定番の投資本を一通り読み終えた後は、ファンダ派であれば競争戦略やビジネスモデルについて書かれた経営本に手を伸ばす方も多いかと思います。
考えてみれば、経営には競争優位性を築き上げる役割の他に、資本配分を行う役割もあります。
前者に関しては冒頭に掲げたような経営本で学ぶことができ、「なるほど!」といった感じで知的好奇心をくすぐられることもあって、そのための書籍もたくさん出ておりますが、後者に関する経営本というのは不思議とあまり見かけない気がします。
この辺り、日本の企業が事業ポートフォリオの入れ替えが不得意(やたらM&Aで高値づかみしがち)なのと関係しているのかもしれませんね。
戦略的な思考が苦手というか。
私は投資としてポートフォリオ運用を行うに際しても、経営における資本配分に対する考え方を身に付けておくことは非常に有用なのではないかと考えております。
そこで今回はポートフォリオ運用に役立つ経営本を2つ紹介したいと思います。
マッキンゼー・アンド・カンパニー他『企業価値経営』
マッキンゼーには『企業価値評価』という、上下巻で結構いいお値段のする実務家向けの名著があるのですが、こちらはその中核となる理論のエッセンスを抽出し、経営判断を求められる企業の経営幹部を想定読者として、簡潔にまとめた内容となっております。
「企業の経営者はどのような視点を持ち、どのような判断基準に基づき、どのように行動すれば、企業価値を高めることにつながるか」というのが、この本のテーマです。
投資をする側としても、収益性と成長率のレベルによって変わる戦略、事業ポートフォリオについての考察等から、投資先企業の価値創造への取り組みを診るための判断軸が得られます。
優れた価値創造を行う投資先の選定にはもちろん、企業価値の向上につながらないような、おかしな投資を行っている企業から危険を察知して早めに撤退することにも役立ちますのでオススメです。
手島直樹『株主に文句を言わせない!バフェットに学ぶ価値創造経営』
こちらは旧ブログで3年前に紹介記事を書いております。
バフェットに関する本では、今でも一番読み返す機会の多い本となっております。
「私は自分の事業経験に投資家として助けられ、また自分の投資家としての経験によって良い経営者になった」というバフェットの有名な言葉がありますが、やはり経営者としての目線も持っておくことが、良質なポートフォリオの構築には必要なのではないかと思う次第です。 ポートフォリオの緊急事態宣言は、一足先に解除していいかもですね。



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