【3835】eBASE 2023/3期予想のとらえ方。

企業研究

5/13(金)の場中に、2022/3期決算発表がありました。

コロナ禍を受けた二期連続減益から一転、今期(2023/3期)予想は営業利益+23%ということで、株価的にも一旦は好感を持たれた形です。

この増益率については、コロナ禍以前の業績予想の出し方を認識していた方、あるいは直近2期の業績から下目線でモメンタムをとらえていた方にとっては、「ちょっと強気?」と感じられたかもしれません。

当社の業績予想といえば、初めは保守的に出しておき、3月末での検収状況を確認した上で4月に上方修正をするパターンがコロナ禍以前ではほぼ定例化していましたよね。
(過去の修正履歴はコチラ

これに関しては、「前期の下方修正からつなげて見れば、ごく自然な業績予想」という印象を持っています。

以下、順を追って説明していきます。

業績予想の前提について。

まず当社の業績予想における前提として、「確度の高いもの」をベースに、新規の仕込み可能分も含めて、様々な要素分析(業界、業態、規模、個別商談etc.)に基づき、保守的に行っていることを念頭に置く必要があります。

(2021/3期予想を当初非開示にしていたのは、新型コロナウイルス感染症がもたらす影響を判断する材料が無く、「分からないものは分からない」とせざるを得なかったからだと理解しています。)

それはつまり、新規の仕込み分等で「期初の段階では確度の高くなかったもの」が無事成約すると予想比上振れする形になるということです。

ただ、いつも通り上方修正の可能性を見込んでいた投資家も相応に存在していた中で、想定外に逆方向に振れてしまったのが前期というわけですね。

それが大きな動揺を引き起こしたととらえると、売りが売りを呼んでいた理由が分かりやすいかと思います。

なぜ下方修正となってしまったのか。

ここで4/8付の前期下方修正の背景を見ていきます。


当社固有の季節性として、従来から流通系顧客企業の期末の2月、メーカー系顧客企業の期末の3月にかけて追い込む様に検収ラッシュが続き、4Qだけで利益の半分程度を稼ぐ傾向があります。

実際、3Q時の決算概要から分かるように、2022/3期も進行中の案件が豊富(むしろ2021/3期よりも良好)で、聞いたところでは商談件数も期を通じて増加傾向にありました。

しかしながら、上記にあるようにオミクロン株への感染者数が急拡大し、4Qのほとんどの期間で「まん延防止等重点措置」が適用されるという状況が発生。

具体的な案件ベースでは、顧客側のプロジェクトメンバーの方々も感染者、濃厚接触者になるケースが頻発し、その度に2週間以上のスローダウンが発生するという状況に陥ったと聞いております。
(「高負荷対応」が他の案件に間接的に波及していたのも、最終的には響きました)

近年の各案件の大型化(数千万~数億円レベル)もあって、受注、納品・検収が次年度以降へ先送りとなってしまった結果、当社としても想定外の着地となってしまったということです。

クロージング目前で大型案件の延期が相次ぎ、当社にとってはさぞかし無念であったことでしょう。


「先送り」「見送り」について。

ここで気になるのは、開示資料の赤線の部分にある「次年度以降への先送りや見送り」です。
特に「見送り」については、案件そのものが消滅してしまったのか否かが気になるところですよね。

そこで当社に確認したところ、『ほぼ全ての案件が「失注」や「消滅」したものではなく・・・・、時間軸的に、期ズレが発生している傾向の内容』とのことでした。

つまり、「当初予想から下振れした部分については、いずれ復元される」ということです。

(それが確認できていた方にとっては、決算発表前の下げ局面での買い増しという判断もアリでしたね。業績予想の出し方にだけは一抹の不安もありましたが、それは杞憂に終わりました。)

今期業績予想は、「確度の高いもの」としてこの期ズレ分を反映させたものと見て良さそうです。

今期予想をどう見ればいいか。

前期修正前・・・予想(上図の「前回発表予想」)と今期予想とで見比べてみると、営業利益で1,250百万円→1,330百万円と微増に留まっており、コロナ禍以前の業績予想の出し方と比較しても全く違和感がありません。

従前のパターンからして、これでも保守的に見積もっていると推定され、「今期初の段階では確度の高くなかったもの」がさらにオンされることによる上方修正も十分期待できそうです。

再び期ズレが起きるのではないかという懸念については、少額案件については代理店活用による営業担当レスの施策を進める等、体力捻出のための対策も打っているとのことですから、同じ事態は繰り返さないと見ています。

これらを踏まえ、本決算を控えていた今年の2月頃と現在とで、それぞれの時点での業績予想と照らし合わせながら比較してみた場合、今の株価水準はどう映りますか?


1Q・2Q・3Qの「決算と事業報告」をもとに、新しい取り組みや案件の進捗状況をフォローし、成長路線に復帰したと判断できるファクトを積み上げていきながら、来年4月を楽しみに気長に待てばいいというのが私の見立てです。

1Q~3Qは通期業績への貢献度は高くないので、業績数字の途中経過において一喜一憂しても仕方がありません。

一方、新しい芽はいろいろな場所に出てきており、かつ育ってきていることも、まだ開示はされておりませんが確認できております。
(具体的な事象については、気が向いたところで追々紹介していきたいと思います)


当社への投資全般について一つ言えるのは、前期下方修正後の予想EPSや今期の期初時点の予想EPS等、数字をそのまま鵜呑みにはせずに、営業実態やビジネスモデル、そして長期的な成長可能性を踏まえた上で、自分なりに数字に調整をかけながら投資判断をすべきということです。


— 「1st eBASE」から「2nd eBASE」へ —

成長戦略上、新たなステージに入ってきたことを、今回の「決算と事業報告」において高らかに謳っていますね。

長い旅路をともに歩んでいこうという想いを、今回でより強くした次第です。

次回は「自社株買い」について書く予定です。
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