何事も起こり得る相場で、「勝つこと」「儲けること」よりも、まずは「負けないこと」「損しないこと」を最優先に、生き残るための考え方を伝授する、「トレーダー」向けの好著です。
冒頭で「トレーダー」と「投資家」の大まかな特性の違いについて触れた上で、「先の見えない相場は、投資家ではなくトレーダーに徹すべし」と、なかなか耳の痛いことが書かれております。
私は基本的に楽天家ですし(だからこそ、多くの人が悲観的な日本株に大きなチャンスを感じているわけですが)、この区分でいくと「投資家」の色がかなり濃いと思います。
実際、「『銘柄分析能力』ばかりにとらわれすぎない」「『良い会社』より『インパクトのある会社』」といった著者のスタンスとは、真逆の行動を取っていたりします。
だからといってこの本が参考にならないかというと、それは全くの逆です。
前回のエントリ(「株価という影。」)で「実体」と「影」の話をしましたが、「トレーダー」によって作り出される「光」(投資家心理)や「影」(株価)の揺らぎの背景にあるものを十分に知っておくことは、「投資家」にとっても非常に有意義だと思っています。
最後の売り手から買う、あるいは最後の買い手に売るなど、他の参加者の「失策に付け込む」ことができるかもしれないですから。
また、著者が最も重視する資金管理、その前提としてのトレンド、ボラティリティへの目配りは、「投資家」としても守りの部分として取り入れていきたいものがあります。
「臆病者が生き残り、勇敢(向こう見ず)な者が消える」
この言葉は肝に銘じておきたいですね。
この本に書かれている数々の助言は、「トレーダー」「投資家」のいずれにも刺さること請け合いです。
難しい専門用語は出てこないのでスムーズに読めますが、何度でも読み返したくなるほど深いです。
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