地方企業の頼もしさ。

投資スタンス

遅ればせながら、ちょっぴり私もコメントをさせていただいた、日経ヴェリタスさんの記事「地方で芽吹くお宝株 海外マネーが解かす 万年割安の根雪」を拝読致しました。

地方企業(以下、地方に本社がある上場企業の意)に対し、現地での独特な雰囲気の株主総会とそれに絡めた旅行を楽しみに投資する機会も多いのですが、今回記者の方と情報交換をさせていただき、改めてその魅力に気付かされました。

私が考える投資先としての地方企業の魅力として、以下の3点を挙げておきたいと思います。

  1. 独立独歩であること。

  2. 地域に根差したアイデンティティがあること。

  3. 日本人の特徴を上手に活かす組織となっていること。


独立独歩であること。

地方に本社があるということは、東京に本社を置かなくてもいいということでもあります。

わざわざ自分から営業に出掛けなくても、顧客の方が勝手に足を運んできてくれる。
(高知を世界の「圧入のメッカ」にしようとしている、技研製作所は典型的ですね。)

メーカーであれば、それだけの技術的背景があり、独立独歩でやっていける自信がある。

東京を特別意識することもなく(もはや「東京がなんぼのもんや」ですらなく)、海外にもフラットな感覚で目を向けられる

実際、グローバルニッチトップ企業も少なくありません。

地域に根差したアイデンティティがあること。

地方企業には、その地に創業しそこに留まり続けている理由があります。

地理・気候の条件や、歴史的背景によって形成された価値観・経営理念。

伝統的な地場産業を通じ、連綿と蓄積されてきた技術・技能。


技研製作所は、台風銀座である高知だからこそ、復興復旧を通じて発展してきた面もあり、自然との折り合いをつける新技術の開発に今なお執念を燃やし続けています。


シマノは今や世界的企業ですが、絶えざる技術革新を求めていく堺の文化無くしては、冷間鍛造技術をコアとした発展を遂げられなかったでしょう。

古墳時代から金属加工の技術が入っていた堺は、戦国時代には鉄砲の一大産地となり、鍛冶職人が集い町の中で切磋琢磨する文化を創り上げていきました。

複数の部品を分業で作り組み立てるという共通点があったことから、明治以降は自転車部品業への転換が進み、やがて自転車産業の街として発展していきます。

コンポーネントで圧倒的な競争優位性を確立した現在のシマノを見ていると、この町の文化が企業文化の根底に脈々と流れていることを実感させられます。


こうした揺るぎないアイデンティティの存在は、その企業の未来に思いを馳せ、その持続的成長を信じる上で大きな力となります。

日本人の特徴を上手に活かす組織となっていること。

日本人の労働者の質は平均して高い一方、マネジメントの質は最悪、みたいなことが良く言われますね。

この点、地方企業は優れていると思うのです。


それぞれの地域での数少ない「地方の雄」として、地元志向の強い優秀な人材を集めやすい面があります。

オンライン面接の定着により、Uターン人材の採用が容易になったのも追い風となっています。

一方、マネジメントも「一国一城の主」として戦い方に迷いがなく、トップダウンを徹底させることができます。

この組み合わせによる突破力・スピード感が、たまらない魅力です。

地方企業を投資先として増やしたい。

こういった魅力を持つ地方企業に、分散を図りながらもっとたくさん投資できればと考えています。

その地域について学ぶきっかけになりますし(本当に知らないことばかり)、「日本もまだまだ捨てたもんじゃない」と実感できます。

元気をもらえる地方企業に、今一度目を向けてみてはいかがでしょうか。

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記事では私が投資してきた先も数多く掲載されていて嬉しかったです。
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コメント

  1. なりさん より:

    これを読ませていただき、いい線行っている会社が名証上場の名古屋の岡谷鋼機かと思いました。
    前「東証に行かないか?」の問いに「名証が東証に合併されたら仕方ないな」とか名古屋ラブを貫いている感じでしたね。ここは昨日今日の名古屋の会社じゃない感じですからね。
    ここは投資先として検討されたことありますか?

    • 6_suke より:

      岡谷鋼機は投資先として検討したことは無いですが(商社は事業分野が分散していて分かりにくく苦手です)、江戸初期創業ですし、これからも永続的に企業活動をしていきそうな凄みを感じますね。

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