良品計画株主総会2022(4)株主ミーティングその2(★★★★☆)

株主総会・説明会

続きまして、フリーディスカッション(質疑応答形式)です。

個々の商品の要望など細かいものまでたくさんありましたので(聞き取れなかった部分もあり)、投資判断に比較的影響のありそうなものをピックアップの上、要約してお伝えしたいと思います。

フリーディスカッション

【1】
地域社会への定着、生活圏への出店を頑張って欲しい。
SNSでのバズり方が他社に比べると弱いので、「感じ良い暮らし」の提案も頑張って欲しい。



(永原執行役員)
地方に出店する中で、無印良品を知らなかった方も多いことを体感している
地方ではあえて紙媒体の織り込みチラシを活用するようにしており、冬からは地方CMもスタートした。
地域にしっかり出店し、しっかり伝えることが大事だ。

(ミヤザワ氏)
SNS戦略は、これまで積極的に取り組んでいなかった。
今期よりアンバサダーを活用することとし、数十名展示会にも招待した。
商品そのもの、開発面のこだわりを詳しく、背景を含めて伝えていただく。
順次拡大していきたい。

【2】
(個々のアパレル商品についてコメントの後)
最近の商品を見ていると、安いけれど質はそれなりで、消費して捨てるものに変わってしまったのかなと思い、それを確認するために参加した。
私としては好きなものを長く使っていきたいので、そういう会社に戻って欲しい。



(岡崎取締役)
大変申し訳ない。
偏った商品になっていたこともあり、この秋冬から全部見直しをした。
不具合があれば仰っていただきたいし、長く愛していただける商品づくりをしていく。

(堂前社長)
オーセンティックでずっと着られるものにしていく。
本質をとらえて、長持ちするものを作るのが根本の方針。
そのためにはしっかり知識を持ち、判断する目利きが必要。
これまで社外に頼っていて、原価上昇傾向の中で、「これくらいでいい」と妥協したものがあったのではないかと感じている。
これから内製化を進める。
自前できちんと生産現場からの目利きができるようにする
時間はかかるかもしれないが変えていく。

【3】
店舗レジの効率化が必要。
ECで注文した商品の店舗受け取りをしたが、バックヤードに取りに5分くらいかかっていた。
混雑していたのに、店員さんに悪いことをした気分になった。
あまりに並んでいると買うのを止めてしまう人も出てくるだろうし、機会損失もあるのでは?
スーパーのような非接触型についてはどう考えているか?



(永原執行役員)
お買い物体験において待たされるストレスは軽減しなくてはならない。
シンプルなシステム作りをする。
セルフレジは春から250店導入していく考え。
使いやすいシステム、サポートできる体制を作りしっかり改善したい。

(堂前社長)
店舗運営の基本からやり直ししなければならないと、最近強く感じる
今まではゆったりし過ぎていたのでは。
教育する時間とお金をかけながら、やるべきこと、まだできていないことはしっかりしていけなければならない。

【4】
スタッフはレジには多いが、売り場にはいないことが多く、質問したくてもできないことが多い。
2030年までに、効率化のためにロボットを活用することなどは考えているか?



(永原執行役員)
今のところ、ロボットは考えていない。
お客様が声掛けできるスタッフがついていないのは問題。
ワークスケジュールをしっかり組み、店長教育も含めて、しっかりと質の良い店舗を目指していきたい。

(堂前社長)
人が売り場にいないのに、人件費率は他社と同じで、給料も同じ。
ということは、あまり店舗業務の効率化を積み上げてこなかったということ
入荷してそのまま陳列するのが、一番効率的なモノの動き。
バックルームにどかどかと入って、そこから動かすことに体力を割かれていた。
入荷した箱の中に小箱があるなどのムダも目立つ。
そういった課題が改善されず、これまで積み上がっていた。
本来、本部の仕事としてそれをやるべきだった。
店舗のやることでしょと言って、放置されていたフシがある。
本部も店舗も、ムダな作業を減らしていく取り組みが必要。
店頭にはしっかり人を置き、必要の無いところは人を減らす。
人件費率を低く抑えるオペレーションに変えていかなければならないし、それをやっていこうと思っている。

