ハワード・マークス『市場サイクルを極める: 勝率を高める王道の投資哲学』を読む。

読書

2018年11月に買って、ずーっと「積ん読」していた本です(笑)

このところ動画などでも妙に日本株がもてはやされる機会が増え、古くからの日本株投資家としては悪い気はしないものの、どこか居心地の悪さを感じておりました。

いずれ大きな下げが来てもおかしくないとも感じていたこともあって、この本の存在を思い出して読んでみました。
(案外、早く来てしまいましたけどね…)

もっと早く読んでおけば良かったと思うほど、大変示唆に富んだ本でした。
特に「なんとかショック」を幾度も経験している投資家ほど、共感できる部分が多いかと思います。


この本は、前著『投資で1番大切な20の教え』の中の「市場サイクル」にテーマを絞っています。

そして、

・市場サイクルは、どのようなメカニズムで発生するか
(→景気・企業利益・投資家心理・リスクに対する姿勢・信用は、相互に影響し合っている。そしてすべての上昇期は次の下降期をもたらす。)
・市場サイクルの中で、現在どの位置にあるかをどうやって把握するか
・投資家として、その位置に応じてどのように対処するか

といった疑問に答える本となっています。

特に具体例としてのサブプライムローンの隆盛からリーマンショックに至るまでの経緯の解説は、社会人として脂の乗っていた当時の状況を思い返して照らし合わせると、大変腑に落ちるものがありました。


結論としては、以下になると思います。

・市場サイクルの高いところに位置しているときには、損失を出す危険性を限定することを重視すべき
・市場サイクルの低いところに位置しているときには、機会を逸するリスクを減らすことを重視すべき


要は局面に応じてリスクの意味合いは変わっていくので、投資家としての姿勢も変えるべきということです。

人は一番慎重になるべきときに買いたがり、最も積極的になるべきときに買うのをためらうといった傾向は、バリューに依拠する投資家にとって忘れてはならない事実ですし、特にコントラリアン(逆張り投資家)はこれを利用しなくてはなりません。


いくつか引用を。

成功の要素は三つある。積極果敢さとタイミングとスキルだ。

自分としては「積極果敢さ」と「スキル」に重きを置き過ぎていたように思います。
「タイミング」の重要性を、この本で思い知らされました。

パニックに陥ると、人々はとにかく損失を出さずに済ませるためにすべての時間を費やす。絶好のチャンスを逃すことのほうを心配すべきときなのにだ。

このための準備を、そうなる前から十分しておくことが重要なのだと、いま実感しております。

極端な行動をとる人間の性向がなくなることはないだろう。そして、そうした極端な状態はいずれ必然的に修正されるため、サイクルがなくなることもないだろう。

群集心理についても詳しいこの本は、「市場サイクル」の中でのその時々の位置付けと対処のしかたを把握するための、チェックリスト的なものとしてもずっと使える本でもありますので、手元に置いておいて、これから何度も読み返すことになるでしょう。

似たような記述がまるでサイクルのように繰り返されますが、それだけに著者の主張が自分の中に定着すること請け合いです。
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