業の良い部分ではなく、悪い部分をどこまで公表しているか、だといえます」(山口揚平)
全体的に見ればメンズも海外も大した割合がないので割愛したかもしれませんが、山口さんの考えから行くと「要注意」にならないかなぁなんて思いました。
これまでの予想数字の出し方からして、過度に期待を持たせないよう、情報の出し方には神経を使っている企業という印象を持っています。
業績に与えるインパクトが小さいうちは、あえて積極的な開示をすることは控えるということなのでしょうね。
IR照会をすればある程度大まかな方向性については答えていただけておりますし、総会でも見通しが立てられる時期が来れば出していただけるニュアンスはありましたので、自分の中ではあまりネガティブには捉えておりません。