もしも外国人投資家が「売り」に転じたら?~リチャード・ケイ『日本株を買う外国人 外国株を買う日本人』を読んで(2)

読書
集中投資は危険か、それとも安全か

本書で特に印象的だったのは、「理解に基づいた集中」について説明するくだりです。

一般的には「幅広い分散投資のほうが安全」と語られることが多いです。
しかしながら、ケイ氏は分散投資の安全性を過信することに疑問を投げかけます。

  • 「分散」は、リスクを真正面から見つめることを避けている
  • 「集中」は、リスクの所在がどこにあるかが見えている

ここから導かれるのは、「広く薄くリスクを取ってはいるものの真に向き合っていないのなら、見えるリスクを数社でコントロールする方が、真の意味で安全であるという逆説です。

私自身、自分が理解できる企業に集中していくスタイルを採っているので、背中を押してもらえる一つの「信仰」を得られた感がありました。

コムジェストの日本株投資

多くの方にとって価値が高いと思われるのが、「コムジェスト・日本株式戦略の投資先と保有期間(2025年12月末)」の表です。

これは長年にわたり厳選してきた、同社の共通言語でもある「クオリティグロース」基準を満たす企業の珠玉のリストとなっています。
(「クオリティグロース」の概念を端的に表現するなら、「10%以上の利益成長を、5年間にわたって継続して実現できる企業」としています。)

約40社あって「なるほど!」のラインナップ。
自分の保有先とも結構重複しているので、嬉しくもあります。

「どんな企業が時間に耐え得るのか」「どうしてこの中に選ばれたのか」を考えていくことで、本質を見極める眼を育てる一助にもなるのではないでしょうか。


数字の奥に隠された企業の意志、組織文化、顧客や取引先との関係といった「非財務資産」こそが、「クオリティグロース」を駆動する真のエンジンであるというケイ氏の視点も、実際の10の投資事例(売却、再エントリーの経緯等も生々しいです)とともに語られています。

結び ー 外国人投資家が「売り」に転じた時、誰が買い向かうのか?

本書の核心はここにあります。

日本株は外国人投資家の持ち株比率が上昇していき、
「外国人が買う→上がる」
「外国人が売る→下がる」
という構造ができてしまっています。
日本の投資家が見切りをつけてきた結果として。

では、外国人投資家が一斉に日本株の「売り」に転じた際、誰がその株を買い支えるのか。

ケイ氏はこう示唆します。
その役割を担える大きな可能性を秘めているのは、私たち個人投資家であると。
個別の企業をしっかりと丹念に観察を続けてきた「意志あるプリンシパル」として。
(プリンシパルはエージェントと対になるもので、「当事者」「主(あるじ)」の意)

私も「未完成な生命体」としての企業とともに歩む、「意志あるプリンシパル」の一人であり続けたいと思いました。


「世界経済はこれからも成長し続ける。だからインデックスというコピー品を持っていれば、いつか必ず高く売れる」


この無邪気な考え方に対して、「はたして自分はそれだけでいいのか?」と少しでも違和感を持たれた方に、ぜひ読んでいただきたいです。

(終わり)

「喝」が刺さりまくる、「アッパレ」な一冊。
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