昨年同様、帰京の翌日はHOYAの株主総会でした。
時価総額数兆円のグローバル大企業であるにも関わらず、個人株主の割合が低いためか参加人数も多くなく(もちろんコロナ禍の影響も大きいのでしょうが)、経営陣との距離が近く感じられるのがいいんですよね。
ここも楽しみにしていた総会です。

株主総会
2021年6月29日(火)午前10時
東京都中野区中野4丁目10番2号
中野セントラルパークサウス カンファレンスB1Fホール
(昨年から会場変更となりました)
お土産 無し(紙パックの緑茶はありました)
55席用意され、参加者は20名余でした。
昨年からは微増です。
議事進行は鈴木洋CEO。
社外取締役1名は欠席、執行役1名(代表執行役CFO)は海外からの中継にて参加です。
役員の席の前には、それぞれアクリル板が設置されておりました。
冒頭に鈴木CEOがおもむろにスーツのボタンに手をかけ、
「最近太って苦しいので、開けさせていただきます」
と、小ネタを披露して下さいました。
会場は無反応でしたが、「最近」かどうかは置いておくとして、こういうユーモアのチャレンジ精神は個人的に大好きです。
続いて、コロナが終息していない中、招集通知に記載されている事項については、適宜ご参照いただきながら、簡潔に進めていく旨の説明がありました。
監査報告は一瞬、事業報告は要点についてのみ、映像と自動音声で流す形です。
(過去最高益となった業績の概況を説明の上、引き続き株主還元強化、資本効率向上に注力していく、という内容です。)
それにしても、HOYA製品である ReadSpeaker(旧VoiceText)の、とても自然に感じられる合成音声技術はハンパないですね。
これ以外の詳細は招集通知記載の通りです、としながらも、近況については鈴木CEOより直々に補足説明がありました。
(この辺りのメリハリ、流石です)
- 【ライフケア】 昨年度上期はコロナの影響大だったが、下期より回復傾向に転じた。足元は各国のワクチン接種、各種規制の緩和が進み、順調に回復してきている。
- 【情報・通信】比較的コロナの影響を受けにくく、変らず堅調に推移。
- 事業及び地域の分散が図れているので、パンデミックがあってもその影響を低減できるのが強み。
- より強固なポートフォリオを作り、リスク分散を図るとともに、将来有望な技術に投資していき、企業価値を上げていきたい
議案は昨年同様、「取締役6名選任の件」のみでした。
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
1回1問、簡潔に、との要請がありました。
【質問】
SVA(Shareholders Value Added、EVAと同様の概念)を経営指標として使っているが、それを導くための資本コストをどう見積もり、またグループの中でどう運用・浸透させているのか、お伺いしたい。
(私からの質問です)
⇒
(鈴木CEO)
ここはせっかくなので、シンガポールにいるCFOの廣岡から、中継で回答させていただく。
→ 海外から質問の回答を受けるのは、さすがに初めてです!
(廣岡CFO)
SVAは資本効率を高めるための指標として使っている。
具体的な率については、事業ごとにそれぞれ特性が違うことを念頭に置いて設定している。
景気の変動に左右されやすいものもあれば、安定的に営んでいけるものもある。
それぞれの特性に合わせながら、1ケタ半ばから後半で設定している。
運営方法としては、あくまでの数ある中での一つの指標として用いている。
日々の事業運営の中で都度意識する類のものではないが、クオーターごとに各事業部と戦略・戦術、計画といったものを話し合い、議論する中でSVAを用い、資本コストを考慮しつつそれを上回ることができるよう、幹部とともにこれからしていくことを決めている。
(鈴木CEO)
私から補足を。
この低金利環境下で、資本コストの水準はどうかと思う部分もあるが、「事業リスク」のイメージで考えていただければと思う。
それぞれの事業の特性に合わせて決めていき、ポートフォリオ全体としてうまく回るようにしている。
それぞれの事業は、キャッシュの創出に期待しているものもあれば、高い収益性を期待しているものもある。
その特性に応じて指標は変えていきながら、会社全体として資本効率が上がるよう経営をしている。
→ 丁寧にご説明いただき、事業単位で資本効率を検証しながらポートフォリオ経営をしているさまが、より明確にイメージできました。
質問はこの一つのみ。
「他にありませんか。後ろで質問に答えようと、みんなうずうずと待っているので。」
と、質問を促す場面もありました。
大変余裕を感じますね。
所感
「簡潔にして要」
そんなイメージで、時間効率も意識しているかのような総会運営は、流石のものがありました。全体で21分です。
質問が私だけなのは寂しかったですが、経営に対してあまりツッコミどころがないのも事実ではありますね。
評価は★★★★☆とさせていただきます。



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