新しい期に入り、1Qでいきなり悪い数字、特に減益などを出されると、普通はガクッと来ますよね。
そこで脊髄反射的に、大きく売り込まれたりもするわけです。
ただしこれは、後で振り返ってみると、大きなチャンスであったことが往々にしてありました。
私もよく投資手法の一つとして「1Q減益決算での買い」を意識して実行することが多々あり、その成功確率もそこそこ高いように思います。
それはなぜでしょうか?
「1Q減益決算」が買いになる理由
まず本決算が発表される時期を考えてみましょう。
概ね期末月の翌月末か、翌々月の上旬になりますよね。
つまり1Qに入ってから1ヶ月程度経った時点で、今期の業績予想を発表するということです。
ということは、足元の受注状況などから「1Qの着地がある程度見えている状況下で」業績予想を出していることになりますよね。
つまり、1Qで悪い数字が出る場合でも、中の人はそれを事前に想定できている可能性が高いということです(それを確認する意味で、IR照会は大事!)。
この場合、数字を外から見るのと中から見るのとではギャップが生じ、外の人の過剰反応につけ込めるチャンスが生まれます。
価値は不変でも、価格がお値打ちになる。
ここに「1Q減益決算での買い」を敢行する根拠があります。
減益の理由を把握する
だからといって、1Q減益に対し無条件に買っていいとはなりません。
ポイントは、①減益の理由が腹落ちできること ②長めの時間軸に位置付けて考えること にあると思っています。
例えば、以下のような背景・事象が確認できれば、成功につながる可能性は大いにあると考えます。
- 四半期ごとの業績を見ると、元々1Qの進捗率が極めて低い。
… アパレルのように季節性の高い商材を扱っており1Qは閑散期にある、取引先の予算の関係(官公庁向けが典型的)で売上が作りにくい時期にある等。通期の業績と1Qの業績とに相関関係が低く、1Qの利益水準が僅少となりがちなケースで起こります。有価証券報告書等で、事前に業績の季節変動をつかんでおくことが大事です。 - 前期1Qで採算の良いスポット案件があったが、それが剥落した。
… セグメント情報やIR照会等で、部門別の採算性も確認しましょう。可能であれば、2Q以降で巻き返せるだけの受注・見込み案件があるかも同時に。 - 先行投資的な一過性の費用が発生した。
… 力を入れていきたい部門の人的資源の強化(1、2ランク上の人材を獲得するための採用コスト増、待遇改善等)や、戦略的な広告宣伝費、いつもより大きめの出店費用等。中計経営計画や前期決算説明会の資料を読み込むなどして、大きな流れの中での一貫性のある支出であるかどうか、確認しましょう。
まとめ
「1Q減益決算」が引き起こす狼狽売りは、少しばかり長い目で見れば逆バリの好機となり得ます。
「市場は、我慢できない人から忍耐強い人に富を移転する、世界で最も効率的な機能を備えている」というバフェットの言葉も想起されるところです。
最大効率で儲ける手法ではないかもしれませんが、長期投資のエントリーのタイミングとしては、まずまず良いのではないかと考えています。



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コメント
ろくすけさん
投稿ありがとうございます。いつも記事を読んで勉強させてもらってます。
今回の記事で、まさにアバントの現状に当てはまるなと感じるところです。
私もアバントの今回の決算短信を読んでみたのですが、初心者ゆえ理解できないところも多く、ろくすけさんはどのように分析されたのでしょうか?
コメント欄での質問で失礼しますが、お時間あればよろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。
私がこの決算をどう解釈しているかについて、せっかくですので近々記事にさせていただきますね。
ご返信ありがとうございます。
記事にしていただけるとは光栄です。楽しみにお待ちしております。よろしくお願いします。