決算説明会における質疑応答と、全体のまとめです。
質疑応答
【質問1】
今後伸びるのは分かるが、3年5年と、数値を伴ってどこまで成長していくのかが見えづらい。
一方で中期経営計画で成長戦略を示し、数値を伴って説明する企業も結構あり、それに応じて株価も上がっていくのを見る。
御社の場合、数値が見えづらいし、特許を見ていただければ分かるというもののそれは敷居が高く、数値の伸びを予測するのはハードルが高い。
わかりやすさと数値を伴った成長戦略をぜひお示しいただきたい。
⇒
(窪田CFO)
中期経営計画を公開していないことに対するお話と、規模感として現状を起点にどの程度までの数字をイメージしているのか、いわゆるTAM(Total Addressable Market)と言われるターゲット市場をどう考えているお話ということで説明させていただく。
一つは、我々はBtoB企業であるということ。
過年度までは黒子に徹していたことがあり、言い方は悪いが、「儲けてるよね」とすごくいじめられていた。
合理化の施策のシステムでなぜ我々がこれまで成長を続けられたかというのは無料コンテンツを使ったという面もあって、あまり派手派手しく「これだけ成長しますよ」というよりは、ソリューションをお客様に示すことに徹すべきという立場にあった。
内部ではもちろん、中期計画、もっと長い計画を持ってやってはいる。
BtoBで非常に示しにくい成長分野について投資家に詳細にお示しするのは申し訳ないができかねるが、コロナ禍前まではずっとリニアリティで利益を伸ばしてきた。
2年間の停滞を除き、過去9年くらいで見ていただくと、y=ax+bみたいな感じで、だいたい利益で年率+20%くらいで伸ばしていた。
そうすると4~5年で倍になり、PERは半分に下がる計算。
こうしたリニアリティについては、終わった期でやっとコロナ禍を抜けて、もう一度同じ基調に戻ったというのが、「1st eBASE」に関しての我々の認識。
ただこれでは、定規をあてたような成長の想定に留まる。
我々はTAMと呼ばれる市場領域に関しては、先程の株主総会でも具体的な企業名を明かせないくらい、これから進出していこうという段階に過ぎないので、基本的にはまだまだ広がりがあると思っている。
イメージで言うと、たくさんのお客様を押さえ、食品業界であれば90%以上押さえているものの、マネタイズとしては90%が無料で広がっているという状態。
そういう意味で、全体の我々のターゲットからすると、端的に言えば5%くらいしかシェアを取っていないというイメージであり、これが今示せること。
そのターゲットに向けて、まずは1stで年率+20%の利益で成長していきたい、これは今申し上げることができる。
ただそれではリニアーであり「どこで跳ねるんだ?」とよく言われるが、それに関しては「2nd eBASE」についてIR資料で(お客様の)会社名を出したり、数値でKPIを出したりすることをやっていきたいと考えている。
ご質問の機会を借りてお話させていただくと、1stでは無料のソフトウェアをバラまいていて、ユーザー数をずっと開示してきたが、6/1よりホームページ上での開示を控えるようになった。
これはなぜかと言うと、ほとんど投資家からの質問だが、ユーザー数を見て「成長していない」「伸びてない」などとご指摘を受けていたから。
ただ90%を超えてくると、そんなに右肩上がりに、未来永劫に増え、ユーザー数が業界全体の社数を超えてきてしまうような状態を期待されても困るし、KPIとしても正しくない。
IRの資料からは2015年、2016年から外していたものの、ミスリードも起こりつつある。
非常にややこしいビジネスモデルであるのが弊社の特徴で、黒子であるということで明確に示せてはいないものの、これからも実績数字を見ていただくということと、現時点がマーケットにおいて5%くらいしかシェアが取れていないと我々は思っているということで、ご容赦いただければと思う。
→ 成長の数字面のイメージが分かりやすくなる、良い質疑でした。以前から個人的には伺っていたことではありますが、「2nd eBASE」の本格稼働に合わせてKPIの示し方も変わってくるということですね。開示資料を見る楽しみも増えてくると思います。
【質問2】
消費者まで手を伸ばしていくとのことだが、消費者側の情報がメーカーや小売へと循環していくシステムというのはお考えか?
