前田工繊株主総会2021(★★★★☆)(2)

株主総会・説明会

質疑応答の続きです。

質疑応答(2)

【質問4】

私はSHOEIの株も保有していて、両方の株主総会に参加させていただいている。
山田社外取締役の眼から見て、SHOEIとの比較で前田工繊の文化や人材について良い点など違いがあれば教えていただきたい。

(私からの質問です)

→ 質問2を受けて先に山田さんからお話があったのは想定外でしたが、元々両社の違いについて聞きたかったこともあり、私からも質問させていただきました。


(前田会長)
私から少し。
時価総額は元々背中が見えないほどSHOEIさんとは差があったが、今は競争相手として日々切磋琢磨している(笑)

(山田社外取締役)
まず資本関連で言えば、配当性向が違う。
SHOEIは無借金で50%の配当性向。
余剰キャッシュが40億円以上になったら30%から引き上げるとしていたが、実際に今はそうなっている。

次に文化について。
SHOEIは管財人として再建プロセスの中でシビアなところからスタートしたが、今は収益力があり世界一楽しい会社になったと思っている。
前田工繊も楽しい会社になってきている。
ミドルの経営マインドが高まっていて、コスト削減・リードタイム短縮等の課題取り組みに熱心だ。

前田会長に投資会社時代にSHOEIの工場を見ていただいた。
その後私は取り残されたというより、土壌が非常にいい会社の肥料としてお手伝いしようと思った。
生産サイドの技術はAI・自動化等で非常に高まっているし、労災への意識も高い。
文化としては、SHOEIに非常に近似してきていて、素直に受け入れていただいたと思っている。
(実質)創業者でありながら、いいと思ったことはどんどん取り入れている。

企業文化を持ち、理想と現状が良く分かっている会社だ。
いいことを素直に受け入れるという文化が元々あった。
工場は会長が直々に回り、営業サイドは社長が頑張っている。
投資会社の眼で売却という形になったが、私は個人的に関わらせていただいた。
やっていることが違うので文化も違って当然なのだが、人的要素は非常に似てきている。

SHOEIとの違いで言えば、前田工繊は特殊な技術を持っている。
ヘルメットは材料で繊維の占める割合が高い。
前田工繊の特殊な繊維を取り入れるようなこともやっている。
SHOEIは成長スピードがとにかく速く、材料の調達が追い付いていない面もある。
繊維関係については、少しずつ採用が増えてきている。
前田工繊は高く売りたい、SHOEIは安く買いたいということで私は板挟みなんだけども(笑)、そこはうまくやっている。
コラボレーションを通じて、相互の人材の行き来もある。

とにかく前田会長は非常に柔軟
変えられる勇気をお持ちの方だが、一つだけ変えられないものがある。
それは奥さん(笑)
福井県人として律儀で誠実な方だ。
生産技術を集約し一等地に移してくれと要望を出した時も、叶えていただいた。
より良い環境・インフラを作ることに熱心だ。
費用対効果も十分チェックがとれている。
そこもSHOEIに似ていて、楽しいもんだからついついのめり込んでしまう。
投資はかなりしているが、バランスは取れていると思う。

前田工繊は従業員への待遇も十分配慮している。
なおSHOEIは8年連続給与を4%アップさせてきたが、そこは利益率が違うし昔は経営が厳しくて安すぎたからだ。
同じ福井でも、小林化工のようなことは起こりえないから安心して欲しい(笑)

→ 業務上でもつながりが生まれているのは嬉しいですね。「SHOEIによく似てきている」旨のお言葉、ホルダーとしてこれ以上心強いものはなかなかありません。なかなか外部からは知ることが難しい、人材に関するお話を色々伺えて良かったです。

【質問5】(2番目と同じ方)

眞弓社外取締役にメディカル事業についてお伺いしたい。
私自身、親子ともどもバルーンカテーテルのお世話になったが、本当に売れるのか疑問。
前田工繊は医療メーカーでもなんでもない。
販路はあるのか、商品の素晴らしさはあるのか、ドクターの立場から教えていただきたい。



(前田会長)
株主総会の質問としては深入りし過ぎ、オープン過ぎると感じる。
この場での回答は控えさせていただく。

【質問6】(2番目と同じ方)

前田工繊は「混ぜる会社」ということだが、決算説明会は機関投資家・アナリストのみで、個人投資家は対象外となっている。
これは前田会長らしくない。
「混ぜるとキケン」ということか?
前田会長の太い心でなんとかして欲しい。


