著者はゴールドマン・サックスに16年勤め、まさに資本主義のど真ん中から政策保有株式の解消などを通じ、強い問題意識を持って日本の資本主義を変えようと奮闘されてきた方です。
資本主義の現実と理想について、正面から向き合った本という印象ですね。
「所有の自由」(「あなたが努力して得たものは、あなたのものですよ」)と市場原理に委ねる「自由経済」との組み合わせにより結果的に競争が促されるのが、資本主義の根本原理としています。
その上で、そこにいつの間にか備わった ①成長の目的化 ②会社の神聖化 ③時間軸の短縮化 といった思想によって、資本主義社会、特に日本の資本主義にどのような影響を及ぼしているのか(②の影響が甚大ですね)を解説するという流れになっております。
「Up or Out(成長しないヤツは出ていけ)」の世界にいたからこそなのでしょう、「まじめ」な会社で数十年間不正が引き継がれてしまうような、その対極にある「忖度」で動き、是々非々ではものごとが決まらない日本経済の課題を浮き彫りにしていただいております。
ただ日本には「利他」の素晴らしい思想があるのも事実で、おそらくこの二つの極の中間地点に、著者なりの希望を見出しているのだと理解致しました。
「健全な緊張感」「ピラニアを放り込め!」といったキーワードは出てくるものの、「資本主義を変える」ための具体的な処方箋を列記したような本ではありません。
それでも見事に言語化された著者のまっすぐな想いに対し、自分なりの答えを出して行動に移していかなかればと、身が引き締まる思いがしました。
私も「哲学」にはこだわる方の人間ということもあり、強く共感する部分が多かったです。
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コメント
日本人が欧米人の真似をしてもうまくいかないんだろうな
人種が違うからな