昨年に続き、緊急事態宣言のさなか、【7683】ダブルエー の株主総会に参加してきました。
この1年間も色々ありましたが、さまざまな取り組みを通じて、投資家の認知度や評価も高まってきたと思います。
昨年の総会は私1人だけが質問した形に終わってしまいましたが、それがどう変わるのか、楽しみにしておりました。

株主総会
2021年4月28日(水)午前10時30分
東京都渋谷区恵比寿一丁目20番18号
三富ビル新館10階 ダブルエースタジオ
お土産 無し
会場は本社の10階でした。
予め用意されていた15席に対し、最終19名となったため、席が増設されました。
これは「想像以上」だったということですね(笑)
議長は肖社長。
役員・社員の皆さまは、残念ながら今年もマスク着用でした。
取締役(社外取締役を除く)全員の顔とフルネームが分かる企業は私にとってダブルエーさんくらいですし、来年こそはきちんとご尊顔を拝みたいですね。
監査報告は招集通知記載の通りということで省略。
事業報告・議案の説明も、要点のみをナレーション付きの映像で流す方式のため、非常に簡潔で良かったです。
決議事項は「取締役6名選任の件」のみ。
各人の紹介があり、順にお辞儀をされていました。
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
質問は基本的に肖社長が対応されておりました。
1回1問まででした。
【質問1】
この環境下で立派な営業成績と感じる。
通常は議案の対象となる利益処分案について触れられていないことも鑑み、配当を出される時期・配当性向に対するお考えをお聞かせ願いたい。
⇒
上場時に、3年目に配当を出したいと話したことはある。
ただ今の状況はその時と変わっている。
今年度の予算は、3度目の緊急事態宣言があっても達成可能と見ている。
4度目、5度目まであると分からない。
配当は黒字により資本の増強ができてからでないと、と考えている。
【質問2】
中井取締役(新井取締役)にお伺いしたい。
卑弥呼の中に(社長として)実際に入ってみて、社風や働く方々の仕事の進め方にダブルエーとの違いはあったか、
また、傘下入り後1年も経たずに黒字化できた要因、特に卑弥呼が持っていたポテンシャルの部分をどう活かしたのか、
教えていただきたい。
(私からの質問です。)
⇒
(中井取締役)
社風は似ていると感じる。
現場から上がってきている方が上層部の人間に多く、各人のモチベーションの保ち方にも共通するものがある。
以前は在庫が足りていなかった面や、経営上抑えつけられていた面があったと感じた。
皆が本当はやりたいと思っていたことを中心にヒアリングを進めていったが、それはダブルエーと同じやり方でもある。
黒字化できた要因は、売れ筋をたくさん作れたこと。
卑弥呼の強い定番商品に加えて、トレンド商品で新しい要素を取り入れることができたのが大きい。
→ 中井取締役から直接お話を伺うことも、今回の参加目的の一つでした。インタビュー記事の通り、お話ぶりからも現場に寄り添った対話重視型のリーダーとの印象を持ちました。
【質問3】
リーガルの大株主となっているが、長期的には紳士靴への展開を考えているのか。
⇒
リーガルは立派な会社。
数年前、上場を検討していた中で、「先輩のやり方」を学ばせていただくという考えがあった。
紳士靴は今のところ考えていないが、リーガルから勉強させていただくことは多い。
お互い組めるところを見出したり、商品の面でも勉強させていただけたらと思っている。
【質問4】
NICALを今期強化していくという話だが、商品的にローマ字の”HIMIKO”と被る面があるのではと感じる。
その辺りについて考えをお聞かせ願いたい。
⇒
いろいろな会社がブランドの取り扱いを止めたりして、消費者の選択肢が減ったと感じた。
ファッションビル向けで、感度が高く、デザイン重視で、価格としてはORiental TRafficと卑弥呼の真ん中に市場があると、私は思っている。
本革のものを数年かけてテストしてきたが、デザインについては元々行っていた。
卑弥呼と一緒になったことで、生産・企画の面でノウハウを吸収できたのが大きい。
