遅ればせながら、傑作ノンフィクションとして名高いこちらを読んでみました。
私は落合監督時代(2004~2011年)、ひいきのカープが弱すぎたせいもあってほとんど野球に関心がなく、当時についての記憶はかすかに残っている程度ですが、そんな私でも夢中で読んでしまったほどに魅力的で感動的な一冊でした。
謎めいていて(そしてその強さゆえに不気味な)印象の落合監督の人物像を、川崎、森野(vs立浪)、荒木…といった12名の選手と球団関係者の眼を通して浮かび上がらせています。
特に印象に残ったのは、好かれることよりもプロフェッショナルであることに徹し、また各人に徹底させたこと。
球団のため、監督のため、そんなことのために野球をやるな。自分のために野球をやれ。勝敗の責任はオレがとる。おまえらは仕事の責任をとれ。
ある意味、一番キツい追い込み方ですが、だからこそ「個」が最大限に輝けたのでしょう。
そして、選手の状態を見極める眼力の強さと定点観測の大切さ。
(とかく心理面に影響されやすい、投資にこそ必要な要素かもしれません)
アライバの守備位置を交換した背景には唸らされました。
感情を排し、不確実性を徹底的に潰していくような戦い方をしていた落合中日ですが、ところどころで人情や苦悩を隠し切れないところもまた人間落合の魅力です。
オレのやってきたことはオレが死んだ後、世間に認められるだろう。そういうもんだ。だから、今は周りに何を言われても胸を張っていてくれればいい。
3年連続で優勝を逃した時に家族に伝えた言葉だそうですが、悲しすぎませんか。
今はYouTubeのおかげもあって人間性を含めて再評価されるような時代となり、生きている間に「好かれる元監督」となったのは本当に良かったとも思いました。



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コメント
ろくすけさんは何の因果でカープファンなんでしょう?
広島にゆかりがあるからですか?
「いい時だけファンだとか言って騒いでいるのは俺は好かない」
なんて言っている人の話を聞いたときは「この人本当のファンなんだな」なんて思ったものでした。
「不調の時は不調の時なりの楽しみ方がある」とかいろいろ名言を言っていた中日ファンの人でも落合待望論が出てこないのがなにか難しさを感じます。
私がカープファンなのは、親が広島にゆかりがある関係で知らず知らずのうちに。
なのでファン歴は長いですが、あまり熱心とは言えないですね💦
落合監督は人の歓心を買うようなことは全くしなかったですし、中日ファンの複雑な気持ちも少し分かる気はします。