→ ここまでのやりとりを通して、堂前社長のオペレーションに対する危機意識には相当なものがあると感じました。

(金井会長)
人は大事。
店頭には自分で考えて行動できる人材が必要。

【5】
私は無印良品で買い物をしたことがない。
クーポン券、株主優待を検討していただければ。



(堀口執行役員)
株主還元は、過去はもっぱら配当で報いる形だった。
株主優待については、現在選択肢の一つとして検討している。
時期が来たらお知らせしたい。

→ このご発言は優待株界隈を賑わせましたね。今回配当金計算書とともに送付されたデカい「シェアホルダーカード」は、それに向けた地ならしといったところでしょうか。

(永原執行役員)
MUJI passport上で、それまで買ったことのない方々へのクーポンを出させていただいている。
ぜひご登録を。

【6】
株主として応援していきたいが、株価の乱高下が激しく、アルプス山脈のよう。
悪材料に反応しやすい。
目先は利益が上がらなかったとしても挑戦はして欲しいが、その一方で株価の安定策も考えて欲しい。
個人株主が1/4くらいと少なく、日本国内の個人長期ホルダーを増やす対策を検討していただきたい。



(堂前社長)
株価が低いとしたら、業績が良くない、将来的にも良くないと思われているということ。
業績が悪いのは、期待に応えられておらず利益が残らないということ。
力がまだまだ足りていない。
期待を超える価値をしっかり創り、かつそれを効率的に進めなければならない。
利益はどれだけ価値あることをやっているかを示す指標。
また、もうちょっと広く考えた方が良いのではとも思っている。
「会社」を経営するというより「活動」を進めていく。
全国各地の生活者が商品だけでなく株も買い、活動に参加する。
生活者と共同でやっていく取り組みを定期的に行っていきたい。
そうすることで株価も高く安定していくのでは。

(堀口執行役員)
生活者の方々としっかり対話を進めて参りたい。

【7】
私は20代の頃、MUJIのブランド力に圧倒された世代だが、最近は身近になってきたと感じる。
MUJIとユニクロ、同じような商品を手に取って着てみたが、へたりの早さ、糸のほつれ等問題が出てきた。
会社によってこんなにも力が違うのかと感じる。
スピード感がどうなのかなと感じる部分もある。
今後のMUJIの方向性がボヤッとしている印象なので、手を挙げてみた。
今はSDGsの時代になって、他と一緒になってきたのではないか。
昔からやっていたのに、MUJIのやってきたことが評価されなくなってきていると危惧する。



(堂前社長)
アイデアやスピード、実行力がどうなのかという話と受け止めた。
そこは反省しなくてはいけない。
先駆けてはいたものの、みんな真似するし、できるし、中途半端な実行力だった。
課題の最先端に取り組んでそこで満足するだけでなく、磨き上げて、広げてといったことができていなかった。
それは実行力の問題であり、社員一同、身に付けていかなくてはいけない。

【8】
不揃いバウムを全種類食べてみた。
種類多いのはいいが、味が薄かったりして差異化がきちんとできておらず、全部に注力できていないのではと感じる。


→ これは際限なくジャンルが拡張していく無印良品全体に言えることなのかもしれません。


(高橋上席執行役員)
カレーもバウムも、一品一品にどれだけの技術・想いが込められているのかが大事。
広げ過ぎたために、注意力が足りなくなっているのではと感じており、開発体制を再点検している最中。
アイテム数を増やすと売上高が上がるというのは神話に過ぎず、どこかで止まってしまうもの。
カレーもバウムも、成長余力は止まりつつある。
技術内容・マーケティングも、見直そうとしている。
絞り込み過ぎず、バランス感覚を大事にしたい。


以上となります。
やりとりはご紹介した倍以上の19に及び、終わったのは13:09でした。

所感(全体を通して)

株主総会と合わせて、3時間超の長丁場でした。

商品そのものへの要望のみならず、ブランド全体の先行きを心配する声も吸い上げて対話することができる、株主ミーティングの場は良かったです。

全体的に、外部から来られた堂前社長の課題認識の的確さと危機感の強さが印象に残りました。

その一方で、周りを固め、改善を推進していくべき方々のそれとのギャップをやや感じたのが、気のせいであれば良いのですが…

評価は星5つに近い、★★★★☆とさせていただきます。

ピカピカではなく、課題を抱えた企業ならではの面白さがあった総会でした。
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