官房長官時代から長期にわたり番記者として菅前総理の懐に入り込んでいた著者の、渾身のドキュメントです。
出版から約半年経過しておりますが、読んだタイミングが今で、かえって良かったかもしれません。
なぜなら、岸田現総理に対する菅前総理の評価が随所に書かれており、懸念していたことがいままさに現実となっている部分があるからです。
(なお、菅前総理の在任時の仕事ぶりがいまさらながら再評価されていますね。)
この本では特に総理になって以降、組織としての「自民党」に翻弄されてきた様子が生々しく描かれています(ネタバレになるので、ここでは触れません)。
俺が一番怖いのは自民党なんだよ
政治家といったって、自分の意見も持たず、流れができたら従うというのが8割以上だから。そんなノンポリみたいな奴らばっかりなんだよ
自民党は良く言えばさまざまな意見を吸い上げる包容力があり「懐が深い」ということになるかと思いますが、一方で世論に流され文字通り右往左往してしまう面もあります。
この自民党の性質は有権者の写し絵でもあり、私たちにも責任があることを忘れてはならないと、本を読んで痛感致しました。
・衝動的な世論に忍耐強く向き合う姿勢
・集中的な批判にも流されない強い覚悟
これからの政治家は、この二律背反する能力が求められると、著者は結んでいます。
新旧政権は、実にわかりやすく対照的にそれぞれ両極端に振り切った形での運営がなされてきましたが、この国の舵取りはどうあるべきか、私たちはどう評価していくべきか、色々と考えさせられました。
余談ですが、「人事」を目的(総理になってやりたいこと)とした岸田前総理、やりたいことを実現する手段として冷徹に活用した菅前総理の対比も面白かったです。
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