(新宿に新しくできた複合店舗です)
質疑応答の続きです。
質疑応答(2)
【質問5】
MMとトランテアンのホームページが一体化している。
今後新たにアパレルのブランドを取得するということもあるかと思うが、アパレルの複数のブランドを一体管理していく考え方があるのかどうかを教えていただきたい。
(私からの質問です)
⇒
新しいブランドを買ったが、元々、前の会社のいくつかのブランドのうちの一つであったため、自社サイトを譲り受けることができなかったという事実がある。
自社サイトと外のサイトの考え方の違いを説明したい。
自社サイトは、自分たちの店で顧客になり、会員になったお客様がネットで買うという形が多い。
(アパレルはそれぞれ)十数店舗しかないので会員を増やすのは難しいし、これからもそうだろう。
このお客様たちは本当の顧客なので、細かい情報を色々と提供できるのは自社サイトの方かなと思っている。
一方、ZOZOであればクーポンやイベントがあり、and STなどでも似たような客層の2,000万人、3,000万人に向けた商売ができる。
これからM&Aをやっていったとしても自社の会員をどんどん増やしていけるとは思っていないので、自社サイトで顧客と向き合い、外のお客様はZOZO・楽天・and STそれぞれのポイントで囲い込むといったことをしていかなければいけない。
今のところは、ZOZO・楽天・Amazon・自社・and STと、この5つのサイトに靴同様、服も同じように力を入れていきたいと思っている。
→ 顧客への対応のための自社サイトと、多くの消費者にリーチするための外部サイトとの使い分けについて考え方を確認することができました。(アダストリアのような)自社サイトのプラットフォーム化までは今のところ考えていないという印象です。
【質問6】
男性向けの商品が減っている点についてIRに問い合わせたところ、女性向けに注力しているということと、男性向けの株主優待のあり方について引き続き検討していく旨の回答を得た。
これまで社内では男性向けの株主優待の案についてどのようなものが出ていたのか、お聞きしたい。
昨年8月に分割して株主優待を拡充された時のIRの出し方は良かったと思う。
今後、公平性の観点から優待を減らす、配当に回すといったことがあった時に株価に大きく影響があるだろうし、年2回の優待に魅力を感じて持っている方も多いと思うので、その辺りの考え方を伺えたらと思う。
⇒
まず紳士靴の話をさせていただく。
私たちは婦人靴の出身であり、今は服もやらさせていただいているが、実は服に行く前に拡大するためには何が必要かという話をしていた。
婦人靴以外ではまずスニーカーをやろうということで、それは既に実行している。
もう一つは子供靴なのか紳士靴なのかという話になるが、子供靴は既に4回ほど挑戦している。
今でも多少は作っていてネットで売れ筋も出ている。
紳士靴も社内で3,4回は検討することがあって、サンプルも3,4回作っているが、ではどこで売るのか、ネットなのか店なのかということになる。
婦人靴の店では置けないし、ネットで売れるかというと、子供靴とは違う部分がある。
子供靴は子供は成長するので、試して良かったらもう一回買おうという話になるし、あるいはORiental TRafficはお母さんが分かっているブランドであるので信頼がある。
紳士靴はブランドものが中心であり、値段が安くても知名度が無いと売れないと、ずっと考えている。
一回だけ紳士ものを作ったことがあって、それはORTRのキャンペーンの時。
HiHi JetsをCMに起用した際、彼らが履けるサイズが無いとCMを作れないので、それで対応したことはある。
アイテム数が限られていたこともあって男性向けがあるということをそれほど言えず、店に置かずにネットで売っていた。
では実際に男性が買ったのかと言うと、だいたいはファンの方が自分のサイズと推しのサイズを買っていたに過ぎなかった(笑)
CMが終わるとピタッと止まって、ほとんど売れていないというのが現実。
それでもスニーカーの工場からは、そもそも先方は紳士とレディースとを分けておらず、企画も同じなので、やった方がいいのではとは言われている。
昨年拡充した優待は皆さまに喜んでいただいて、この一週間はORiental TRafficの靴とバッグ、卑弥呼の靴の優待に関して喜びの声とやめないで下さいという声、あるいは(男性から)自分が履けるものが欲しいよねというご要望やご意見を大量にいただいているので、それが可能かどうか、どこまでのものだったらご納得いただけるのかについて、既に検討を始めている。
ただ我々はレディースであり、無理矢理にそのために作って評判が悪かったら意味が無いので、いいものができて提供できるようになったら、その時点で発表したい。
もう一つ、優待が続くかどうかについては、いま大変喜んでいただいているので、止める理由は無いと思っている。
世の中が今後どうなるかは分からないが、そこまで負担にもなっていないし効果もあるので、気持ち的には止める理由はない。
(質問者:男性の方は奥様にプレゼントしたり共有したりしていると思うので、男性向けが欲しいという方はごくわずかかもしれない。すごくいいデザインだし、広がっていったらいいと思う。「株主優待券」ではなく「ギフト」「交換券」といったように違う表記の仕方をしていただけると男性も使いやすいと思うので、検討していただければ。)
色々検討してみます。ありがとうございます。
→ 優待に期待している株主のこともしっかり考えていらっしゃいますね。大変ありがたいことです。
【質問7】
今聞いていて思ったのが、Atlantic STARSの件。
当社が卑弥呼でうまくいった後に、Atlantic STARSを看板に出してスニーカーを展開していくことがあってもいいのではないかと思うが、いかがか?
