【7683】ダブルエー2023/1期1Qについて(1)

企業研究

昨日、1Q決算発表があり前同比増収減益の形で着地しましたが、皆様の目にはどう映りましたでしょうか?

それぞれが蓄積してきた情報の質量と分析の着眼点次第で、大きく反応が分かれるであろう決算であったかと思います。

本日の株価推移を大変興味深く眺めておりましたが、地合いもあるにせよネガティブととらえた方が多かったのでしょうね。

私の印象としては、パッと見た時点で「事前の想定と比べ、かなり良い決算」というものでした。
(決算短信1面ベース・株探ベースとは真逆ですね )

実は通期予想から逆算して、あと2億円以上赤字が膨らむことも想定していたので、個人的には大満足の着地です。

後刻リリースされた決算補足説明資料を確認し、さらにその思いを強くしました。

ということで、本日から複数回に分けて私なりの解釈を披露させていただきます。


今回のポイントは、

①売上総利益率のポジティブサプライズ

②ブランディングのための広告宣伝費の集中投下(これがより重要です!)

です。

売上総利益率が大きく改善!

まず、いつもの四半期推移を見ていきましょう。

季節性からして1Q(2~4月)が最も弱くおそらく赤字になるであろうことは、一定割合のホルダーの中では基本事項として織り込み済だったかと思います。

金額は不明にせよ、平常時より広告宣伝費がかかるであろうことも想定できたというのもありましたし。

(以下、ご参考記事)


驚いたのは、売上総利益率の数字(67.0%)です。

前期4Q(61.7%)から急回復を見せたどころか、四半期単位で上場来最高値となりました。

円安・エネルギー価格上昇を重く見た上で、「価格転嫁を徐々に進めていきつつ、通年で前期並みの数字(64.4%)を達成したい」と以前伺っていたので、いきなりのこれはポジティブサプライズでした。


前期4Qの低利益率に関しては、季節品であるブーツの感触が良く、追加発注をガンガンかけていたところ、オミクロン株の流行による客足鈍化をキャッチ、翌期に影響を残さないために値下げで在庫処分を徹底したという特殊事情がありました。
(スタートが好調だったのが、逆に仇になった形です)

そこからのある程度の回復は密かに期待していたものの、諸々の外部環境の悪化により確実に原価は上昇している中で、ここまで良い数字が出るとは思っていませんでした。


なお一方で為替差損も出ておりますが、これは仕入時の為替と決済時(あるいは決算時の外貨建債務)の為替とのタイムラグによる差異のため生じているもので、急激で一方的な円安進行時には避けられないものです。

ただ円安進行のペースは、1Qの期間に比べると2Qに入ってからやや落ち着いてきています。

逆にタイムラグの中で円高に振れるようになれば、今度は為替差益が発生してきます。

2Qまでは為替差損がそれなりに出てくるでしょうが、大局的にはあまり気にし過ぎるような事象でもないと、個人的にはとらえております。

大幅改善の要因

さて、売上総利益率大幅改善の要因についてですが、自分なりに考えてみたところ、二つ思い当たりました。


一つ目は、価格帯引き上げです。

機能性を高め、従前の定番品より価格帯も上げた「跳べるパンプス」は、定価に近い価格であっても機能面の訴求により売りやすいこともあり、粗利的には優等生であると思われます。

またORTRのスニーカー群も、ラインナップ大幅拡充とともに価格帯を上げてきております。

これらをCM等で戦略的にアピールしたのが奏功しましたね。


二つ目は、原価上昇に対応した値引きの抑制です。

以下、事例を挙げて説明します。


《例》定価100、従前原価20→現状原価28(40%アップ)の商品

従前50%オフで売っていたところ、原価上昇を受けて30%オフに抑えた場合

従前:売価50、原価20、差引総利益30、総利益率60%
現状:売価70、原価28、差引総利益42、総利益率60%(変わらず)


かなり単純化して書きましたが、要するに値引きを上手に抑制することで原価上昇には十分対応できるということです。

恒例化しているセット販売も、去年の今頃は2足7,700円でしたが、直近は11,000円ですからね。

きめ細かな売価コントロールの凄みを、改めて実感しているところです。

(続く)

次回は広告宣伝費の金額の推定と諸々の情報による分析結果を元に、さらに深掘り致します。
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