コロナ禍で新しいブランドがなかなか出てこない状況では、展開しやすく出店もしやすいと思っている。
これから企画を持って、各デベロッパーと交渉を進めて参りたい。
→ NICAL本格展開の狙いがよく分かる、ありがたい質問でした。
【質問5】
ZOZO、楽天、amazon等、各種ECモールに出店されているが、ロコンドに出していないのはなぜか。
(私からの質問です。)
⇒
数年前には取引があって、年間1億円くらいの売上が立っていた。
ロコンドは、自宅で試着して返品してもいいですよ、というやり方。
売上は立つものの、三十数パーセントの返品が来てしまうという状況だった。
他のところで売れたはずのものが、後から入ってくるということでは、我々としては困る。
それがあって、ZOZOに集約することにした。
データ上、昔よりは返品率が減っているような気もするが、ZOZOと比較しながら状況を見ていきたい。
ロコンドとの取引が復活する可能性が無いわけではない。
→ 販売機会損失(特にトレンド商品)を大きなリスクと考える、当社の思想を改めて確認することができました。ロコンドではearth music&ecologyとのコラボ商品については扱いがありますが、「商品が戻ってきても売れる」定番品でないと、なかなか難しいものがあるのでしょうね。
【質問6】
医療従事者支援の後、ナースシューズの開発を始めるとの動画をYouTubeで拝見した。
手元に10万件ほどのデータベースを得たが、これについてはどういう認識をしたらいいか。
⇒
昨年は、最前線で頑張っていて外で買い物できない方々に向けて、パンプスを提供させていただいた。
コロナ禍が1年続き、今年になって「またやらなければいけないね」という社内の声もあり、スニーカーを提供させていただくことにした。
途中、介護従事者を加えるべきとの声も上がり、結果としてかなりの応募があって、5万足から5万8千足に上積みすることとした。
今年提供させていただいたのはスニーカーが中心で、白の履きやすいスニーカーも含まれていたことがあり、前回と違って半分以上は仕事に使っていただけたようだ。
その中で「ナースシューズを作ってくれませんか」という要望が出てきた。
ECの会員になっていただいた結果、対話できるツールを持つに至った。
対話を通じて、企画・生産を進めて参りたい。
【質問7】
アパレルは靴と違ってコンテナの扱いや量のコントロールが難しく、利益が出にくいのではと感じる。
間に入る業者を減らして回していくのかなとも思うが、現状はどうなっているのか。
⇒
アパレルは思っていたよりはやりにくいと感じている。
「靴屋でなんで服を扱うの?」という話だが、これからどうやっていくかテストしている段階。
まだまだ靴をやっていくことに変わりはない。
ORTR、NICALなど、当面は新しいブランドに注力していく。
他のアイテムもゼロではない。
提案を受けたり、発想をテスト・実現していきたいとは思うが、まだそういう段階に留めておく。
→ 規模としては大きくなく、やるべきこと、できることがたくさんある中で、経営資源の散逸につながるような考えは持っていないようで、安心しました。
【質問8】
海外売上を3割にするという目標があったと認識している。
香港が厳しい中、それをいつ頃達成しようとしているのか、考えがあればお聞かせ願いたい。
⇒
香港は日本と同じ事情で不調だ。
家賃の減額交渉を終えて、採算のライン(損益分岐点)は下がっていると認識している。
比率については、海外が伸びても国内が止まっているというケースも考えられる。
理想としては3割だが、状況は変わっている。
卑弥呼を入れたり、新しい試みに今は注力しているというのもある。
海外を自由に行き来できない状況を踏まえ、香港はまず黒字を確保・維持することに努めたい。
割合は環境によって変わっていくものとして、調整を進めていきたい。
【質問9】
1.(要望)株主総会の後に、会社説明会があると嬉しい。
2.個人投資家と、IRを通じてコミュニケーションを増やしていく予定はあるか。
⇒
会社説明会の準備はしていない。