→ なかなか面白い質問の仕方ですね。笑っちゃいました。


(前田会長)
「太い心」とはちょっと違う問題では。
決算説明会に個人投資家を含めることについては、計画もしていない。
個人投資家にもいろいろな方がいらっしゃる。
もし一緒にするとなれば、相当色々なことがあるだろう。
そこは了解していただきたいと思っている。

→ ここはちょっと歯切れが悪かったですね。


質疑応答は以上で終了。
この後簡単に新任役員の紹介がありました。

「今後の事業展開について」

休憩を挟んで、前田社長より「今後の事業展開について」というタイトルで、事業展開及びパーパス(存在意義)についての説明会がありました。

前田工繊の今後の100年を見据えたパーパスは、以下の3つとのことでした。

①地方を元気に!
②世の中の課題を解決
③ESH(ヒューマン)&SDGs

特に「地方を元気に!」というパーパスは、私が投資している大きな理由の一つでもありますね。


前田工繊の大きな特徴であるM&Aは、以下を企図したものとなっています。

「技術・顧客・製造工程・人を混ぜる」⇒「全ての地方企業が成長」「雇用活性化」

説明会では、「”地方企業”が”地方企業”をいっしょに盛り上げたい」というメッセージを強調されていました。

高岡のBBSジャパンのように世界に通用する地方企業もグループの中からどんどん出てきて、山田さん風に言えば「もっと楽しい会社」になることを将来的には期待しています。

所見

質疑応答の内容をご覧いただければ分かるように、とても楽しい総会でした。
まあ時間で言えば8割方しゃべっていた、山田さんのユーモアあふれる語りによるところが大きいのですが(笑)

そして今回前田会長のお人柄や器の大きさも、山田さんのお陰もあって伝わってくるものがありました。

当社は鎌倉投信の「いい会社」でもあり、過去にメルマガで前田会長のお人柄と運の引き寄せ方について触れていただいたことがあるのですが、自分の中でようやくつながった感じがします。

説明会があったこともありがたかったですが、総会の評価としては一部歯切れの悪い回答があったことを踏まえ(休憩時間中に山田さんが質問者のところへ行き、フォローされていたようでしたが)、★★★★☆とさせていただきます。

旅行の合間を縫って、なんとか書き上げました。普段より旅行中の方が猛烈に忙しい気がします(笑)
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コメント

  1. なりさん より:

    会長さんは「器の大きい方」との触れ込みでしたが、医療事業の話は「深入りし過ぎ(核心突きすぎている?)、オープン過ぎる???(どこが?)」とかなんとかで回答を避けてみたり、会社の真ん中にありそうな思想の「混ぜる」に関して個人投資家と機関投資家を区別して機関投資家のみ便宜を図ったりするのはフェアディスクローズの観点からも問題かと思われ、柔軟に対応される方ともお聞きしていたので、前向きに考えるかと思ったら「計画もしていない」とバッサリで、これまでのやり取りから考えると器の大きさを感じられませんがどうでしょうか?

    また今回の記録を見てみると山田さんあっての興味深い総会であって、山田さんがいなかったら特段特筆すべきことがなさそうな感じがしましたがどうでしょうか?

    • ろくすけ より:

      メディカル事業は特にセンシティブな情報が含まれますし、株主総会で非公開情報を公開するのはそれこそフェアじゃないので、致し方ないと思います。リスク感覚で、社外取締役を守ったようにも見えました。

      個人投資家と機関投資家は混ざるべきではないと私は思っています。個々人のレベルにかなり差があり、そこは機関投資家との差がどうしても出てしまいます。

      質問のしかたとしてはケンカ腰と取られかねない形ではなく、録画での提供等の検討を提案する形にした方が良かったかもしれませんね。

      確かに文字にすると冷たく感じられると思います。人柄が伝わるような書き方ができなかったのは私の力不足ですが、山田さんとの掛け合い・間合いも面白く、会場の雰囲気は良かったです。

      昨年は山田さんの登場の機会が無かったのでよく分かりませんでしたが、今回はうまく魅力が引き出されて伝わるものはありました。

      日本のバフェットとマンガーと言ったら言い過ぎかもしれませんが(笑)、連想させるものはありましたよ。

      質問次第で株主総会もガラッと変わるなぁと思った次第です。

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