「と」に込められた意味
ところで、この講演のタイトルにおいては、「と」が強調されております。
- ESG経営「と」社会価値創造
- 論語「と」算盤
- ヒューマンヘルスケア(hhc)「と」利益
これらを「と」(and)ではなく「か」(or)として分断してしまうと、そこから新しいものは生まれません。
そうではなく、それぞれの二つを結びつけることで、化学反応が起こり、良い循環が生まれ、やがてサステナブルなものになります。
お二方は、まさにそこに取り組まれているということです。
投資家が求める「ESG&ROE」
ここで今回の大きなテーマであるESG経営について触れておきます。
柳さんは毎年世界の投資家に対してサーベイを行っているそうですが、「日本企業のESGや統合報告に何を期待するか」を尋ねたところ、なんと3/4以上が「資本効率とESGを両立して価値関連性を示してほしい(ESG&ROE)」という回答だったとのことです。
つまり、ROE向上を優先することはもはや求めず、「価値創造のためのESGをやってほしい」というのが時代の流れということですね。
ESGとROEを別々に、「or」で考えていてはいけない時代。
現代のCFOは「ESG&ROE」に関して、受託者責任を負っているということです。
日本については「ESGの価値が本来はふんだんにある国」というお話もされていました。
ESG以前から、「三方よし」の文化があります。
また、みさき投資の中神さんのお言葉(こちらの資料のP.16)をお借りすれば、「世界一厳しい顧客に品質を鍛えられ、また、世界に誇る労使協調体制を構築してきた」のも日本企業です。
ただ残念ながら、本来こういった豊かな素地があるにも関わらず、評価としては世界の投資家には認められてないという現実があります。
日英米のPBRの過去10年比較では、英国では2倍、米国では3倍が当たり前なのに対し、日本ではようやく1倍強(日経平均PBRが1.3倍前後)。
逆に言えば、伸びしろは非常に大きいのです。
確かにPBR=PER×ROEの式からしても、低PBRは低ROEであることがその大きな要因となっています。
ただその一方で、「ESG&ROE=資本効率とESGを両立させた取組」を行い、またそれを投資家に訴求していき、評価につなげることができれば、PBRを高めることが可能とも言えます。
柳さんは講演の中で、「ESGは日本を救う。PBRは倍増する。」と力強く仰っていました。
そう聞くと、日本企業への投資に対して、なんだか希望の光が見えてきませんか?
私はお話を伺いながら、ワクワクしてきましたよ。
(続く)
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