質疑応答のラストになります。
大変ユニークな質問がありました。
質疑応答(3)
【質問10】
まず小島前社長、在任の4年間の間に、素晴らしい株価上昇を牽引していただき、誠にありがとうございます。
質問は、德永社長の時間の使い方について。
日立さんの今の資本市場の位置づけというのは、かなり高いところにあって、やはり今までの小島前社長時代の位置づけとはワンステージ、ツーステージ変わってるかなと思う。
特にやはりグローバル競争の中で経営力、スピード、判断力、そこが非常にトップとして重要かなと思う。
德永社長がこれからどういうところに時間を使われ、 企業価値向上に貢献しようとしていらっしゃるのか、それに対するお考えをいただければ。
⇒
(德永執行役社長)
小島に対する過分なお言葉をありがとうございます。
ご指摘いただいた通り、日立はここまで成長してきているが、ここから先、次のステージに移るためにはさらなる大きな変革が必要だと考えている。
持続的に日立を成長していくために何をするのかと言えば、今回の「Inspire 2027」の定義を貫くものとして設定していて、それを実現するために私が一番重要だと考えているのは、「日立ならではの価値をお客様、 あるいは社会にお届けする」ということ。
そして日立ならではの価値を提供するためには、「真のOne Hitachi」を実現しなければならないと考えている。
では「真のOne Hitachi」をどうやって実現するかということになるが、それがすなわち私の時間の使い方に反映されてくると考える。
日立を一つの会社としてさらに強力な企業体にするために、私は3つのマインドセットを社内に共有している。
「アジリティ」「レスポンシビリティ」「トランスペアレンシー」ということで、社内ではARTと呼んでいるが、このマインドセットを広く社内で共有するために、リーダーシップのチームの中での会話をかなり深めている。
ざっくり申し上げて、1/3くらいの時間をリーダーシップチームの会話に費やしている。
次の1/3は、価値をお届けするお客様といかにつながっていくかということで、 先ほどNVIDIAの例を出させていただいたが、パートナーに限らず、私どものソリューションをご利用いただけるようなお客様との接点に使う。
最後に残った1/3は、やはり将来何で成長していくのかを考え、あるいは社内で議論することに使っている。
「Inspire 2027」では特にLumadaの進化を中核に据えており、Lumadaを成長させることによって、将来的にLumada売上比率80%、利益率20%という、非常に成長性の高いデジタルカンパニーに変えていきたいということで設定した次第。
引き続き経営リーダーシップ「チーム」で「真のOne Hitachi」を実現し、企業価値を向上させ、株主の皆様に還元してまいりたい。
→ 経営者の方に「時間の使い方」を尋ねてみるのもいいですね。今後の参考にさせていただきます。
【質問11】
中東情勢の懸念点について教えて欲しい。
⇒
(加藤執行役専務)
我々の中東における事業概要としては、イスラエルは100名くらいの従業員が業務を行っている。
生産拠点は無いが、いくつかの拠点はある。
今回、軍事的な衝突が起こったが、従業員の安全確保を最優先に考えている。
今のところ被害が発生していないことを確認している。
情勢が非常に流動的なので、引き続き注視していく。
イランについては、当社の事業拠点は無い。
事業の業績面から言えば、売上高等の数字はあるが非常にわずかで、今のところイスラエルとイランの衝突に関しては影響は軽微だという認識。
ただ一方、その他の中東地域、湾岸諸国については、インフラ系の注文をいただいていて、拠点もあり従業員もいるので、今後とも従業員の安全を最優先に、事業についてもリスクマネジメントをしっかりと行っていく。
【質問12】
私は現役時代にデジタルシステム&サービスに所属していたので、德永新社長には大変期待している。
私の質問にぜひ前向きな答弁をお願いしたい。
