続いて質疑応答です。
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
全て森川社長が対応されていました。
まず最初に、事前にインターネットで受け付けた3つの質問に対する回答です。
Q
コロナ後は従来の状況が一変するものと捉えている。
この状況をDXを通じてチャンスに変えるとのことだが、具体的にはどのようなサービスや戦略を考えているのか?
A
コロナ禍でDXが従来よりも重視されている。
これまでIT投資が部門ごと、会社ごとにバラバラに行われていたものを、もっと統合的に行っていこうという動きがある。
活用の仕方も、点ではなく面で見てどうか、という傾向が強くなっている。
現段階ではリモート対応という形でのIT投資が進んでいるが、これから経営にどう活かしていこうかということで、従来以上に深い検討がなされている。
バラバラになっていたものを一つにするような、総合提案が求められている。
「経営情報の大衆化」という点では一貫しているが、提供する方法・領域は幅広になる。
お客さまの変化する実需、高度になる実需に対して、総合力を以て応えていくことが、我々にとってもチャンスになる。
Q
従業員が2016/6期から4年連続で100人以上増加しているが、今後も今のペース程度増加を予定しているのか?
2023年の従業員数は?
A
実需に対応していくためには、人が非常に重要。
社会的にも人材が不足している中で、採用するだけでなく、育成して活用していく必要がある。
したがって、今後とも同水準の採用を進めていくことを考えている。
たた売上と利益に関しては、人員の増加を上回るペースで成長させる。
そのために、私共自身もIT投資を行っていく。
Q
今後、事業を拡大するためにM&Aを検討しているのか?
A
検討はしている。
一番意識しているのは、本業をどう強化するのかということ。
私共の事業は非常な成長領域にあり、お客様の要望に応えるために、人を採用し育成し、成長を作っていく。これがまず第一。
そしてグループの中でシナジーをどう作っていくか。これが第二。
その上で、それぞれを加速させていくために、何かの機会があれば、M&Aをして使っていく。
ということで、新しい成長を求めるために外部の力を使うのではなく、本業の成長を加速するためにM&Aを使う。
領域は幅広ではないが、優先順位に沿って事業を進めていく中で検討を進めている。
(ここまでが事前質問です)
Q
コロナを受けて働き方が変わる中で、どう社会的にインパクトを受けると考えているのか?
枝葉にとらわれず、ニーズの根底のところをぜひ追及していただきたい。
A
まず現状認識として、コロナのインパクトに対する答えについては出せないし、出さない方がいいという判断をしている。
さまざまなインパクトがどこにどう出てくるかということは、表層的に見ていては捉え切れない。
内部で話をしている基本方針としては、あまり先々を予測せずに、しっかり実需を捉えようということ。
一番何をすべきかというと、お客様との会話をとにかく増やしていって、どこからどう実需が出てくるかのヒントを得て、そこに応えていくことを徹底することだと考えている。
従来だと定型的にトレンドを読み、例えばコーポレートガバナンス改革という話があればこうやるというものがあったが、今回のインパクトに関しては、読まずに、とにかく現状をできるだけ理解して、徹底的に適応していくことに主軸を置くのが重要だと考えている。
そういった観点からも、今回コロナの対応に関しては、グループ一律でやらないようにした。
それぞれ事業分野に合わせて、部門単位・会社単位で自分達のベストな方法を考え、年内はそれをやり遂げた上で、方向性が見えてきたら舵を取る。
とにかく先読みし過ぎず、かと言って劣後せず、現状を把握することを徹底する方針だ。
私自身、重要だと感じるのはとにかく対話。
ただ「説明してくれ」というのではなくて、相手から情報を取ってくる、そしてそれを自分たちにどう活かすかという意味での対話。
それが私共だけでなくお客様自身も非常に求めているものだ。
経営者の方々は従来以上に対話を強化したい。
ただ様々なステークホルダーと対話をするためには、情報環境が求められている。
例えば事業全体のポートフォリオを見て、本当の企業価値はどうなのかという話をする時に、ただ漠然と話をするのと計算したものを持って話をするのとでは全然違う。
対話というもの自体の価値をいかに高めるか。
環境が変化する中でその質を上げていかないと、対応できない。
だからこそ、情報環境が重要だし、そこに貢献するためにソリューションをしっかり作ることが、コロナへの対応にもなる。
Q
今期の業績予想を作成するにあたり、中計の中でストック売上比率に関してはどのような前提としたのか?
資料では今期に関しては「UP」とだけ書かれているが…
A
中計から逆算して、それぞれの事業単位に指標の設定をしている。
既に高い比率のものについては、トップラインの成長、収益性の向上が重要なテーマ。
一方で比較的低いものについては、ビジネスモデルの転換を含めて、どうやったら上げられるかという算段のイメージをつけてきたところ。
それぞれの事業単位で逆算し、全ての事業単位がプラスの方向へ進む前提で作っている。
→ 事業によってはビジネスモデル転換を織り込んでいるようですが、それがどの程度なのかは確認できませんでした。
Q
アウトソーシング事業において災害等への対応として、継続性についてどのように考えているか?
A
当社自身も決算書類をグループ会社にアウトソーシングで出している。
今回のコロナで出社できない状況にも陥ったが、結果的にアウトソーシングに出していたことによって、業務上何の支障もなく進めることができた。
アウトソーシングは万一のことが起きても他のメンバーがサポートできる体制ができており、さらには拠点もグループ全体として多拠点展開している。
一ヶ所で災害が発生したとしても他の場所が使える環境が整っているので、継続的にお客様に対応することが可能だと考えている。
お客様からはこの難しい環境下で非常によくやってくれたと、お褒めの言葉をいただいている。
サポート体制ができていたということだと思う。
Q
四季報で大口案件が無くなったという記載があったが、その状況について教えていただきたい。
A
前々期の時点で、大きな案件があった。
その案件があまりも大きく、無くなった後に穴埋めできるか懸念され、四季報にもそのように記載されているが、現実的には継続しており段階的に縮小する形となった。
結果的に他の事業・案件でカバーできたことにより、時間軸上で解決できている。
これで質疑は終了。
決議の後、選任された取締役からの挨拶がありました。
新任のジョン・ロバートソン氏は日本語で挨拶されていましたね。
(ここまで長々と書いてきましたが、昨日株主総会の様子はホームページにアップされております)
所感
相変わらず安定の総会運営でした。
今回はDX支援、SaaS企業への転換という点でのアピールが強かったように感じます。
ストック売上比率が中計目標の70%に近づいてくるようなら、時価総額もまた違うステージとなるでしょう。
役員に対する業績連動報酬の内容を見ても、投資家とのコミュニケーションを強化し、中長期の価値上昇に応じた評価を得たいという想いは伝わってきました。
中長期的な安心感を得られた一方、今期業績やビジネスモデル転換の具体的な内容に関しては、もうちょっと説明があれば尚良かったです。
評価は★★★★☆としておきます。
(お土産)
今年もゴディバのクッキーと、東京国立近代美術館のご招待券でした。
アバントの総会記事は内容が充実している分、どうしてもボリュームが多くなりますね。↑ ポチっとお願いします。
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