投資とは全然関係の無い本ではありますが、企業のファンダメンタルズを重視する方にとって非常に有用な本であると感じましたので、ここで紹介させていただきます。
俗に言われる「地頭のよさ」とは何でしょうか。
この本では「頭のいい」を、「物知り」(知識・記憶力)「機転が利く」(対人感性力)「地頭がいい」(考える力)の三種類にまず分類しています。
その中で情報を選別して付加価値をつけていく力としての「地頭力」に焦点を当て、トレーニングツールとしてのフェルミ推定(例えば「東京都内に信号機は何基あるか?」を論理的に推定する方法ですね)を紹介しながら、その鍛え方について解説しています。
「地頭力」とは結局のところ、「結論から」「全体から」「単純に」考える思考力です。
すべてのベースにあるのが、原動力としての知的好奇心であり、直観力(攻め・右脳的・アート)と論理思考力(守り・左脳的・サイエンス)。
その上にある三つの構成要素として、
- 「結論から考える」仮説思考力
- 「全体から考える」フレームワーク思考力
- 「単純に考える」抽象化思考力
があるとしています。
私はこれを見て、ファンダメンタルズ分析に大事な要素がここに凝縮されていると気付かされました。
- なぜ利益を上げ続けられるのか、あるいはどこまで成長余地があるかなど、少ない情報の中でもなんらかの仮説を自分なりに立てる。そして検証と必要に応じて修正を繰り返す。
- 全体(例えば売上高やROE)を因数分解し、追うべきKPIを自分なりに設定してフォローしていく。
- ビジネスモデルについて、他社(他業種であることも多い)とのアナロジーを見つけ、端的に理解する。あるいは逆に、個々のビジネスモデルを以後他の事例でも応用可能なものにするために抽象化しておく(具体と抽象の往復運動)。
などなど。
投資とは、まさに「地頭力」が試される営みなんだなあと思った次第です。
あと「エレベーターテスト」も登場します。
多忙な社長にエレベーターに乗って降りるまでの30秒で、いかに簡潔かつ要領を得た説明ができるかという、アレですね。
これはあのピーター・リンチの「二分間の訓練」に通じるものがあります。
株を実際に買う前には、その会社の魅力、成長性、弱点などを、もう一度二分間だけ自問自答してみるとよい。
子どもにも理解してもらえるまでに理解がこなれていれば、その会社の株に対する投資準備は万全と言えるだろう。
『ピーター・リンチの株で勝つ』
ここで必要とされるのも、「地頭力」だと思います。
「地頭力」を発揮し、それこそ「子どもに理解してもらえるまでに」理解がこなれていれば、少々の株価変動にはびくともしなくなるんですよね。
ということで、分析力と握力を高めたい方にオススメしたいと思います。
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