昨日(9/17(土))、おおぶね年次総会に参加致しましたので、その模様をかいつまんで(情報量が膨大なので、主に自分に刺さった部分のメモとして)レポート致します。
今回はおおぶねJAPANの投資先である、テルモ株式会社の施設での見学会を兼ねた開催。
研究開発拠点・湘南センター(神奈川県足柄上郡中井町)の一角にある、医療従事者の研修&トレーニングを主目的とした施設「テルモメディカルプラネックス」が会場です。
ここは一般見学者には開放していない施設であり、大変貴重な機会。
約160名の申し込みに対し、抽選による30名の受益者の参加となりました。
10時10分、小田原駅に集合し、バスで会場へと向かいます(11時15分より開始)。

敷地内は基本的に撮影禁止ですので、ほぼ文字のみのレポートとなることをご容赦ください。
運用報告
まずはNVICさん側より、市場環境とパフォーマンス、投資行動に関しての報告がありました。
市場環境
まず奥野さんから。
注目すべき市場環境として、「人類の生存コストの上昇」「円安」を強調されていました。
・気候変動や地球環境への対応、そして核兵器・核戦争のリスクが、企業収益を圧迫している。
・受益者の資産は円であり、日本企業からの給料によって形成されている。外で稼いでくる企業に投資してヘッジをかけていかなければならない。
・コスト増大を跳ね返すだけの企業、タイムラグはあっても価格転嫁できる企業に投資すべき。
・グローバルに強い企業は、円の価値などという「ちんけなもの」には影響されない。そのような企業群を資産の中に組み込むべきである(「おおぶね」シリーズならそれができる!)。
投資哲学
株価=PER×EPS となりますが、PERとEPSそれぞれの居所について整理していただいたことが、自分の中で大変腑に落ちました。
【PERの居所】
EPSの質と成長力により、レンジ内でしか動かない。
【EPSの居所】
個別企業の参入障壁で決まる。参入障壁によって持続的に拡大していく。
NVICさんの基本的な構えとして、PERの変化に過度な期待はしていないということがよく分かります。
「選ぶこと」に加えて、「patience(辛抱)」が大事だとも仰っていました。
リスクの抑制
運用パフォーマンスとして、リスクを抑えながら高いリターンを獲得できたことについて丁寧な説明がありました。
運用効率の高さ(5年のシャープレシオ1.06)については、ちょうど日経の記事にもなっていましたね。
リターンは水物だが、リスクはあまり変わらない ー 保有している企業が強く、利益のブレも大きくないという説明も可能なのでは、とのお話でした。
投資行動
続いて岡島さんからは、投資行動についての報告がありました。
通常この手の報告と言えば、いきなり売買の詳細について述べるのが常ですが、この点NVICさんはユニークで、「仮説の精度を上げ、結果として継続保有することが我々の行っていることである」と冒頭で強調されていました。
具体的な入れ替えについての説明も、その背景を知っておくと納得感がありますよね。
質疑
いくつか印象に残った質疑の内容を三つ残しておきます。
【質問1】
リスクを下げるためのポートフォリオの組み方として、業種分散などは意識しているか?
強い企業を上から順番に組み入れているのか?
(私からの質問です)
⇒
結果的にリスクを抑えるポートフォリオになっている。
意識しているのは、(産業というよりは)「価値の源泉」が集中しないこと。
過集中にならないよう、ポートフォリオマネージャーとして調整している。
【質問2】
人類の生存コストの上昇についてお話があったが、気候変動等に対して「攻めの解決」ができる企業に投資する考えはあるか?
⇒
結論から言えばNo。
コストを転嫁できる企業に投資すればいいのであって、解決策が出ておらず(機会を狙って)プレイヤーもひしめき合うような、逆風のところに飛び込んでいく必要はないと考える。
【質問3】
おおぶねJAPANの投資対象は70~80社とシリーズの他と比べて数が多いが、どのような背景がある?
⇒
日本株は、1つ1つの時価総額が小さくて小粒。
我々のゴールを考え、千億円規模になった時のことを見越して流動性の面から社数を増やしていた。
ただし分散し過ぎた感があり、50~60社くらいに減らしてもいいとは考えていて、実際に売却して数を減らしているところ。
新刊「投資家の思考法」について
奥野さんの地道な普及活動もあり、売れ行き好調とのこと。
ただ小田原駅の三省堂書店に並んでいないことには、軽くショックを受けていらっしゃいました(笑)
佐藤優さんとの刊行記念セミナーの宣伝もされていました。
この本は15年に亘る、NVICの若手向けの研修活動がベースになっているとのことでした。
どうりで分かりやすくかつ深みのある内容になっているわけですね。
(続く)



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