(質問4と同じ方です)
⇒
Atlantic STARSはブランド側から話をいただいたというより、開発しているメーカーさんから日本のお客さんが求めていませんかねという相談が来たという経緯。
うちは紳士はやっていない一方で、Atlantic STARSはほとんど紳士のブランドなので、持ち帰って冗談で(卑弥呼の)新井社長に相談した。
卑弥呼はスニーカーはHIMIKO Liteとして展開していて、しっかりした従来通りの高級の革靴は作れるものの、3~4万のデザイン・材質のスニーカーが無かった。
2万円弱のLiteのスポーツサンダル・スニーカーを作って結構売れてはいるものの、売場としては卑弥呼の中では一番安い部類で客単価が低いという悩みがあった。
卑弥呼の店長会などでも、高級なものが欲しいという要望がずっとあり、新井社長からも一旦やった方がいいよねということで、Atlantic STARS×HIMIKOのコラボをやるに至った。
結果どうですかね?新井さんからどうぞ。
(卑弥呼 新井社長)
Atlantic STARSについては2月後半から販売していて、まずまずの出だしかなと思っている。
やはりHIMIKO Liteが2万円前後というところと、今回3万円から4万円近くのものになったので、どこまで売れるかドキドキしていたが、お客様から見て違いが分かる、質がいいということがしっかり理解していただいていて、高価格帯であってもお客様から購入していただけることが自信になっている。
今は4型の展開だが、秋冬に向けて型を増やし、もう少しお客様に対して見せていけるかなと考えている。
→ お二人の信頼関係がここでも垣間見えた気がします。Atlantic STARSは日本の総代理店となって紳士用も扱えると優待にも幅が出てくるかなと妄想してしまいましたが、そのお考えは今のところなさそうですかね。
【質問8】
4/1に質疑応答集がリリースされていた。
幸い今は想定為替レートよりも円高で推移しているが、この中では「円安の状況下でも利益を確保できる仕組みを整備した上で、さらなる売上拡大に取り組みたいと考えております」と書かれている。
具体的にどういうことを検討し準備されているのか?
(三たび、私からの質問です)
⇒
この3年円安が続く。
4月、関税の影響で急激に140円前後にまでなったが、2、3か月前は円安論者による170円、200円に行くという論調が多かった。
ここに来て120円だ100円だと話が変わってきているが、私たちとしては輸入でやっていくので、ブランドをしっかりさせて高いものでも売れるということが大前提だと思っている。
やはり国内で作ってないので、円安でも円高でもほぼ100%輸入。
その中で先ほどのHIMIKOの話のように、2万円前後のLiteから他のブランドを入れて3万円、4万円に価格を変えても売れるようになることもあれば、ORTRみたいに8,800円、7,700円でも値引きしないと売りにくいということもある。
質とデザインもさることながら、ブランド力が一番だと思っている。
これまで3回M&Aもやっているが、卑弥呼でも一番実感するのはブランドの力が凄いなと。
今回も新しいブランドを入れるが、しっかりと今までのブランド力を活かしながら、私たちの生産・企画の力を合わせれば昔よりは利益が出やすくなるということで、円安でも頑張っていこうという気持ちでいる。
(私:為替予約の方針などはあるか?)
