たまにはストーリーやアイデア、気付きなどを簡潔にまとめた、銘柄ごとの投資メモを残しておこうと思っております。
分析記事としてまとめようとすると疲れてしまいますので、あまり図表も使わず、自分にとって負担にならない程度で。
今回は、全国各地の地域限定菓子製販会社を傘下に持つという、ユニークな業態で成長を続けてきた【2222】寿スピリッツ です。
ギフトという商材の特殊性。
ギフト用のお菓子を扱っているのですが、これはなかなか不思議な商材です。
購入する者と(贈られて)消費する者が一致せず、値段が高いほど喜ばれる。
高価格であればあるほど、高価値と認識される。
値引きの必要もない。
価格設定が認められ、ひとたびブランドとして認知されれば、びっくりするほど儲かります。
直近期の営業利益率は14%強。
他の食品メーカーが一桁台(多くは前半)に留まっている中で突出しています。
この誰もが羨むギフト市場、当然その枠を巡って競争も激しいわけですが、ここで勝つための販売手法がまた振るっています。
超試食。
試食は、五感すべてに訴えかけることのできる販売手法です。
特に味覚は原始的なもので、直接購買欲求を刺激するものです。
得られた感動はすぐクチコミで誰かと共有したくなりますし、ギフト用にはもちろん、「自分へのご褒美」用にも買おうかなという気持ちになります。
お客様に感動を与えるような試食のあり方を追求し、「超試食」と銘打ってグループ全体に広げているのが当社です。
「お客様に売っていただく」
当社はこれを経営理念手帳「こづち」にも記し、徹底しています。
テレビCMなどの広告宣伝はしない。
店舗での一期一会を大切にし、期待を超えるサービスを提供する。
それを端的に表した言葉が、
「今日一人、熱狂的なファンを創る」
です。
「たった一人のお客様への接し方が、自分たちの未来を築く」という考え方を徹底しています。
SNS全盛、評判の拡散が早い時代です。
全国各地、「そこでしか買えない」商品群に、グループ内の各ブランドで培い共有可能な製造・販売ノウハウという、他にはない多重利用が可能な無形資産を横串で通し、ブランド価値を高めた上で「お客様に売っていただく」。
見事な戦略だと思います。
結果が出ることで、販売員のさらなるモチベーション向上へとつながるという好循環も。
参考記事:寿スピリッツ、「超試食」心通わせファンに
今は我慢の時。
ただ足元は、コロナ禍で当社の強みである「超試食」も満足に行えない状況にあります。
トラフィック自体が低下しているため、ターミナル駅や空港での集客も苦戦しています。
それでもシュクレイなどは、各ブランドごとに販売員が着用するオリジナルマスクを用意するなどして、モチベーション維持に努めているようです。
頑張って欲しいですね。
私はこちらを「お菓子業界のVTホールディングス」ととらえています。
各地で提供する商品は違えど、ノウハウ共有を図り、買収した潰れかけの事業(ケイシイシイやシュクレイのルーツとなる事業、フランセ等)に魂(スピリッツ)を入れて再生させていく成功パターンは、傷んだ観光関連業界において再現される可能性があります。
コロナ禍を奇貨として新たなブランド構築につなげられるかもしれません。
インバウンド需要も完全に戻るか分かりませんし、数字として力強い回復傾向が出てくるのはまだまだ先だと思いますが、ユニークな価値提案は他の追随を許さないものだけに、今後とも注目していきたい企業の一つです。
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