今月の投資先メモ(25年8月)~【2303】ドーン「失望売りを狙う」

今月の投資先メモ

今月は、開示資料を丁寧に読み込んだことで、「失望売り」が「絶好の買いチャンス」になった実例として、今後の振り返りのためにもドーンの中期経営計画発表後のあれこれについてメモしておきます。

開示資料からのふとした気づき

まず、7/10の場中(14:00)に、2025/3期決算の発表とともに第2次中期経営計画の発表がありました。

ホルダーにとっては待ちに待った発表であったわけですが、実際の計画数値は下表のとおりです(P.29)。


以下が私の第一印象なのですが、おそらく多くの方も似たような感情を抱かれたのではないでしょうか。

  • まるで従来の延長線上のような極めて緩やかな伸びの計画を、はたして発表する意味はあるのか?
  • 「創造ステージ」から「拡大ステージ」へと移行する3年間のはずなのに、成長が加速しないとはこれいかに?


そして株価も、発表直後に一瞬跳ねた後は、おそらくは「失望売り」でズルズルと下がっていきました。


しかし、さらにページをめくっていく中で、私はあることに気が付きました(P.31)。


赤丸で囲った部分に注目です。

最初の表の中期経営計画での3ヵ年の伸びは、2028/5期計画と2025/5期実績(売上高 1,646億円、営業利益 574億円)の差分からすると、売上高で+2.34億円、営業利益で+0.96億円にしかならないはずです。

一方、このページ上の目立たないところでは「売上+5.03億、営業利益+1.75億」と書かれています。

つまり、公表された計画数値はあくまで「ドーン単体」のものに過ぎなかったということです。

そしてtiwaki社を連結した後の計画数値はダイレクトな数値としては書かれておらず、おそらく株価にはまだ反映されていないだろうと見て、そこから買いを入れることができました。


tiwaki社の連結が予定通り行われるなら、2028/5期の売上高は21.5億円、営業利益は7.5億円となる計算で、だいぶ見映えも変わってきます

そして連結は既定路線であることも個人的に確認済で、また当社のこれまでの開示の傾向からして、「営業利益7.5億円」だとしてもそれが保守的な数値である可能性もかなり高いと見ていました。
(前回の中期経営計画も、当初の目標からは相応に上振れしていますし)

決算説明会要旨での答え合わせ

7/31には「2025 年5月期 決算説明会」要旨(書き起こし)が発表されております。

そのP.13で、答え合わせをすることができました。


やはり2028/5期(2027年度)での営業利益7.5億円を見込んでいましたね。

光通信の大量保有が判明し、7/28から既に株価上昇を開始しておりましたが、この書き起こしの発表を受けてさらに力強く上昇することとなりました。


また書き起こしの文章を読んでいくと、緑の点線で囲った部分に関して、以下のように(あくまでも可能性というレベルの話ではあるのですが)さらに上積れを期待できる要素が複数あることも分かります。

  1. tiwaki社の連結時期の前倒し
    ・3年目(2027年度)に予定している連結が、前倒しで実現する可能性あり。
    ・スマートパーキングやAI給油監視システムなどの事業が収益化次第、早期連結が可能

  2. 防犯アプリの新機能による収益化
    ・秋〜冬にかけて新機能を追加した防犯アプリをリリース予定。
    ・2年目(2026年度)から収益化が始まる見込みだが、予測としては最低限の数字

  3. AI防犯サービスの市場投入
    ・tiwaki社と共同開発中のAI防犯サービスが、2027年度に市場投入予定。
    ・官公庁予算次第では、2026年度に前倒し導入の可能性も。

  4. 新たなM&Aによる事業拡大
    ・「聞く・話す」技術を持つAI企業の買収を目指している。
    ・実現すれば、AI統合型サービスの展開による非連続的な成長が期待される。


パッと見段階では失望を誘うような中期経営計画も、ここに来て印象がガラっと変わりました。

特に上記囲み4つ目の、人の代わりになる「聞く・話す」技術の獲得(まさに公的部門で求められるものですね)につながる買収が仮に成功すれば、業績的・株価的にもまた一段の飛躍が期待できそうです。

正直なところ、当初から分かりやすく資料を作っていただきたかったと思わなくもないです。
(tiwaki社での補助金を活用した事業の絡みがあるとはいえ)

とはいえ、効率的にパッパとたくさんの企業の開示資料をチェックしていくことの落とし穴、投資先一社一社の資料を丁寧に読み込んでいくことの大切さ(そしてそれが可能な程度に、組み入れ企業数を留めることの大切さ)を実感する事例となったことは確かです。

生成AIに資料を読み込ませたところで拾えないようなちょっとした気づきにこそ、価値があるのでしょうね。
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