島津製作所株主総会2024(2)(★★★☆☆)

株主総会・説明会

質疑応答の続きです。

質疑応答(2)

【質問4】
事業が手堅いことは評価しているが、インパクトが無いと感じるところもあり、株価対策についてお聞きしたい。
私も過去何回か保有しては手放す、といったことを繰り返しており、もう少し株価対策に力を入れていただきたいと思う。
例えば自己株取得、株式分割など、今後やられる予定はあるのか?

(私も出たり入ったりです 笑。「インパクト」に関しては、ホルダーなら皆、思っているところなのでしょうね。)

株価は一時5,500円台まで行ったが、昨日(6/25)の終値で4,000円ちょっと。
経営陣としても、株価を上げるということに対してはかなりセンシティブにはなっているが、一番大事なのは業績をしっかり確保していくということ。
今年度、3/31まで自己株買いを250億円実施することを発表している。
市場からの買い上げをいつどうするかといったことは決めていないが、4.2%の株式数について自己株買いをする。

議案(5つ目)をご承認いただければ、役員も今まで以上に当社の株を持って、株主の皆さまと同じ目線で色々なことを進めていきたい。
手放したりされているということだが(笑)、引き続き持ち続けていただければと思う。

→ 業績に関して、表現のしかたの問題もあるのではないかと思い、私は冒頭でリカーリング比率の質問をさせていただきました。経営陣の意識も変わってきているのはいいですね。

【質問5】
航空機器事業について。

  1. 受注における防衛と民家の比率、民間におけるボーイング社とエアバス社との比率はどのくらいか?
  2. 京都には多くの航空機関連の中小サプライヤー企業がたくさんあるが、貴社の立ち位置からして、産業クラスター育成の支援などに取り組む予定はあるか?
  3. 数年前、航空機器事業から撤退するという新聞報道があったが、その背景は何であったか、その考えに変わりはないか?

1⇒
売上高約290億円のうち、約60億円が「民」。
ボーイングさんとエアバスさんの比率に関しては、当社は100%ボーイングさん宛。
過去にトライしたことはあるが、エアバスさんとはお付き合いできていない。

2⇒
既に航空機関係に参入している企業は多々あり、実際に取引させていただいている所もあるが、それ以外に日本として航空機関係に業界として参入できないかという動きはある。
当社は経験者であり、国や地方自治体のような支援をする主体に、サポーターとして行かせていただいている。
日本の航空関係の部品産業がもっと大きくなるよう、下支えをさせていただくことは今後とも継続していきたい。

3⇒
読売新聞さんが書かれたが、少し先走りされたような形。
私共は、防衛であれ、民間であれ、「島津」という会社だけでこの事業を世界に伍して戦えるようにするには難しいと考えている。
欧米では、色々な会社が一緒になって随分と大きな会社になり、技術力を高くして先頭を走っているという現実がある。
日本の場合はそうなっておらず、私共でも300億円いかない事業であるが、欧米とは二桁違う世界。
それではなかなか世界とは戦っていけない。
色んな会社と一緒になり、私共がメインになるというより、「世界でトップを走るんだ!」という意気込みの会社に付いていき、一緒に取り組んだ方がいいのではという考えであり、今もその考えは変わっていない。
国産機にもう一度挑戦しようという動きが出てきた時には、やはり合従連衡というか、色んな会社が一つになってレベルを上げていく必要があると考えている。

【質問6】
京都にはたくさん上場企業があるが、若い世代には島津さんの名前が最初に出てくることはほぼ無いと思う。
「ロームシアター」「京セラドーム」のようなアピールの仕方はあると思うが、そのようなお考えはあるのか?


正直に申し上げると、「島津アリーナ京都」という体育館のネーミングライツを保有しており、「島津アリーナ京都前」というバス停もあるが、認知が進んでいない。
新幹線の京都駅に広告を掲示するなど色々なことをやらせていただいているが、まだまだ不足している部分はあるかと思うので、チャンスがあれば取り組んでいきたい。
私共は京都を大事にしてきた会社であり、逆に京都の皆さまからも大事にしていただけるような会社でありたいと思っているので、色々な取り組みをしていきたい。
もうちょっとPRしないといけないですね(苦笑)

【質問7】
先の質問で、中国事業を中国国内で完結できるように仰っていたと思うが、有事があった際に撤退する準備のためということなのか?あるいは別のことを考えているのか?


説明が分かりづらくて申し訳ない。
中国国内で完結できるというのは、何かあった場合に本社から支援をしなくても、中国国内で事業を続けていけるようにするための準備をしているということ。
開発ー製造ー販売と、企業として必要な一式について準備をしていく。

中国の事業は売上高で全体の20%近くあり、中国は中国で増やしたいとは思うが我々のやりたいことは北米や欧州をもっともっと大きく成長させることで、それぞれ20%程度に持っていけると、中国の比率は下がっていくだろうということ。

中国の事業をゼロにするのは、逆に危険だと思っている。
展示会等を見に行くと感じるのは、中国の政府がお金をかけて、我々と競合するような製品を開発しようとしているということ。
米国とは別の動きになるのかもしれないが、中国は中国で研究開発が盛んで、お金も動くし、市場も大きく、かつ進化していっている。
いざ中国の企業が世界に出てきた時に我々は競合として戦わなければならないので、その進化を見ておく必要がある。
何をやろうとしてるのか、どこへ向かおうとしているのかを見ておかなければならない。

島津としては、米国・欧州・インドは大きく伸ばしていきたい、中国については手堅くやっていきたいと考えている。

→ 完全に中国から撤退することは考えていない理由が、大変よく分かりました。


質疑は以上です。
議案採決を経た後、閉会となりました。
(11:07)

この後、簡単な新任役員の紹介(一礼のみ)がありました。

なお、希望者についてはこの後にメディカルセンターの見学会がありましたが、私は昨年参加しましたので今年はパスさせていただきました。

所感

今回は前回より質問が多くて良かったです。

日本の科学を支える、堅実な企業であることは誰もが認めるものの、(私のも含め)会社としてのアピール不足に対する改善を求める声が目立ちました。

応援を続けていける株主を増やすためにも、ここが大きな課題ですよね。

もう一つ、株主にとっての懸案事項である中国事業に対する会社の考え方については、だいぶクリアになった気がします。

総会は総じて無難な印象でしたので、評価は★★★☆☆とさせていただきます。

経営陣も株価についてはセンシティブになっていることは伝わりましたので、今後IRのしかたにも変化が出てくることを期待したいと思います。
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