私は日立グループ人権方針の第一条の中で、「OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」に規定されている、国際的に認められたすべての人権を尊重すると方針を見て、外務省・厚生労働省・経済産業省の三省で構成するOECDの各国連絡窓口にあるNCP(National Contact Point)に問題提起を行った。
私の提起した「人権の侵害と団体交渉の拒否」に対して真摯に対応し、日立グループ人権方針に則り実行の後、一日も早くこの問題の解決のために德永新社長のご尽力をお願いしたい。
日本NCPの方から日立製作所と情報を共有したと連絡があったので、現状どうなっているのかをお聞きしたい。
⇒
(デッラジョヴァンナ執行役専務)
(以下、通訳)
個別の内容に関わることであり、内容についてのご回答は控えさせていただく。
日立の人権方針は、国連のガイドラインに従って作られたもの。
人権デューデリジェンスがグループ全体にわたって実施されている。
そしてすべてのコンプライアンスの項目と同じように、極めて厳格に従っている。
日本の組織ではあるが、日立の展開している全ての国・地域の組織体において実施されている。
また日立だけでなく、バリューチェーンの全てのステークホルダーがこの人権を守るという取り組みを行っている。
→ このパターンはこの日三回目です。「会社の戦略に関することを中心にご意見、ご質問をいただけると幸いです」と冒頭でわざわざ仰っていたのは、このような質問があることも十分想定してのことなのでしょうね。
【質問13】
色々と難しい話もある中で、見回してみると男性の方が多いようですが、皆さん、お洗濯は毎日されていますか?
お洗濯を毎日されている方、挙手をしていただきたいんですが…
恐れ入ります、女性の方がされているのかな?
私は日立さんの洗濯機PA-T45K5を使っています。
これがどういうものかというと、二層式洗濯機なんです。
皆さんは二層式洗濯機をご存知でしょうか?
私は結婚して以来、二層式洗濯機を実家で使っていましたので、全自動を使ってみたいなと思って全自動を買い、その後全自動はなかなか汚れが落ちないということでドラム式も買って使ってみました。
でもドラム式は時間がかかり、使われていた方なら分かるかと思いますが、とても使い勝手が悪いんです。
タワマンなどでは、全自動はゴミが詰まって水があふれ出すという話もよく聞くんです。
それがPA-T45K5を買って以来、全く洗濯するストレスが無くなったんです!
すぐ洗濯が終わりますし、汚くなった雑巾を洗濯機に入れて洗うと、泡の花が咲いた後、雑巾が真っ白になるんです!
雑巾だったと分からなくなると困るので、あらかじめ「ぞうきん」と書いておくんですが、その「ぞうきん」という文字が消えるくらいキレイになるんです。
日立さんのPA-T45K5だけが半自動洗濯機ということで、すすぎの途中で水が止まるようになっているんです。
それがあるのはこの機種だけなんです!
それが実は、生産中止になったんです。
(確認したところ、「日立の家電品」サイトはリンク切れでした。)
私はこれはとても困ると思って今日来ました。
(会場笑)
わざわざ株を買って来ました。
これをまたぜひ作っていただきたい。
私の高齢の母も、やはり二層式でないと使いづらいということで6年くらい使っており、壊れるのがとても心配で不安になっております。
それをどうかお願いしたい。
それからもう一つ、掃除機についてですが、皆さん、ダイソンの掃除機は使ったことがありますか?
とても有名で私のお友達も使っていたのですが、今は使っているお友達はいません。
使いにくいんです。
私は日立さんのCV-SF80Aを使っています。
(会場笑)
こちらの何がいいかと言うと、ティッシュでごみが取れるんです。
今は掃除機にはサイクロン式、紙パック式があるんですが、紙パック式は中にごみが溜まるまで取り換えません。
そうすると吸引力が落ちてしまうんですね。
でも日立さんのCV-SF80Aは、ティッシュで覆いをしておいてそこにごみを溜める仕組みなので(上記リンクご参照)、毎回掃除をした後にそれを交換すると吸引力が戻るんです。
とてもいい掃除機なんです!