これからIRのやり方を勉強しながら検討していくが、コロナ禍の中でやっていいか、どこまでできるかという思いもある。
我々は小売業なので、売り場が全て。
男性はなかなか難しいと思うが、女性と一緒に来店いただき、どんどん質問いただければと思う。
→ 最後の部分にちょっとしたユーモアを感じました。ただ男性の投資家にとってはやはりハードルは高いですし、総会後の会社説明会というのはグッドアイデアと感じましたので、実現させて欲しいところです。
【質問10】
「2足でいくら」という売り方を最近されているが、定番品と季節品の割合を教えて欲しい。
⇒
2足9,900円というイベントをやったが、本来であればGW前は新しい靴を買う時期。
今年はなかなか出かけられる状況ではないし、どこのデベロッパーも客数が減っている。
1足より2足の方が売上を多くとれ、「やらないよりやった方がいい」と実感している。
パンプス、スニーカー、色々あるが、売れているのは傾向として(定番品・季節品というより)上代の高いものだ。
(ここで「時間が掛かっているので、最後の1問とさせていただきたい」旨の申し入れがありました。)
【質問11】
5年後、10年後のことを考えた時、今後増産に対応できる工場が見つけられそうか、直営の工場を持つことも考えているのか、教えていただきたい。
⇒
ちゃんと売れれば、作るところはいくらでも見つけられると思っている。
粗利が取れれば、協力してくれるところは多い。
付加価値があって、ブランディングができていることが一番。
工場側に、前もってコミュニケーションを取れる会社であること、パートナーであるという立場を分かってもらえれば大丈夫だ。
→ ここも大事なポイントだと思いました。中国の協力工場側からすれば、直前で無理な変更やキャンセルを言ってくる会社があまりに多いのでしょうね。年間でラインを押さえ、信頼関係を築くことの大切さ、当社の強みを教えていただいた気がします。
以上で質疑は終了。
そのまま閉会の運びとなりました。
所感
事務的な部分は極力省いた形の総会運営でした。
肖社長は機関投資家向け説明会などで経験を積まれたのでしょうか、昨年と比べるとだいぶお話ぶりがこなれていた印象です。
質問の多さは人数の割に多く、内容も多岐にわたり有意義なものばかりで、昨年からは一変しました。
ガチなホルダーが増えてきたことを感じます。
(優待に関する質問がなかったのもいいですね)
評価は少し甘いかとは思いますが、個人的に得るものも多かったので、★★★★☆とします。
あとは個人投資家向けの説明会があればいいですね。
こういった形で毎年参加し、上場直後から企業が変化していくさまを見守っていくのも、なかなか良いものですね。



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コメント
ろくすけさんの質問も、私の気になるところを質問していただいていて、参考になりました。
他の株主さんも参加人数の割には質問数も多く、また質問の質もいい感じでレベルの高さを感じたものでした。
「売り場がすべて」の考えかコロナ云々だからか10:30から総会を始めているのは長くてもお昼前の1時間半で終わらそうとしているのかなぁなんて思いましたが、実際どれくらいまで総会をやったものでしょうか?年に1度役員と株主が話をする場ですし、このためにわざわざ遠くから参加している人もいることを考えれば、株主さんからの質問がなくなるまでやっていただけると誠意を感じるものですが、どうだったでしょうか?
確かワタミの株主総会は少なくとも昔は株主からの質問がなくなるまで続けていて「これがあるべき姿かなぁ」なんて思ったものでした。
時間は開会から40分弱でしたので、通常のレベルでした。
質問は挙手の状況からいったん一巡感も漂いつつあったので、実際にはちょうどいい所で区切った感じですね。
そこには不満を感じませんでした。
その後に開催されたであろう取締役会で上場資金使途の変更を決議いただいたのですが(私はこれを高く評価しています)、予想外に質疑が盛り上がったため、そのスケジュールが押していたという事情はあるのかもしれません。