そこまで行くと、マーケティング、商品開発における市場調査もできる、フードロスがどのくらいあるかとか、そういうものが御社を元に情報が取れるようになると思う。
(こちらも、仕込みかと思うくらい、良い質問だと思いました。)
⇒
(岩田社長)
考えはある。
まさしく仰られた通り、「3rd eBASE」ではパーソナルプロファイル事業を想定している。
消費者側が持っている情報から必要なデータを、小売・メーカーに渡していく。
特許もそこの部分を取得している。
(窪田社長)
我々の商品データをどう利用していくかと言うと、販売データと掛け合わせることによって、「何が売れているか」というすぐ分かることだけでなく、「なぜ売れているか」というwhy?を見つけることができる。
why?を欲しているのは、製品を作っておられる方や製品を販売されている方。
そういう方たちに、マーケティング情報や製品開発のための方向性に関する情報を与えるのに、我々が今やっている「2nd eBASE」が広がれば広がるほど、「我々が」データを持つことになる。
あまり言い過ぎると嘘の話になりかねないが、今は会長の常包の頭の中に、仰ったようなとてつもない夢がある。
この2人(岩田社長・窪田CFO)はまだ、一所懸命2ndを何とかしようと思っている段階なのだが(苦笑)
実験等では、データサイエンスやAIで仰ったことをトライしている会社はいっぱいある。
雨後の筍のように、ChatGPT的に。
ただAIは勉強しないと賢くならない。
勉強するには、情報が要る。
我々の持っている1千万件の商品情報を読み込んでAIが勉強すれば、とてつもなく賢い製品開発や販売マーケティングの頭脳が出来上がる。
当然これを簡単に外に出すわけにはいかない。
我々自身が囲い込んで、ずっと前から”我々自身の賢いChatGPT”を育て上げている、というのが今の状況で、3rdはちょっと先の話にはなるが、並行しながらやっていくとご理解いただければと思う。
→ 3rdに向けて、閉じた環境下で独自のナレッジを育て上げてきているということですね。表の世界に出る日を楽しみに待ちたいと思います。
【質問3】
「2nd eBASE」は販促・マーケティング予算から頂くとのことだが、「3rd eBASE」においても同様か?
⇒
(岩田社長)
コンテンツ販売というよりは、コンテンツ利用による課金ということになろうかと思う。
決算説明会に関する質疑も以上で終了です。
(15:15)
所感
今回の株主総会から決算説明会までの模様を通して読んでいただくと、開示資料だけでは読み取りにくかった当社の成長イメージについて、解像度がだいぶ高まるのではないかと思います。
改めて長期で伴走していくのに相応しい企業であると実感致しました。
そしてまだはっきりとここでは書きませんが、消費者と小売・メーカー双方に対する当社なりの貢献の仕方も、個人的に見えてくるものがありました。
総会の運営自体については、いつものように事業報告はもっとカットできるのではと感じましたが、質疑応答に関しては株主さんのキャラと内容もバラエティに富んでいて良かったと思います。
そしてデモも駆使した決算説明会については、多くの株主にとって新たな情報が満載でしたし、質疑応答の中身も充実しておりました。
特に窪田CFOによる補足説明が有り難かったですね。
過去5回の中では、最も有意義な総会&説明会でありました。
以上を踏まえ、評価はやや★4つ寄りの★★★★★とさせていただきます。
(終わり)
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コメント
ろくすけさん。こんにちは。
株主総会のレポート記事ありがとうございます。
株主総会には残念ながら出席できなかったので、ここまで詳細にレポートしていただけるのが本当に助かりますし、記事がアップされるのを非常に楽しみにしておりました。
また、総会の内容だけでなくろくすけさんの見解も載せていただけるので、読んでいて非常に勉強になります。
デモ画面での説明や経営者の方々の生の声で今後の展開をチラ見せしていただけるのは、出席しがいがあるいい株主総会ですね。
今までよりも情報量が多く内容の濃い株主総会だったと思いますので、ろくすけさんの記事を繰り返し読み返して自身の理解を深めようと思います。
今後とも色々な銘柄の総会レポート記事を楽しみにしております。
励みになるお言葉、ありがとうございます。
手が痺れるくらいメモッた甲斐がありました。
特に今回は明るい未来がパッと開けるような内容でしたし、ぜひ参加できなかった多くの株主さんと共有したいなと思いながら書きました。
今後もレポートを頑張りたいと思います。
名刺交換はいいですね、ろくすけさんの存在感が示されました。
将来成長の数値について結構イメージしてきましたね、そして管理層の自信とやる気まで感じられるようになっています。
3rdにも言及され、集めているデータを解析しもっと大きい価値を色んなところに提供できるというのは大きい夢ですね、そして夢と実現の繋がりも少しずつ見えてきている感じです。
正直ろくすけさんのレポート見ると他の株を売ってもっとこちらのほうにシフトするとまで考えるようになりましたW!
こんな細かくまでメモして、レポートに整理していただいて、本当にありがとうございました。
今回は経営陣からの力強い言葉の数々が印象的でしたね。
諸々の準備が整ってきたからなのでしょうか、常包会長の頭の中が私たちにもだんだん分かるようになってきたのは、良い傾向です。
私も握力がますます強まりました。
いつも応援いただき、ありがとうございます。
総会レポートすごくありがたいです。
決算資料を何度も読み返しても理解できない部分がすーっと頭の中に入ってきました。
こっそり地盤を固めていくスタイルが順調そうで、少量ですが買い増しをさせていただきました。
消費者を巻き込んでビッグデータを独占するという夢のような計画が達成されることに期待せずにはいられません!
e食ちらしがもっと活発になれば、これまたこっそりデータが蓄積していくのかな?
一方で、わざわざレシートを読み込んで産地、アレルギー、カロリーやレシピ等をチェックされる方はそこまで多いのかなという疑問もあります。
まだ先のことなんだろうけど、どのように消費者を巻き込んでいくかを注視していきたいなと思いました!
こちらこそありがとうございます!
いずれ多くの方にその将来性を知っていただける企業になるといいですね。
レシートからの誘導に関しては、クーポン等の販促とつなげるのがアプリ普及には効率的かと思いますので、そういった動きにも注目していきたいです。