酒井大輔『ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか』を読む。

読書

「第二のワークマン」を探すヒントにしたいと思い、同社躍進の立役者である土屋哲雄氏自身による『ワークマン式「しない経営」』も出版されている中、今更ながら読んでみました(図書館で取り寄せるのに非常に時間がかかりました)。

まあ、学びが多すぎてヤバいですね。

楠木建教授がワークマンを評して、『戦略ストーリーは「世紀の傑作」』と仰っているのも納得です。

「しない経営」の方を紹介する記事の中で、教授は以下のような「ストーリー」に基づく素晴らしい分析をなさっておりますが、こういった事業運営をするに至った背景が、この本を読むとよく分かります。

ワークマンの戦略は「世紀の傑作」!?伝家の宝刀“16文キック”なしにしびれる戦略ができた理由
「高機能・低価格」という4000億円の空白市場を開拓し、10期連続最高益。ついに国内店舗数ではユニクロを抜いたワークマン。このたび、朝2時半起きの土屋専務と、競争戦略の第一人者である一橋大学ビジネススクールの楠木建教授が初対談。数々の企業を見続けてきた第一人者はワークマンをどう分析しているのか。しびれる戦略とは何だろう...

・プロ向けの商品だから長期継続販売ができる。

・長期継続販売だからこそダントツ商品が開発でき、大量生産によるコストダウンが可能になる。

・ダントツ商品だからこそ、値引きに依存しなくてすむ。

・価格を一定にしているからこそ、高精度での需要予測をはじめとするデータ経営が生きる。

・データ経営だから加盟店のオペレーションを軽くできる。

・だからフランチャイズの加盟店がついてくる。

・だから無理なく店舗の拡張ができる――。


ただこれでも、ワークマンの強みの一端が表れているに過ぎないというのが、作り込みの凄みを感じるところです。


何よりそれを感じるのが、やらないことを決めつつ、「全体最適」の思想でビジネスモデルが出来上がっていることですね。

一つ前のブログのエントリ(「集中とは、やらないことを決めることである。」)に通ずるものがありますし、教授の言葉をお借りすれば、「部分非合理」を全体のストーリーの中で「全体合理性」に転化しているという側面もあります。

どれだけ納品するかという判断をメーカーに全て委ね、全部引き取る、一切文句は言わないという「善意型SCM」などは、その最たるものではないでしょうか。

そして、負ける勝負はしない。

競わないし、競わせない。

その帰結として、消費者、フランチャイジー(2世代にわたって経営される店舗も多い)、国内外のメーカー、従業員と、各ステークホルダーがお互いウィンウィンでつながっているさまには、感動すら覚えます。


フランチャイズ経営やSPA業態のあり方、独自の提供価値の定義、Amazonに負けない方法も含めて、大いに「第二のワークマン」探しのヒントにもなるのではないでしょうか。

ワークマン自体に興味がない、あるいは分かったつもりになっている方であっても、非常に読んで得るものの多いであろう本だと感じました。

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