でも、これも生産中止になりました。
(会場笑)
この二つの機種をぜひもう一度作っていただきたいなと思い、今日参りました。
日本の主婦は馬鹿ではありません。
いいものを求めますし、もちろん新幹線や原発といった大きな話もいいとは思いますが、こういった白物家電にも力を入れていただきたいです。
日立さんの原点はそこにあるのではないかと思うんです。
長くなりましたが、以上、よろしくお願いいたします。
(雰囲気が再現できるよう、口語調で書かせていただきました。質問という名の演説には辟易することもしばしばなのですが、今回は聞き入ってしまいました。)
⇒
(網谷執行役専務)
「長年にわたって日立製品をご愛顧くださり、本当にありがとうございます」
まずはこの言葉からスタートさせていただきたい。
洗濯機PA-T45K5はご指摘の通り、製造を終了しているというのが現時点の状況。
改めて今日お聞かせいただいたご意見も踏まえながら、今後もお客様の暮らしをより快適に、便利に、安心して長くお使いいただける製品を目指して、改めて開発に取り組んでまいりたい。
もう一方の掃除機CV-SF80Aは、まだ現在生産をしている。
一部ECサイトで購入いただける状態になっているので、引き続きご愛顧いただきたい。
我々も皆様の生活に貢献できるよう、引き続き努力していく。
→ 優雅な雰囲気を漂わせながらもこだわりの強そうなマダムが、まるで結婚式の司会をされているフリーアナウンサーのような(製品型番もしっかり聞き取れるくらいの)滑舌の良さでお話しをされていて、場を支配している感がありました。日立さんにはとても響いたでしょうし、この方をアドバイザー、何ならアンバサダーにしていただいてもいいくらいだと思いました。何らかの形で二層式洗濯機が復活するといいですね。
ここで時間も経過しており、次を最後とさせていただく旨のアナウンスがありました。
【質問14】
私は60年来の株主。
新任役員、取締役の方に、所信や信念、決意を述べていただきたい。
役員としての社会への責任、就任への決意、抱負といったものを、コーポレートガバナンスの面を主体に述べていただきたい。
昨年はこの部分を省略されていたが、ぜひお願いしたい。
⇒
(松村執行役常務)
新任取締役のメンバーに代わり、こちらからご回答を申し上げる。
私たちは当社においては取締役会の監督機能と意思決定機能を持っており、その両方でより実効性の高い体制を検討している。
指名委員会においては、取締役会の構成、取締役個人個人の資質を継続的に検討してご提案申し上げている。
この度、3人の新任取締役候補が提案されている。
執行サイドからは德永社長、独立役員として社外取締役の西島取締役候補と桜井取締役候補。
指名委員会として十分に審議した結果、3名の新任取締役が日立の取締役会の多様性と監督機能、意思決定機能には最も適任であると考える。
個別の所信表明をご希望とのことだったが、私からの回答を以って回答とさせていただく。
以上で質疑応答は終了。
(11:27)
議案採決を経て、閉会となりました。
(11:28)
所感
約1時間半(時間も決めていたと思います)でしたが、長さは感じさせませんでした。
質疑ではいろいろな投げ掛けもありましたが、事業同様、質問への回答の役割分担と対応のしかたも含めて、総会運営には非常に安定感がありました。
やはり巨大企業のトップ層の方々は大変優秀だと感じるところです。
また、自分が今後参加する株主総会の運営ぶりを評価する上で、今回の日立製作所さんが一つの基準になりそうな気もいたしました。
そして、とあるご婦人の貢献により、意外にもエンターテイメント性もある総会となりました。
堅実な企業イメージとのギャップもあり強く印象に残りましたので、評価は★★★★★とさせていただきます。
私も来年以降、良い質問ができたらいいなと思います。
(終わり)
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コメント
いや、なかなか面白い。
・問い質す、糾弾系
・どうしてなの、疑問形
・こうしたらどう 提案系
・すばらしい 頑張れ 賞賛・応援系
・お願い 要望系
・言いたい 主張系
・まとまらん グダグダ系
など、これらの中から複数の要素が組み合わされている感じかな。
自分の意見、質問を組み立てる時の参考になります。
分類面白いですね。
私の場合は、「これって、こういうことですよね?」という「確認系」も多用します。