今月の投資先メモ(24年6月)~【2303】ドーン

今月の投資先メモ

今月は、株式会社emotivEとの業務提携に関するお知らせ をリリースした、ドーンです。

このリリースで注目すべきは、「業務提携の目的及び理由」にさらっと書かれている内容です。

当社がなぜ選ばれたのか?

「『フレイル予防』事業の推進」が当社とemotivE社とに共通する目的であるわけですが、この事業はそもそも当社が専門分野として長年蓄積してきたGIS(地理情報システム)の知見を活用するような事業ではありません。

では何が鍵になったかと言うと、上記で言及されている「当社が持つ地方自治体への導入拡大ノウハウ」です。

  • 「レガシー」(オンプレミス型のシステム、しがらみ、人材等)のコスト負担のかかる大手ベンダーと比較して、当社は判断が早く小回りが利き、ニーズに即した安価なクラウド型システムを構築・提供することが可能。

  • 小体でありながら構築できている、実績と信頼(システムの堅牢性を含む)に基づく地方自治体とのリレーション(=他の中小事業者に対する優位性)。
    … 創業間もなく、阪神淡路大震災を受けた「神戸市長田区復興支援GIS構築事業」や「神戸市地盤情報/震災被害解析事業」を端緒に、お役所の懐に入り込めたのがまず大きかったと思います。

  • カスタマイズを不要とする、実証実験の繰り返しによる初期の徹底した作り込みと、それを背景とした容易な横展開とサポート体制(小さく始めて、大きく広げられる)。

  • 長年積み上げてきた営業手法(とかく時間のかかりがちな、お役所の意思決定プロセスへの対応)。


こうした強みが評価されての業務提携だったと、私は考えております。

現状は「クラウド利用料」が稼ぎの柱となっていますが、元々は「受託開発」がメインであり、利用する現場の要望を丁寧に拾い、社会課題に応えていこうとする素地があったのも大きいでしょうね。

当社の課題

「社会課題解決サービスの創出」を目標に掲げる当社自身の一番の課題は、「人手が足らない」という点に尽きるのではないかと思っています。

防災・防犯分野で新しいことをどんどんやっていきたいのに、実証実験に割ける人員が確保できない…

そのために中期経営計画でも人材基盤の強化をうたっているわけですね。


しかし、このように防災・防犯分野に限定することなく、「地方自治体への導入拡大ノウハウ」そのものが「売り」になるのだとすれば、また違った展開も見えてきます

その意味で、とても面白いトピックだと感じました。

本決算発表時における、中期経営計画の進捗報告が楽しみです。
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コメント

  1. たむら より:

    はじめまして、いつもお世話になっております。
    この銘柄が最近気になって調べたところ、政府のITシステム共通化という記事を発見しまして、いずれ入札によってこの銘柄かパナソニックなどの大手が採用されて統一されると思いますが、落札した場合はよいけど、もしも大手に取られたら会社の収益は大幅に悪化するのでしょうか?
    特許によるロイヤリティがあるので一気に倒産はないと思いますが。
    よろしくお願いいたします。

    https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240527-OYT1T50030/

    • 6_suke より:

      基本的には大規模案件を避け、大手が参入してこないような各自治体・企業ごとに契約できる、新しい分野での小規模案件(しかし、カスタマイズは不要な案件)を取りに行くと思われます。そしてそれをじわじわと横展開し、根を張っていく―「弱者の戦略」です。

      ただし全国的な大規模案件でも当社の得意とするGISが使える分野については、当社単独ではなく大手と協業する形で取りに行くことは十分あり得ます。

      安心・安全分野がメインで切り替えされづらいストックビジネスが大部分となってきておりますので、万一の心配は低い企業だと私は思っております。

  2. たむら より:

    ありがとうございます。

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