「会社員時代に読んでいたら、きっと働き方も人との関わり方も、自分の当時のそれらとは違ったものになっていたはず」
— 読み終えて、そんな感想が浮かびました。
この本を手に取ったのは、アダム・グラント『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』を過去に読んでいて「Giver」というキーワードそのものに馴染みがあったのと、AI時代における人としての振る舞い方を知りたいと思ったからです。
「GIVE & TAKE」の理論を土台に、澤さんのビジネスでの経験知を絡めながら「人を動かす」スキルやマインドセットを提案したのがこの本になります。
(なお、著者の澤さんのことは、あまり良く存じ上げてはおりませんでした。)
「人を動かす」というと「説得」や「コントロール」のような外部からの力技を想像してしまいますが、澤さんが語るのはその全く逆。
「人を動かすとは、相手の中にある”動きたい”という気持ちを引き出すこと」なのだそうです。
Giverとは「与える人」ではなく「循環を生む人」。
「Giver」は単なる「与える人」「親切な人」ではなく、むしろ、自分の経験や知識、時間や人とのつながりを惜しみなく差し出すことで、周囲に善意の連鎖・循環を生み出す人だと言えます。
Giverは「見返りは求めない」けれど、かといって「自分を犠牲にするわけでもない」点は重要です。
AI時代にこそ、Giverの価値は高まる。
AIが急速に進化し、広範な業務が自動化されていくのを見るにつけ、「では、人間にしかできないことって何だろう?」と考えることが増えました。
人に関わらなくても完結できる仕事がどんどんAIに置き換わっていくのだとすれば、これからの時代の求められるのは人と人との関係性を築き、価値を高め合う力ということになるでしょう。
「誰かの役に立つこと=”利他”が、相手の”内発的な変化”を引き出し、貢献することでハッピーになれる、巡り巡って自分にも返ってくる」という循環を信じるGiverのマインドセットは、AI時代にこそその価値が際立っていくことになる、という趣旨のことが述べられています。
「抽象思考」は、あらゆる場面で使える武器になる。
上記の本筋とは別に個人的に刺さったのは、「抽象思考」のくだりです。
澤さんは、ストーリーづくりの黄金則として「抽象化→共有化→課題解決」という思考フローを紹介しています。
- 込み入った事象を一度分解し、「ひとつ上の次元の概念」として捉え直し本質を伝える「抽象化」。
- 伝える相手のペルソナを明確に捉え、自分ごと化させる「共通化」。
- こうすれば課題解決ができて「よりよい未来に到達できる」という望ましい変化を示し、ありたい姿を提示する「課題解決」。
これらは単にビジネスの場面だけでなく、日常のあらゆる場面に応用できます。
例えば誰かの悩みを聞いた際に、
・その表面的な言葉に反応するのではなく、「この人は何に困っているのか?」を抽象化して捉える
・その上で、自分の経験や知識から共通点を見つけ、ありたい姿へ到達するキッカケとなるような具体的なヒントを返す
といった具合です。
また、投資ストーリーの設定や読者がいるブログ作成においても然りで、私が以前から意識していたこと(言語化の大切さ)と大変近いものがありましたので、この件についてはまた改めて整理してお話しする機会があればと思います。
Giverは「選べる」生き方。
「Giverという生き方は、決して難しいものではありません」と澤さんは言います。
Giverは特別な才能などではなく、生き方の「選択」ということですね。
そして「与えることで、自分もより豊かになる実利的な方法」でもあるということです。
自分と自分が関わった人の未来を良きものに変えていくために、どのような行動を積み重ねていったらいいかがわかりやすく書かれたこの好著、残念ながら過去の自分にはプレゼントすることはできませんが、人との関係性について再考したい方が周りにいればぜひ手渡してみたい一冊です。
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