先日紹介させていただいた『三位一体の経営』を読んでいて、一つ感じたことがあります。
それは「投下資本」という存在の面白さです。
強い「障壁」を作るためには、本にあったように「呆れるほどのコスト」をかけ、「腰が抜けるほどのリスク」を取ることが求められます。
一方、その障壁がもたらす事業の強さは、しばしば投下資本利益率(ROIC)の高低によって測られます。
ROICの計算式は、分子が利益(税引後営業利益)、分母が投下資本ですから、一見すると投下資本が小さければ小さいほど優秀であるように感じます。
しかしながら、競争優位性を獲得する過程においては、逆を意識すべきではないかと考えます。
すなわち、B/S上に表れるもの以外に、研究開発費、人件費といったP/L上で費消されるものも含めて考えた広義の投下資本は、大きければ大きいほど良いと。
(ちょっとした盲点と言えるかもしれません)
まずリスクを取って大きな資本を投じることで、より大きく長く稼ぐための礎ができる。
そして、その大きな稼ぎが新たな投下資本の原資となり、それを実際に投じていくことで、競争優位性をより強固なものにしていく。
結果的に、利益に対する投下資本は相対的に小さくなっていき、高いROICを維持し続けることができる。
「複利の経営」とは、この好循環がもたらされている状態のことを言うのでしょう。
大きなリスクを取って成長の壁を乗り越えようとしている企業への投資は、もちろん応援しがいがあります。
ただそれに留まらず、その企業が築いた競争優位性に守られつつ、その後の「複利の経営」によって大変魅力的なリターンをもたらしてくれる可能性もあると考えています。
できれば、そんな企業への投資に果敢にチャレンジしていきたいものです。
なお、投下資本がB/S上である程度可視化されている業種(例:メーカー、小売)の方が、自分としては投資しやすいです。君が乗り越えた壁は いつか君を守る盾となって
君をそばで いつまでも支えるだろう
ケツメイシ『ライフイズビューティフル』
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