予約は円高になった瞬間はある程度実行していく。
140円になった時に全部予約して1年間固定するという考え方もあるが、これから135円、132円になっていくかもしれない。
今まで円安の時はやりにくかったが、円高の時はある程度は可能かなと思っている。
1ヶ月前よりはいい水準であり、150円よりはだいぶ円高で買えているので、気持ち的には楽。
ただ常に、為替予約をしたことで差損が出るような商売はやりたくないので、ある程度は行いつつも、大半はその時々の為替でやるという方針は今でも変わらない。
→ インフレ時代にも対応できるようにするため、ブランド強化に努めているということですね。また、為替予約そのものでリスクを取って勝負するような考えは無いということも分かりました。
【質問9】
香港の状態についてお伺いしたい。
日本にいる限り香港の状況はなかなか伝わってこないが、関税の影響で輸出ができなくなり中国の景気が悪くなることが考えられる一方で、中国政府自体が内需を振興させる方向に動くかもしれないとも考えられる。
実際に香港の現状をどう評価・対処されているのかと、向こう1年程度についてどのような見通しを持っているのかを教えていただきたい。
(質問4,7と同じ方です)
⇒
昨年の香港は大変な1年だった。
香港ドルは米ドルに連動しているので、価格が高くなっていた。
香港の消費は、かつては深センから車や電車で来たお客様の購入で支えられていた面があったが、香港の為替が高くなったので逆に香港の若い人達が深センに車を借りて行くようなことが起こっていた。
また香港から日本への旅客数が凄く、何百万人も来ている。
最近は休みがあれば、みんな日本に来ている。
元々香港は日本よりだいぶ高く売っているので、香港のスタッフから聞いているのは、お客様が日本で買っているということ。
キャンペーンもあり、免税もある。
昔は観光客は靴を買わなかったが、香港のお客様だけはよく知っているので、日本で買って履き替えたりしている。
香港のお客様の一部は日本に流れているし、現地の若い人の数が減っているということもある。
では、これからどうなるか。
(深センへの流出につながりかねない)米ドルと人民元の関係については私たちは関与できない。
ただ、多少変わってきているのは家賃。
コロナの時は香港は黒字だった。
香港は家賃が日本の倍くらいして高いが、コロナの時はそれが半分以下に下がって採算が取れた。
コロナが終わって家賃が上がったので、昨年はうちだけでなく小売全般がダメだったので、今は家賃の交渉が非常にしやすくなっている。
デパートのような商業施設は穴だらけだ。
3割、4割の家賃の下げがあれば、売上が横這いでも採算が取れるようになる。
ただ昔と比べると、香港が消費をする場所としての魅力が無くなったのは事実。
昨年は赤字だったので、今年はできるだけ黒字に持っていこうと。
厳しく交渉を行っている最中で、一部既に家賃を下げてもらっている。
家賃が私たちの採算ラインに合わないようなら、そのお店を一回止めてもいいかなと思っている。
既存の店の家賃の引き下げには先方も抵抗があるが、穴だらけの状況下では新規のお店は1年、2年家賃ゼロにしてもらうといったことも可能。
いずれにしても、香港の消費市場が変わってきていることに対応し、今年はできるだけ黒字に持っていきたいと考えている。
→ 今年は昨年のように香港が足を引っ張る状況からは改善が見込めそうです。ただ香港でのORiental TRafficでの出店には限界が見えてきている中で、中長期的にはブランドの多様化を進めていく必要がありそうですね。
質疑応答は以上です。
(11:31)
この後議案の採択、新任取締役の簡単な挨拶を経て閉会となりました。
(11:34)
所感
今回も有意義な質疑応答だったと思います。
特に株主優待に対するお考えを直接伺うことができ、「止める理由は無い」とまで仰っていただいたのは良かったですね。
改めて実感したのは、まず肖社長が質問を受ける際の雰囲気がとても柔らかく、話しやすい空気を作ってくれていたことです。
これならば従業員の皆さまも、普段思っていることを話したり意見を言ったりしやすいでしょうね。
傾聴のスキルに長けていらっしゃることが、挑戦を促す企業文化に結びついているのだろうと感じました。
また、ネガティブな状況があったとしても、そのことへの対処も含めてお考えを包み隠さず話していただけるのも、株主としても目線を合わせやすくありがたいです。
ただ、参加者は顔見知りの方が多く人数が少なかったこと、質問の数が前回に比べると少し減ったことも踏まえ、総会の評価としては★4つとさせていただきます。
【余談】
総会の後、アイキャッチ画像の新宿の複合店に行った際、肖社長と遭遇しました。
(目が合い、会釈をした程度ですが)
いらっしゃった従業員と大変フラットな雰囲気で話をされていて、現場を大切にする経営者であることが実際に伝わってきました。



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